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  • 12月議会 一般質問しました

    [2008.12.12] -[議会報告]

     12月12日、日本共産党の一般質問が行われました。質問は次のとおりです。 

       1、知事の政治姿勢 市長との意見交換会 雇用、中小企業対策

    一般質問を行います。まずはじめに知事の政治姿勢についてお尋ねします。

     第1は、来年度の予算編成方針についてであります。

     真鍋知事は、「金融危機などによる景気後退で税収減が懸念され、より厳しい財政運営が見込まれている」として、来年度予算案は今年度当初予算と比べ約90億円減の4190億円程度とすると発表しました。また知事は今議会冒頭の提案説明において、来年度の予算編成については重点施策を戦略的に展開していくとして3つの重点施策を打ち出し、その2番目に「自然災害対策、渇水対策、医療の確保、健康危機管理対策など安全安心の確保策」を挙げました。

     ところが新聞報道によりますと、去る11月19日県内8市の市長と知事との意見交換会が開かれ、そのなかで「県立中央病院と香大医学部付属病院に救急救命センターはあるが西讃から遠い。センター整備の熱意がある病院に県の財政支援をしてもらいたい」「中讃でも病院不足、医師不足が顕著だ。県全域を見て救急救命センターの整備を考えてほしい」と要望が出され、知事は「市・町立の病院が救急センターを運営する場合は国から交付税が措置される。県単独の助成は困難だ」と答えました。さらに、公立幼稚園の耐震化工事に対して県の助成を求める要望にも知事は「幼稚園の拡大は考えていない」と答え、これら2つの課題に対する県の対応に複数の市長から「余りに冷たい答弁」「県は知りません、というのはどうか」「それなら県はいらない」と市長側が詰め寄る場面もあったと報道されています。

     知事は来年度予算編成方針で「自然災害対策」「医療の確保、健康危機管理対策」は重点施策だと県民向けには言いながら具体策について市長から要望が出れば拒否する、こんなひどいことが許されて良いのでしょうか。知事は「県民が夢や希望の持てる郷土香川を目指す」といっていますが、それは口先だけのことですか。市長から「冷たい」とか「それなら県はいらない」といわれ知事は何も思わないのですか、お答えください。

     私は来年度予算については景気悪化から県民生活を守るために雇用、福祉、医療、教育など県民の切実な願いを実現させるものでなければならないと思います。そして県と8市9町の自治体の連携した取り組みが重要であると考えますが知事の基本的なお考えをお示しください。

     第2は年の瀬を迎え雇用と中小企業を守ることについてであります。

    アメリカの金融危機に端を発した急速な景気悪化が、労働者と中小零細企業に深刻かつ重大な打撃を与えています。「ばくち経済」(カジノ資本主義)破綻のツケを国民に回さないために全力を尽くすことが政治の責任です。

     厚生労働省の調査では、非正規労働者の解雇は全国で3万人を超えており、本県では190人にのぼり、四国の中で愛媛の366人に次ぐものとなっています。しかし、その実数はもっと大きいといわれており深刻な社会問題になっています。

     この大量解雇の動きは2つの点から見て全く不当なものであります。1つは雇用のルール破壊という点です。大量解雇をすすめている大企業のほとんどは「減益見通し」というだけで、利益をあげ株主配当も減らさず巨額の内部留保を持っており人員削減の根拠はありません。整理解雇による人員削減は、企業の維持・存続ができないほどの差し迫った必要性がない限りやってはならない、これは「整理解雇の4要件」として確立している雇用のルールであり、非正規労働者にも当然適用されなければならず、一方的な解雇「雇い止め」は労働関係のルールを根底から破壊するものであります。2つ目は、大量解雇は、雇用破壊と景気悪化の悪循環をもたらすことです。個々の企業にとっても大量解雇で短期的な利益をあげても、中長期的には日本経済全体の悪化で自らの存在の基盤を崩してしまう。安定した雇用の確保こそ最大の景気対策といわなければなりません。

    日本共産党は、124日、「年の瀬を迎え雇用と中小企業を守る緊急対策」を発表しました。翌日、志位委員長が麻生首相との党首会談も行い、政府として強力な指導をするよう求めてきました。その結果、厚生労働省は9日、「“非正規切り”防止通達」ともいうべき通達を全国の労働局長あてに発信しました。その内容は、

     中途解雇はもちろん、期間満了にともなう雇い止めであっても厳しく規制されていることを徹底する、

     大量雇用変動の届け出や再就職援助計画を出すよう徹底し、派遣先や派遣元が責任を果たすよう指導する

     労働者から法違反などの申告があれば優先的に対応する

     離職後も入居できるよう事業主に要請するなど住居喪失者への支援を行うなどです。

    法令違反でなければ積極的に監督や指導をしようとしなかった厚労省の姿勢を転換せざるをえないところまで追い込んできました。

    私は、真鍋知事がこの通達に基づいて非正規労働者の雇い止め問題を直視し、「派遣問題」を「国の責任」だけにすることなく、県としても解決に力を尽くすよう求めるものです。知事はこの認識で今回の問題に対処すべきだと考えますが、いかがでしょうか。非正規労働者の雇い止めについて、知事の見解を伺います。

    また、他県でも県の担う役割として、知恵を絞り、様々な対策を打っています。県として「緊急街頭労働相談」、「日曜労働相談」などを行い、賃金未払い、解雇、労働条件の不利益変更などの相談に乗っている県をお手本に、香川県でも「非正規労働相談」窓口を設けるなど、直ちに対策を講じてはいかがでしょうか。そして、全国で唯一ジョブカフェのない県として、将来的には若年者専門の就職相談、情報提供とともに雇用関連の総合サービスが一箇所で受けられるワンストップサービスの窓口を設置することを求めますが、いかがでしょうか。
     また、真鍋知事を先頭に、県の幹部が先頭にたって企業への「派遣雇い止め問題での申し入れ」を行ってはどうでしょうか。特に県営工業団地に誘致している企業や、県の補助金の対象となる企業には、大量の派遣雇い止めをしないよう強く申し入れるべきであります。
     そして、神奈川県では非正規の緊急生活対策資金貸し付け制度として、既存の50万円貸付を100万円に引き上げ、返済期間10年でその間に生活の立て直しをしたり、製造業の解雇者には再就職支援として緊急特別訓練など、新たな技能を身につける訓練を無料でやるなど行っています。労働局、市町と共同して何らかの「生活援助制度の創設」を講じるべきであります。

