• HOME
  • インフォメーション
  • 議会報告
  • 政策と実績
  • 生活相談
  • 議員団紹介
  • 樫議員 教科書決議へ反対討論 

    [2012.7.13] -[新着情報議会報告]

     7月12日の本会議で樫議員は「教育基本法・学習指導要領の目標を達成するため、最も適した高等学校の教科書の採択を求める決議(案)」に反対討論を行いなした。以下、全文です。

     

     発議案第3号「教育基本法・学習指導要領の目標を達成するため、最も適した高等学校の教科書の採択を求める決議(案)」に反対の立場で討論を行います。
     昨年7月11日に本議会において、私どもの反対を押し切り、中学校教科書を対象にした同様の決議を強行しました。この決議では「教育基本法の目標及び学習指導要領の目標や内容を達成するため、最も適した教科書を採択するよう、各市町教育委員会を指導・助言することを強く求める」とあります。この決議が上がった後、県教委は8月31日の臨時教育委員会において、県立高松北中学校において育鵬社の歴史・公民教科書を採択することを決定しました。
     この教科書は、日本の侵略戦争・植民地支配を肯定・美化し、歴史を捻じ曲げて日本を再び「戦争ができる国」にすることを狙った「新しい歴史教科書をつくる会」の系譜を引くものであり、二度と戦争をしないと誓った日本国憲法の平和原則に背く欠陥教科書として、国民各層から強く批判されています。県教委はこの教科書を非公開で採択したのであります。
     今回の教科書採択にあたっての決議は、県教委や各高校に対して、特定の教科書を採択するように圧力をかけることを狙ったものと思われます。
     これまで高校の教科書採択は、各学校において、生徒の進路希望も含めた多様な実態に熟知した、教育の専門家である現場の教員の意見に基づいて、各学校の教科書採択委員会の場で決定され、それを教育委員会が認証するというシステムが今日まで行われており、これにより優れた教育効果をあげてきました。教科書の採択は各学校現場の意見を最大限尊重することが何より大切です。
     教科書採択に議会が介入することは、教育内容への政治の介入にあたり、憲法や現行の教育基本法の趣旨からしてもなじまないものです。
     議会の多数決によって教育内容が決定されるようなことは、できる限り抑制されなければならないことは、1976年の旭川学力テスト裁判の最高裁判決でも明らかです。同判決は、「もとより、政党政治の下で多数決原理によってされる国政上の意思決定は、様々な政治的要因によって左右されるものであるから、本来人間の内面的価値に関する文化的な営みとして、党派的な政治的観念や利害によって支配されるべきでない教育にそのような政治的影響が深く入り込む危険があることを考えるときは、教育内容に対する右のごとき国家的介入についてはできるだけ抑制的であることが要請される」としています。
     どの教科書を採択するかということは、教育内容にかかわることであるから、こうした教育内容への政治の介入はできる限り抑制されなければなりません。
     議会が決議を上げて、特定の教科書の採択を誘導するよう圧力をかけることは、現行の教育基本法第16条が禁じる「不当な支配」にあたるものといえます。以上の立場から、私はこのような教育にはなじまない決議を県議会で行うべきでないことを申し添え、反対討論を終わります。

    樫議員 一般質問・答弁

    [2012.7.12] -[新着情報議会報告]

     7月10日に行われた一般質問で樫議員が質問に立ちました。
     質問と答弁は以下の通りです。

     