    生活援助制度とともに、住宅困窮者へ県営住宅や雇用促進住宅に入居をあっせんすることも必要です。解雇とともに寮を追い出されるケースも多いことから、職業安定局長名の通達では事業主に離職後も一定期間入居できるよう配慮を要請することや、住居喪失者に雇用促進住宅の入居をあっせんするよう、指示していますが、知事はどうお考えでしょうか。 以上知事の見解をお尋ねいたします。

     次は中小企業への対策についてであります。

     中小企業・中小業者の景況は急速に悪化し、民間調査機関によれば3社に1社が年末に向けて資金繰りが「いっそう厳しくなる」と回答するなど、年末に向けて事態を放置すれば膨大な倒産の危機に直面することになりかねません。

     そこで、以下4点についてお尋ねします。

     ①国に対し、中小企業への信用保証は部分保証への改悪を元に戻し100%保証とすること。現在実施されている100%保証のセーフティネット保証・原材料価格高騰対応等緊急保証制度」については、業種指定を取りやめ全業種に適用するよう求めること。

     ②県として、銀行など金融機関に対し「貸し渋り、貸し剥がし」をやめさせ、中小企業、中小業者への資金供給への責任を果たすよう指導や申し入れを行うこと。

     ③県として、大企業に対し、中小企業の経営安定に責任を果たすよう申し入れを行うとともに、下請けいじめを厳しく取り締まる「下請け駆け込み寺」などの相談体制を強化すること。

    ④県の官公需の前倒し発注を行うとともに、中小企業向け発注を引き上げること。耐震化をはじめ、学校や県営住宅など施設の改修・修繕など、県としての支援を行うこと。以上4点について知事のご所見をお示しください。

    知事答弁

    「来年度の当初予算編成に当たっては、「財政再建」と「重点施策の推進」の両立を図ることを基本に、引き続き、財政再建かに向けた取り組みを着実に実行するとともに、新たな政策課題への対応や香川の将来にとって必要かつ県民ニーズの高い施策として、「地域と産業の活性化策」、「自然災害対策、医療現場の確保など安全・安心の確保策」、「働く場の確保や少子化対策をはじめとする人口減少対策」など財源を重点配分することとしています。

     また、県と市町は、お互いの信頼関係と役割分担のもと、連携・協力し、課題の解決に取り組んでいく必要があると考えています。

     市町からの要望については、役割分担やその内容によっては、県として対応が困難なものもありますが、今後とも、率直な意見・情報の交換などを通じて、県と市町との相互の信頼・協力関係を一層深いものとし、魅力と活力に満ちた地域づくりをともにすすめてまいります」

     

      2、県民を支えるセーフティネット

    次に貧困から県民の生活を支えるセーフティネットの構築についてお尋ねします。

     マルクスは、資本主義社会において「富の蓄積は対極における貧困の蓄積である」と述べましたが、現代の日本において貧困と格差の実態は、この指摘がずばり当てはまる事態であります。貧困層の増大でセーフティネットの役割がますます重要になっています。にもかかわらず、このセーフティネットから強制的に排除される事態が広がっています。

     国保料滞納世帯は全国で480万世帯にのぼり、国保証を取り上げられて資格証明書を交付された人が乳幼児など子どもまで含めて35万世帯となっており、病院にかかれず手遅れで死亡した人は、この二年で475人にもなっています。さらに介護保険の利用料値上げ・在宅サービスの給付制限で利用を排除されたお年寄り、障害者自立支援法の「応益負担」導入でサービスの利用を断念した障害者、そしてセーフティネットの最後の砦である生活保護制度から排除される人が後を立ちません。そこで以下、5点についてお尋ねします。

     第1は無保険の子どもをなくすことです。厚生労働省の調査により、国保料滞納世帯で資格証明書を交付された世帯の義務教育以下の子ども人数は全国で3万人を超えており、本県では141人いることがわかりました。県として一刻も早く、このような事態を解消すべきであり、児童憲章に定められた、子どもの医療を受ける権利を保障すべきであります。県下の各自治体では、期間限定の短期保険証を交付することで検討を開始していますが、資格証明書を交付されている世帯で18歳未満の子どものいる世帯に、短期保険証ではなく通常の保険証を発行するよう、国保法第4条に基づき必要な措置を行うこと。

     第2は資格証明書交付によって死亡事例が発生していることを踏まえ、病気になった場合や生活が困難な世帯(生活保護基準の1・5倍程度及びリストラや倒産のため収入が激減した世帯)に対しては通常の保険証を発行し、滞納による保険証返還請求や資格証明書の交付を廃止すること。

    なお後期高齢者医療制度で年金から天引きできない75歳以上の高齢者の滞納世帯には、1か月から3か月の短期保険証や資格証明書を発行するようでありますが、もう一歩踏み込んで正規の保険証を発行するよう広域連合に申し入れること。

     第3は「福祉灯油」(低所得者などへの暖房用灯油代助成)の実施についてであります。昨年12月に国が助成制度を創設し、多くの自治体が実施に踏み切りました。県で実施したのは、隣の徳島県など12道県、市町村での実施は28道府県の689市町村で、助成の対象は高齢者、障害者、母子家庭、生活保護世帯となっています。この制度は寒冷地でなければならないという定義はありませんので本県も国の助成対象になります。本県でもぜひ実施すべきであります。

     第4は「給食費が払えない」「修学旅行に行くお金がない」など生活が困難な世帯に対して就学援助の制度を周知し、高校の授業料免除、奨学金の受給などの手続きを簡素化し、受けたい人がいつでもすぐ受けられるようにすること。

     第5は、県営住宅の空き室をすべて修繕し、入居希望者がすぐに入れるようにすることです。環境建設委員会でも議論になりましたが、指定管理者制度になっても募集は年4回と変わらず何のサービス向上にもなっていません。募集回数を隔月ごとの年6回とし、県営住宅6432戸のうち、空き室となっている1326戸をすべて修繕し、入居希望者の期待に応えられるようにすべきです。

     以上5点について明確にお答えいただきたいと思います。

     次に、障害者自立支援法を廃止し、人間らしく生きるための新たな法制度の制定についておたずねします。

     先般出された「かがわ障害者プラン(素案)」によりますと、10年前と比べ、身体障害者は49,196人で22・6%増、知的障害者は5,804人で37,6%増、精神障害者で通院医療費公費負担患者数は6,761人で2・8倍増などとなっており、障害の重度化や高齢化がすすんでおり、障害者対策はますます重要になっております。

     さて、障害者自立支援法が施行されて2年半余りが経過し、来年は3年後の見直しを行う年に当たります。この間、原則1割の応益負担による重い負担増のために、施設や在宅サービスの利用を断念・抑制せざるをえない障害者が相次ぎました。報酬が大幅に削減されていたために、事業所は職員の労働条件の切り下げを余儀なくされ、離職者が相次ぎ人手不足が一段と深刻化しています。このままでは、障害者福祉の基盤が崩壊しかねない深刻な事態です。

     社会保障費削減を目的とした「構造改革」路線に基づく障害者自立支援法では障害者の生活を守ることはできません。私は、障害者の自立を破壊するこの法律はきっぱり廃止をすべきと考えます。そして新たな法制度に盛り込むべき内容として、本県の調査でも明らかになっている応益負担制度の廃止や事業所に対する報酬の引き上げ、さらには就労支援、「くらしの場」のあり方、「障害程度区分」認定の見直し、障害のある子どもの発達の保障、自立支援医療は元に戻し拡充すること、地域生活支援事業への国の補助金増額などが障害者の権利を保障し人間らしく生きるために必要であると考えますがいかがでしょうか。

     障害者自立支援法を廃止し、新たな法制度の制定について知事の基本的なご所見をお伺いいたします。

     知事答弁

    「現在、国においては、一年以上保険料を滞納した場合でも、中学生以下の子どもに対しては、資格証明書ではなく短期被保険者証を交付する内容の法改正の手続きが進められており、来年4月から施行される予定と聞いております。

      今後とも、短期被保険者証及び資格証明書を交付する場合は、生活の実態を十分に把握し、機械的に行うことのないよう、市町などに対して適切に助言してまいります。

     県営住宅については、空家すべてを修繕することは、厳しい財政状況にありますので、現時点では、困難と考えております。

     就学援助制度についてでありますが、高校での授業料免除や奨学金などの就学援助制度については、中学校の進路指導や高校の入学説明会で周知しており、提出資料についても、必要最小限なものとし、手続きの簡素化を図っています。

     また、経済的理由により高校への入学を断念することがないよう予約制度を設けるとともに、入学後に家庭の経済状況が急変した場合にも対応しているところであります。

     低所得者等への暖房用灯油代助成、いわゆる福祉灯油については、市町からの要望がないことに加え、現時点では、灯油価格も下落傾向にあることから、実施する考えはありません」

     

     3、農業問題

    次に農業問題についておたずねします。

     第1はWTO農業交渉についてであります。

     WTO(世界貿易機関)の閣僚会合が近日中に開催されると伺っていますが6日に示された議長案は一層の輸入拡大を求める内容です。関税を高く維持する「重点品目」にできるのは農産物全体の4%が基本で6%まで拡大が可能としていますが「代償」として低関税輸入枠を増やすよう求めています。日本の農産物の関税率は平均12%でEU(欧州連合)と比べても低く、米、麦、酪農品、砂糖など基本穀物や地域特産品のみが高いだけであります。

     議長案によると米が「重要品目」に設定されても、現在77万トンのミニマムアクセス米を114万トンにまで低関税輸入枠を拡大しなければならないと予想されています。

     こんなことを受け入れたならば、日本の農業は壊滅状態となり、食料自給率は更に低下してしまいます。県として、議長案を断固拒否し、汚染米の原因であるミニマムアクセス米は輸入義務ではなく、単に「輸入機会の提供」に過ぎない点を明確にするよう国に対し強く求めるべきだと考えますが、知事の決意をお伺いいたします。

     第二は食の安全・安心と食料自給率の向上についてであります。

     内閣府の2008年「食料・農業・農村の役割に関する世論調査」によりますと、将来の食料不安を持ち、食料自給率の向上を求める人が9割を突破するにいたっています。そして食料自給率向上のための行動として、「ご飯中心の食生活、国産食材を選ぶ、米粉のパンやめんを選ぶ」が多くなっています。これは汚染米や汚染輸入冷凍ギョーザの事件などを通じ、世界的な食料需給ひっ迫の中で輸入に依存することの危険性が誰の目にも明らかになってきた結果であります。

     こうしたなかで、石破農水相が食料自給率50%に引き上げる目標時期を「おおむね10年前後とする」ことを表明し強化する取り組みとして、米消費国民一人当たり年間61キログラムを63キログラムに引き上げ、米粉の生産量1万トンを50倍の50万トンに、小麦生産量を91万トンから2倍の180万トンに、大豆生産量23万トンを2倍の50万トンにすることなどを上げています。

     しかし、農業の担い手である農家と農村の現状はどうでしょうか。農業に携わる人の45%が70歳以上という高齢化が進行し、後継者がいないことから耕作放棄地が増大、農業を続けたいと思っても稲作農家の場合、米価の下落を生産費の暴騰で、自給単価は179円にしかすぎず、お米の価格はペットボトルの水の量で価格を比較すればその半分以下という現状ではやっていけるはずがありません。農家が安心して生産を続けていくには価格保障と所得保障制度を抜本的に充実し、経営規模の大小で農家を選別する「水田経営所得安定対策」をやめ、農業を続けたい人すべてを支援し、新規就農者の参入・定着を支援することが必要です。このように農業だけで食べていける所得対策抜きに、食料自給率50%をいっても絵に描いたモチになると思いますが、いかがでしょうか。知事のご所見をお伺いいたします。

     さて、都道府県別食料自給率を見ますと、本県は36%と全国平均を4ポイント下回っております。政府の「食料・農業・農村基本計画」では「地域の食料自給率や地産地消の取り組みの目標を設定し、食育活動において活用すべき」とあります。現在、食料自給率の向上の目標を設定している県は18県、四国では徳島県だけとなっております。本県として全国平均を上回るために何が必要か。絵に描いたモチにならないよう実現可能な目標値を設定し、安全・安心の農業生産の拡大、地産地消の推進、農業経営の安定と後継者づくり、耕作放棄地の解消など農家が元気になる施策を積極的に行っていただきたいと思いますが、ご所見をお伺いいたします。

    将来にわたって食料供給力を維持・向上させるためには、国際規律に対応するとともに、力強い農業構造を確立することが重要であります。

     全国に比べ小規模な農家が多い本県においては、経営全体に着目した所得対策である「水田経営所得安定対策」を活用しつつ、小規模・高齢農家がお互いに助け合いながら、効率的な農業生産活動を展開する脳楽営農を米麦などの担い手として育成していくことが重要であります。

     

     知事答弁 

    「今後とも、認定農業者の育成と集落営農の組織化を支援するとともに、新規就農者についても、農業技術の指導や資金の貸付などにより、その参入を促進してまいります。

     自給率の向上については、現在、食料自給率向上プランの策定を進めており、担い手の育成のほか、優良農地の確保や、消費者ニーズに対応した農水産物の生産拡大、地産地消の一層の推進など、生産と消費の両面における施策を盛り込むこととしており、今後、このプランに沿って、瀬策の積極的な展開を図ってまいります」

     4、県税部門に関する新しい組織体制

     次に県税部門の組織体制の再編整備についておたずねします。

     再編整備案では、課税や徴収機能の強化を図るため4つの県税事務所などで処理している課税徴収事務を1事務所で集中的に処理しようとするものであり、県民サービスの低下を招かないよう4県民センターと新たに設置する中讃税務窓口センターなどの6箇所で窓口業務を行うとしています。

     しかし、高松に設置される県税事務所以外は窓口納税ができなくなるということは、税を滞納した人がたとえば分割納付などの相談と合わせた納税ができなくなるということであり結局納税者に不便をかけることになるのではないでしょうか。またさらに、センターには税務に精通した職員がいないため、税務相談も定められた日または、事前に個別の約束をしていないと受けられないなどサービスの低下は否めません。特に身体障害者などに対する自動車税の減免については、その申請期限が定められており、その期日が過ぎれば減免が受けられない制度であるために、県民センター等へ県税事務所の職員が出張して減免申請を受けるということでは減免が受けられないという事態が発生する恐れがあると考えますがいかがでしょうか。

     私は、県民へのサービス低下を招く県税部門の組織体制の再編整備はやるべきでないと思いますが、知事のご所見をお示しください。

     5、道州制 反対

     最後に「道州制」の導入についておたずねします。

     国の仕事は外交や防衛に限定し、それ以外の仕事は現在の都道府県を廃止して「道州」と「基礎自治体」に再編しようとする「道州制」導入の動きが強まっています。自民党は来年の通常国会に基本法案を提出するとしています。

     そうしたなか、日本経団連が提言を発表し、「道州制」を導入すれば地方公務員の人件費を1兆5,130億円、公共投資の効率化と合わせ5兆8,483億円削減でき、その分道路や港湾の建設など産業基盤の整備に回せるという試算をまとめました。

     「道州制」の導入で、福祉や教育など本来国がやらなければならない仕事を地方に押し付けておいて、地方の公務員と予算は更に減らし、その分を産業基盤のために使おうというのですから、これ程、身勝手な試算はありません。福祉や教育など国の責任を投げ捨てる財界の身勝手な「道州制」導入論は許せません。私は、くらしや福祉を守り「住民が主人公」の地方自治を前進させることこそ国民は願っていると思いますが、知事はどのようにお考えでしょうか。

     全国町村会は、大会を開き、「道州制」導入は巨大な広域自治体を生み、住民と行政の距離を一段と深めることになり「地方分権」ではなく「新たな集権体制を意味する」として「多様な自治のあり方を否定することを決して容認しない」ことを強調し「強制合併につながる道州制には断固反対する」と明記した特別決議を採択しました。知事はこのことをどのように受け止めているのでしょうか合わせてお答えください。

     知事答弁

     「道州制については、地方の特性に合わせた地域づくりの実現や地方分権により住民意見が行政サービスに反映しやすくなることに対する期待感からの賛成意見がある反面、地域間格差の拡大や住民の声が届きにくくなることへの不安感から反対意見もありますことから、国民はもとより、基礎自治体である市町村や経済界を巻き込んだ議論を深める必要があると考えています。

     今後道州制について、各種広報媒体や県政出前懇談会などの場を通じて広く県民に対し訴えかけるなどにより、議論が活発に行われ、地方分権型道州制が実現できるよう取り組んでまいります」

    一般質問がインターネットでもごらんいただけます

    [2008.12.5] -[インフォメーション]

     

    ◎インターネット中継でも、本会議と常任委員会審議がご覧いただけます。http://www.pref.kagawa.jp/gikai/
      これまでの議会や、最近の12月議会もばっちりです。

    国民の生活を守る緊急提言について

    [2008.12.3] -[政策と実績]

    日本共産党の志位和夫委員長は11日、国会内での記者会見で発表した「大企業・大銀行応援か、国民のくらし応援か―景気悪化から国民生活を守る日本共産党の緊急経済提言」の全文は次の通りです。日本共産党香川県議団も、県民の生活を守るため全力を尽くします。


     アメリカ発の金融危機は、世界経済の大混乱を引き起こし、日本経済にも深刻な影響を与えています。いま起きていることは、単なるバブルの崩壊ではありません。極端な金融自由化と規制緩和をすすめ、投機マネーを異常に膨張させ、世界有数の巨大金融機関が先頭にたって、ばくちのような投機=マネーゲームに狂奔する――「カジノ資本主義」が破たんしたのです。世界の経済と金融のあり方の根本が問われています。

     同時に、日本の景気悪化をここまで深刻にさせている根本には、極端な“外需=輸出だのみ”という日本経済が抱えているぜい弱性があります。そのために、アメリカ経済が減速し、世界経済が混乱すると、日本の景気悪化が一気にすすむという事態がつくられているのです。

     こうしたもとで、政治はどのような責任を果たすべきかが、いまきびしく問われています。日本共産党は、この経済危機にさいして、次の三つの柱で、国民生活を守るために、政治がその責任を果たすことを求めるものです。

     ――「ばくち経済」(カジノ資本主義)破たんのツケを国民にまわすことを許さない。

     ――「外需だのみから内需主導へ」、日本経済の抜本的な体質改善をはかる。

     ――「カジノ資本主義」への追随からの根本的転換をはかる。

    (1)「ばくち経済」(カジノ資本主義)破たんのツケを国民にまわすことを許さない

     いま景気悪化を理由に、大企業・大銀行が競い合って、大規模な労働者の「首切り」「雇い止め」をすすめ、中小企業を下請単価の買いたたきや貸し渋り・貸しはがしで倒産に追い込むといった事態がすすんでいます。

     「ばくち経済」(カジノ資本主義)によってつくられた景気悪化のツケを、国民にまわすことを許さないために、政治はあらゆる手段をつかって責任を果たすべきです。

    大失業の危険から国民を守る

     大企業の身勝手なリストラをやめさせる……いま、大企業が派遣社員や期間社員などを「雇い止め」にする動きが広がっています。トヨタ自動車とそのグループ企業では、7800人におよぶ期間社員、派遣社員の「首切り」をすすめています。日産780人、マツダ800人、スズキ600人などというように、大企業が相次いで派遣社員の削減計画を発表しています。このような大量解雇がいっせいにおこなわれるというのは、かつてなかった事態です。

     財界や大企業は「減益で大変だ」とか「米国での販売不振」などと言っています。しかし、トヨタをとっても、大幅減益とはいえ、なお年間6000億円もの利益を見込んでいます。大企業全体でも、2008年度末に24兆円もの利益をあげる見通しをたてています。これは「ITバブル」といわれた2000年度を上回る規模です。しかも、この5年間連続で史上最高の利益を上げ続けてため込んだ内部留保は、大企業(資本金10億円以上)だけで230兆円にものぼり、2000年以降で、57兆円、25%も増やしています(法人企業統計)。まだまだもうかっており、体力も十分ある大企業が、雇用に対する社会的責任を放棄し、「首切り」「雇い止め」による大失業の嵐の引き金を引くなど、許されるものではありません。

     「首切り」対象になっている労働者の多くは、若者であり、蓄えも十分でないために職を失えばただちに路頭に迷ってしまいます。政府は、危機を口実に、「リストラの嵐」を吹き荒れさせ、人間をモノのように使い捨てようとしている大企業に社会的責任を果たさせるために、毅然(きぜん)とした態度でのぞむべきです。「労働者の職業を安定させるための事業主の努力を助長するように努める」(雇用対策法第1条)ことは国の責任です。財界にも、個別企業にも、派遣社員や期間社員の解雇をやめるよう行政指導をすることをはじめ、強力な指導、監督をおこない、国の責任を果たすべきです。

     雇用保険の6兆円もの積立金を活用して、失業した労働者の生活と再就職への支援をおこなう……雇用保険の特別会計にため込まれた6兆円もの積立金を、ただちに活用すべきです。とくに、リストラの矢面に立たされている派遣や期間社員をはじめ、雇用を打ち切られて失業した労働者の生活と再就職をささえることが必要です。当面、以下の緊急対策をとることを要求します。

     失業給付を非正規で働いてきた労働者にもきちんと給付できるように改善します。失業給付受給資格に必要な就労期間を6カ月から12カ月に延長した改悪を元にもどす、給付期間の上限を「自己都合」とされた場合でも360日にする、削られた45歳未満の給付日数を元にもどすなど、この間の失業給付削減を見直します。

     雇用保険から排除され未加入だった労働者もふくめて、積立金のうちの1兆円程度をあてて、失業者、求職者への生活援助制度をつくります。職業訓練や再就職活動中の生活援助制度をつくるとともに、住宅困窮者への家賃補助や保証人などの援助制度も創設します。

     非正規雇用の労働者を正社員に登用した中小企業に、賃金の差額を助成します。

    大倒産の危険から中小零細企業を守る

     貸し渋り・貸しはがしをやめさせ、中小企業への資金供給という社会的責任を果たさせる……大銀行を先頭にした貸し渋り・貸しはがしが激しさを増しています。資金供給で最大の責任を果たすべき3大メガバンク(みずほ、三菱UFJ、三井住友)が、この1年間で2兆7600億円も中小企業への貸出を減らし、貸し渋り・貸しはがしの先頭に立っています。

     政府は、銀行の経営トップを呼んで貸し渋りをしないよう「要請」をおこないましたが、「要請」=「お願い」ですむような問題ではありません。銀行に対して、中小企業への貸出目標と計画を明確にさせて監視・監督を強化するなど実効ある対策をおこなうべきです。

     公的な融資で中小企業への資金供給をささえるために、小泉内閣以来の「構造改革」路線によってズタズタにされてしまった政府系金融を立て直すことも急務です。とくに昨年10月に導入された部分保証制度は、民間の貸し渋りを助長する役割すら果たしています。政府は、中小零細企業の強い批判を受けて、「原材料価格高騰対応等緊急保証制度」を創設し、「新たな保証制度は全額保証にする」としています。これは、政府自身が部分保証導入の失政を認めたものにほかなりません。しかし、この制度は、わずか1年半の時限措置であり、対象となる中小企業は全体の約6割程度です。こうした一時的な小手先の対応ではなく、部分保証制度そのものを撤回し、全額保証にもどすべきです。

     円高の犠牲を下請企業に押しつけるなどの不当な単価たたきを許さない……販売不振や急激なドル安円高などを口実にして、大企業が下請中小企業に乱暴な単価切り下げを要求する事態も生まれています。自分たちの利益を確保するために、下請企業に圧力をかけ、強引に単価の引き下げを押しつけることは許されません。

     下請二法を厳格に運用し、立ち入り検査を強化する、下請検査官の大幅増員をはかる、「下請かけこみ寺」などの緊急相談体制をととのえるなど、指導・監督を抜本的に強化します。下請いじめや不公正取引をおこなった大企業を処罰するとともに、その事例と企業名を公表し、被害を補償させます。

    (2)「外需だのみから内需主導へ」――日本経済の抜本的な体質改善をはかる

     日本経済を「外需だのみから内需主導」に切り替えていくことは、いまや日本共産党だけでなく、政府・与党も言い出しました。問題は、なぜ“外需だのみ”のぜい弱な経済になってしまったのかということです。この間、自公政権は「強い企業、産業を強くすれば、日本経済は強くなる」などとして、一部の輸出大企業を応援する経済政策に熱中し、そのしわ寄せを家計と内需に押しつけてきました。そのために大企業は利益を増やしましたが、家計の所得が減少したために内需は冷え込んでしまったのです。

     本気で「内需主導」というなら、経済政策の転換が必要です。すなわち、大企業から家計へと経済政策の軸足を移し、日本経済の体質改善をすすめていくことが必要です。内需をささえているのは、GDPの55%の規模をもつ個人消費と、その需要に応えるための生産です。雇用を守り、国民のくらしをささえる経済政策こそ、内需主導で日本経済の体質を変え、強化するという、いま緊急に求められている景気対策です。日本共産党は、以下の五つの対策をすすめます。

    1、安定した雇用を保障するルールをつくる

     安定した仕事こそ、国民生活の基盤です。自公政権が労働法制の規制緩和で、低賃金で「使い捨て」ができる非正規雇用=「働く貧困層」を拡大させたことは、内需低迷の大きな原因になっています。

     しかも、いま、財界・大企業が、労働者派遣法などの規制緩和を強く求めてきた本当の目的が明らかになり、その深刻な害悪が猛威をふるっています。正社員の場合には、「解雇には合理的な理由が必要」などの諸要件がありました。財界・大企業にとってこの当たり前のルールこそ“目の上のたんこぶ”でした。派遣社員や期間社員という働かせ方をつくりだし、いらなくなったら一方的な「雇い止め」「契約解除」の紙切れ一枚をつきつければ解雇できるようにする――これが労働法制の規制緩和のねらいでした。こんな非人間的なやり方を見直し、非正規雇用から正規雇用へと雇用政策を抜本的に転換させることは、いよいよ急務です。

     派遣労働や有期雇用など「使い捨て」労働の規制が必要です。労働者派遣法を派遣労働者保護法に抜本改正し、期限のある雇用契約は合理的な理由がある場合に限定する労働基準法の改正をはかり、非正規雇用から正社員への転換をすすめます。

     全国一律の最低賃金制度をつくり、時給1000円以上に引き上げます。そのために中小零細企業への賃金助成をおこないます。

     「サービス残業」「名ばかり管理職」「QC活動」など、違法な「ただ働き」をなくし、長時間労働を是正して雇用拡大にもつなげます。

     これらは内需を拡大する大きな経済効果を発揮します。正社員になることを希望している派遣労働者と、正社員と同じ労働時間で働いている有期雇用労働者(約360万人)を正社員化すれば労働者の所得が8兆円増える、「サービス残業」を根絶すれば5・7兆円増える、さらに週休2日と年休の完全取得で7・5兆円増える、これによる民間消費の拡大が国内生産に波及し、国内生産額は24・3兆円も増えるという試算もあります(労働運動総合研究所)。これだけでGDPを2・5%押し上げる効果があります。

     政府も、賃金の上昇がなかったことが内需低迷の最大の要因として認めているように、不安定雇用と低賃金を放置したままで、経済を内需主導で成長させることはできません。

    2、安心できる社会保障をきずき、国民のくらしをささえる

     雇用と並んで国民生活をささえる重要な柱は、社会保障です。ところが自公政権は、2002年度以来、社会保障予算の自然増を毎年2200億円(2002年度は3000億円)も削減し続けてきました。

     その結果、国民のくらしをささえ、命と健康を守るべき社会保障が、生活苦や将来不安を逆に増大させています。病気や失業、倒産などで生活が苦しくなったときに、高すぎる保険料が払えずに保険証が取り上げられるなど、低所得者が真っ先に社会保障制度から排除され、社会保障自体が貧困と格差に追い打ちをかけています。

     自公政権が「構造改革」で削減した年額1兆6200億円の社会保障予算を復活させて、つぎの施策にあてることを求めます。

     ――後期高齢者医療制度を廃止する。

     ――国保料(税)をひとり年1万円引き下げる。

     ――年金・生活保護・児童扶養手当などの水準を物価高騰に合わせて引き上げる。

     ――国の制度として子どもの医療費無料化を創設する。

     ――介護の保険料・利用料の減免制度をつくり、介護労働者の労働条件を改善する。

     ――障害者福祉の「応益負担」の廃止、福祉労働者の労働条件を改善する。

     これを第一歩として、社会保障の削減から拡充へと転換させ、最低保障年金に踏み出す、先進国でも異常に高い医療の窓口負担を軽減するなど、国民のくらしをささえ、憲法が保障する生存権を守る社会保障制度にしていきます。

     社会保障の拡充は、直接国民のくらしをささえ家計を温める、将来不安を解消する、そして、医療、介護、福祉などの各分野で新たな雇用を生み出し地域経済を活性化させるという、「一石三鳥」の経済効果もあり、景気対策としても大きな力になります。

    3、農林漁業の振興・中小企業の応援・地域経済の再生を

     農林漁業の再生は、地域経済の活性化に欠かせません。自公政治のもとで、米価の下落がすすみ、稲作農家の労働報酬は、時給に換算すると179円という水準まで落ち込んでいます。漁業でも、コスト割れの赤字操業におちいるなどの深刻な事態に直面し、いっせい休漁というかつてない行動に漁民が立ち上がっています。こうした状況は、地方の経済・社会の基盤を弱め、衰退の原因となっています。

     日本共産党は、すでに、農産物の価格保障・所得補償、「食料主権」を保障する貿易ルールの追求などを柱にした「農業再生プラン」を提案していますが、この実行がいよいよ急務となっています。農業の再生と食料自給率の向上は、地域経済全体を再生させる土台となります。さらに食料自給率の向上は、国際的な食料不足と価格高騰のもとで、国民の命と健康、生活を守るうえでも欠かせないものです。

     漁業では、燃油への直接補てんをはじめ、価格保障・所得補償による経費に見合う魚価を実現するとともに、食料自給率を長期的にささえる資源管理型の漁業を追求します。国内林業を圧迫している野放図な外材の輸入に歯止めをかけるとともに、国による経営への支援を強めます。

     地域経済の活性化のためにも、中小企業への経営支援がますます重要になっています。「中小企業憲章」を定め、一般歳出の0・37%しかない中小企業予算を2%、1兆円に増額するなど、国の中小企業への施策を抜本的に強化します。そのもとで、中小企業への仕事が増えるように、製品開発、販売を支援する、官公需の中小企業への発注率を高める、自然エネルギー、省資源・リサイクルなどの分野への投資を増やすなど、地域産業の強化をはかります。燃油への依存度が高く、価格転嫁の難しい業種で、経営が苦しくなっている中小企業に対して、直接補てんを実施します。小麦などの穀物に対する政府の管理をつよめ、価格の暴騰をおさえます。

     また、中小業者団体が、大企業や大手の業界団体を相手に、下請取引の改善を求める「団体交渉」をおこなう権利を保障する「公正取引確保法」、公共事業のダンピング発注をなくし、人間らしく働ける労働条件を定める「公契約法」など、中小企業の経営を守るルールづくりをすすめます。

    4、消費税増税ストップ、庶民の家計を応援する減税を

     麻生首相は、「生活者の不安を取り除く」などと言いながら、「3年後に消費税の引き上げをお願いしたい」と増税を明言しました。国民のくらしをおしつぶす消費税増税を宣言しておいて、どうして「くらしの不安」がなくなるのでしょうか。個人消費と内需に冷水を浴びせ、所得の低い層ほど重い負担を強いられる「福祉破壊」税である消費税増税に断固反対します。

     庶民生活を応援し、内需拡大につながる減税を実施すべきです。消費税の逆進性の大きな要因となっている食料品への課税をやめ、食料品非課税を緊急に実施します。05年から始まった高齢者、年金生活者への増税をやめて元にもどし、公的年金等控除の最低保障額をいまの120万円から140万円にもどし、一定所得以下の高齢者の老年者控除を復活します。所得の再配分という税制の民主的原則にたって、現在の税制のゆがみを正すことこそ、日本経済を立て直すうえでも急務です。

    5、財源は「二つの政治悪」にメスを入れてこそ

     社会保障の拡充や中小企業・農業支援など、内需主導の経済対策をすすめるために必要な財源は、これまでの大企業と大資産家応援とアメリカいいなりの政治を転換することによって可能になります。

     ムダな大型開発はもちろん、米軍への「思いやり予算」を廃止することをはじめ、年間5兆円規模にものぼる軍事費の浪費に抜本的なメスを入れることを求めます。年間320億円の「政党助成金」も廃止すべきです。

     この10年間におこなわれた大企業や大資産家への減税は、直近の年間ベースで7兆円にもなっています。この減税の結果、10年間に40兆円以上もの税収が失われました。景気悪化とはいえ、大企業は、まだまだ大きな利益をあげているという点でも、この間の利益をため込んだ巨額の内部留保を持っているという点でも、日本経済をささえる社会的責任と負担を果たすだけの体力は十分あります。大企業・大資産家へのこの間の行き過ぎた減税を元にもどし、もうけ相応の税負担を求めることは当然です。

     軍事費と、大企業・大資産家優遇税制という「二つの聖域」にメスを入れれば、消費税にたよらなくても、くらしをささえる財源を確保することができます。財源問題でも「大企業優先・アメリカいいなり」という「二つの政治悪」をただすかどうかが問われているのです。

     大企業から家計へと経済政策の軸足を移す、以上のような日本経済の抜本的な体質改善こそ、最大・最良の景気対策です。従来型のゆがんだ体質をそのままにして、「ばらまき」を行っても、今日の経済危機を打開できないどころか、いっそう深刻にするだけです。

    (3)「カジノ資本主義」への追随からの根本的転換を

     過度の投機を許さないルールを……アメリカ発の金融危機は、アメリカが行きついた「カジノ資本主義」、「ばくち経済」そのものの破たんです。米政府は、「市場万能」論に立って規制やルールをなくし、米大手金融機関は、ペテンとばくち同然の投機的な取引にのめりこみました。サブプライム問題では、返すあてのない住宅ローンをもとにした証券を「優良証券」のように偽装して世界中にばらまき、原油や穀物市場でもマネーゲームを繰り返しました。

     この「ばくち経済」の破たんをうけて、国際的な共同で、経済と金融のあり方を見直し、過度の投機を許さないルールづくりが始まっています。日本政府は、つぎのような方向で、国際的な投機規制のルールをつくるための積極的な役割を発揮すべきです。

     ――ヘッジファンドなど、規制がとどかない闇の投機集団にたいして、情報公開をはじめとして抜本的な規制強化にふみだすこと。デリバティブなどの投機的な金融商品にたいする規制強化をはかること。

     ――原油や穀物など人類の生存の土台となる商品を投機の対象としない国際的なルールをつくること。

     ――国境をこえて短期の売買を繰り返す投機マネーの暴走を抑えるために、適正な課税をおこなうこと。

     ――IMF(国際通貨基金)、世界銀行、BIS(国際決済銀行)などの国際的金融機関の規制・監督体制のあり方を抜本的に見直すこと。

     アメリカを手本にした金融自由化路線の転換を……自公政権は、「金融を自由化すれば経済もよくなる」といって、アメリカを“お手本”にした金融自由化路線をすすめてきましたが、この路線はあらゆる面で破たんしています。

     野放図な金融自由化の結果、東京株式市場は、短期売買を繰り返す外国人投資家が売買の6?7割を占め、しかもその半数がヘッジファンドだといわれています。とくに、最近の異常な円高と株安は、ヘッジファンドなどの投機マネーが、解約金の支払いや追加担保の差し入れのために手持ち資産の「現金化」を迫られているために起きています。「ばくちの手仕舞い」とでもいうべき状況です。金融自由化路線は、日本の金融市場を他の先進国に比べても、乱高下の激しい不安定な「市場」にしてしまったのです。

     金融自由化路線は、企業と経済のあり方もゆがめています。金融自由化によって、短期のもうけだけをねらった株コロガシや会社コロガシが横行し、日本を代表する大企業でさえ「市場の圧力」に脅かされています。企業は、労働者の賃金や設備投資、研究開発などに配分すべき資金を減らし、配当や自社株買いなど「株主還元」に奔走しています。これでは、まともな企業の発展も経済の発展も望めません。

     いまこそアメリカを「お手本」にした金融自由化路線を抜本的に見直し、短期的なもうけだけをねらったマネーゲームでなく、企業や経済のまともな発展、実需に貢献する金融への抜本的転換をはかるべきです。日本共産党は、すでに「地域金融活性化法」を提案していますが、国、自治体、金融機関の責任を明らかにし、中小企業や地域経済に資金が流れるための実効性あるしくみをつくることが求められています。

    麻生内閣の「景気対策」――大企業応援、国民に消費税増税でどうして景気が良くなるか

     麻生内閣は、10月30日に「経済対策」を発表し、麻生首相は、「生活者の不安を取り除く」などと言っています。しかし、政府の「経済対策」には、「ばくち経済」の失敗のつけ回しから国民を守るための施策はまったくありません。雇用、社会保障、農業、地域経済、税制などで「内需主導」に転換していくための抜本的な体質改善策も、ありません。

     麻生内閣が景気対策の「目玉」にしているのが、公明党が言い出した2兆円規模の「給付金」です。しかし、「家計支援」というなら、自公政権が02年以降、高齢者増税や定率減税の廃止、医療改悪や年金保険料の連続引き上げなどで国民に押しつけてきた13兆円(08年度年間ベース)、累計で50兆円近くもの負担増・給付カットこそ見直すべきです。痛みの押しつけはこれからも継続しながら、1回限りのばらまき、しかも3年後には消費税増税、これでどうして景気がよくなるのでしょうか。まじめな景気対策と呼べるものではなく、「公金を使った選挙買収」といわれても仕方がない代物です。

     麻生内閣の「経済対策」が応援しようとしているのは、庶民の家計ではなく、大企業・大資産家・大銀行です。

     大企業には、あらたに設備投資減税と海外子会社の所得非課税を追加しました。すでに大企業には、法人税率の引き下げや連結納税、研究開発減税などで年間5兆円も減税しています。いくら大企業に減税しても、内需の柱である家計に波及しないことは、政府自身も認めているにもかかわらず、さらに減税を追加するというのです。大資産家に対しても、株式の売買益や配当にたいする20%の税率を10%に軽減し、大資産家に毎年1兆円程度の減税をしてきた「証券優遇税制」を3年間も延長しようとしています。

     銀行への10兆円もの公的資金投入は、「金融機関の経営が悪化する前に予防的に資本注入」することを理由に、大銀行も対象に加えました。かつてはあった中小企業への貸出目標さえはずしています。この公的資金投入は、損失が出れば、国民が税金で負担する仕組みです。10年前、銀行業界全体では、約46兆8000億円もの公的資金が投入され、そのうちすでに10兆4000億円=国民1人あたり8万円以上が国民の負担になることが確定しています。公的資金を使った巨額の資本増強などの銀行応援策が「失敗しても損失は税金で救ってくれる」という体質を作り出し、投機に傾斜した銀行・金融機関を生み出す一因となっています。

     日本の大手銀行は、いまでは3兆円近い所得をあげながら、申告所得に対する法人3税の負担率はわずか4%というように、まともに税金も払っていません。さらに、公的資金で体力を増強し、損失が出ればまた国民に「穴埋め」させる、これほどの大銀行支援があるでしょうか。いま、日本の大銀行は、アメリカの大手金融機関に9000億円もの出資をおこなうなど、米英の金融機関に相次いで出資しています。「ばくち経済」の“張本人”の救済に乗り出し、それが失敗したら国民の税金で穴埋めする――こんなことが中小企業への貸し渋り対策にならないことはもちろん、景気対策にもならないことは明らかです。

    「二つの政治悪」を正す、「政治の中身を変える」という立場での対策こそ

     いま日本経済が直面している経済危機は、小手先の対策や従来型の対策をいくら積み重ねても打開できません。

     大企業優先、アメリカいいなりという「二つの政治悪」をただす、「政治の中身を変える」という立場にたってこそ、日本経済を立ち直らせ、景気を良くする道が開かれます。日本共産党は、そのために全力をつくします。