     一般質問を行います。まず初めに知事の政治姿勢について3点おたずねします。

    1 知事の政治姿勢について
    (1) 非核・平和について
     第1は、核兵器の廃絶についてであります。
    広島と長崎に原爆が投下されてから67年が経とうとしています。被爆者をはじめ、核兵器の廃絶を求める運動と、国際世論の高まりの中で、2010年の国連NPT再検討会議において「核兵器のない世界の平和と安全」をめざすことが核保有国も含む世界の国々の合意になりました。私は、この合意を実行させ、核兵器のない世界の扉を開くことが、今、人類の直面している課題だと思いますが、知事のご所見をお伺い致します。
     昨年12月の国連総会で、日本政府は、マレーシアなどの提案した「核兵器禁止条約にいたる交渉開始」を求める決議に棄権しています。なぜ、日本政府が核兵器廃絶をいえないのでしょうか。それは、憲法9条をもち、「非核3原則」を国是としながら、実際には、「核の傘」などといって日本の平和と安全をアメリカの核兵器に頼る、日本政府の「二重基準」が、国連の場で核兵器廃絶の立場をあいまいにさせているからであります。
     現在、全国の自治体の9割が非核宣言を行っており、本県は1984年に全国にさきがけて決議しています。また、2020年までに核兵器の廃絶をめざす平和市長会議の加盟都市は6割を超える1,139自治体に広がり、放射能汚染を繰り返すなと原発からの撤退、自然エネルギーへの転換を求める運動も大きく広がっています。
     原爆投下から67年目の今、戦後生まれの人々の割合が75%を超え、当時の実情を知らない世代が圧倒的多数を占めています。被爆者の高齢化とともに被爆体験の風化がすすむ中、日本原水爆被害者団体協議会は、次世代に被爆の実相を伝えようと、新しい原爆パネルを作成し、原水爆禁止日本協議会と一緒に、全国すべての自治体で原爆パネル展の開催をすすめています。私は、本県でも、県庁1Fギャラリーで開催するなど、核兵器廃絶に向けて非核宣言都市にふさわしい取り組みをすべきと考えますが、知事のご所見をお示し下さい。

     

    1 知事の政治姿勢について
    (1) 非核・平和について
    (知事答弁)
     樫議員の御質問にお答えいたします。
     まず、私の政治姿勢のうち、非核・平和についてであります。
     私としては、各国の外交努力が積み重なり、核兵器のない世界が実現することは人類共通の課題であると認識しており、わが国は、世界で唯一の被爆国という立場から、核兵器のない世界の実現に向けて訴えることが重要であると考えております。
     また、県庁1階ギャラリーにおけるパネル展につきましては、国、県、市町とのつながりある公共的な団体が行うことが必要であり、開催は難しいと考えておりますが、引き続き、核兵器のない世界の実現に向けて、広報等を行い、平和に対する県民の意識がより一層高まるよう努めてまいります。

     

    (2)エネルギー政策について
     第2は、伊方原発の再稼動についてであります。
     関西電力大飯原発が、7月5日、再稼動されました。これは原発再稼動に反対する国民世論を踏みにじるものです。
     全国で50基ある原発は、再稼動の作業が進む大飯原発を含め、5月以降すべて停止したままでした。「原発ゼロ」が定着することを恐れた野田政権は、大飯原発を突破口に全国の原発を再稼動させようとしており、次は、四国電力伊方原発を再稼動させるのではないかといわれています。
     東日本大震災で重大な事故を起こした福島第1原発は、格納容器に穴があき、核燃料を冷却するため注水しても水がたまらず、建屋を通じて外部に漏れている可能性があり、放射性物質の流出の危険が続いています。野田首相は、大飯では「事故は起きない」というが、福島第1原発事故の原因究明も尽くさないでなぜそんなことがいえるのか。私はまさに「安全神話」そのものだと思いますが、知事のご所見をお伺い致します。
     さらに野田首相は、夏場の電力問題などを挙げて「国民生活を守る」といいましたが、国民の命や財産に関わる安全の問題と、電力確保の問題を天秤にかけることは許されません。野田政権が国民の安全を踏みにじって再稼動に踏み切ったのは、操業への影響を心配し、原発に固執する財界・大企業の主張に屈したからではないでしょうか。
     さて、政府の有識者検討会が3月末、四国・九州の沖合から伊豆半島沖合までのびる南海トラフ沿いのプレート境界で、マグニチュード9.0の巨大地震が発生する可能性があると公表しました。それによりますと、伊方原発への影響は震度6強となっています。日本最大の活断層・中央構造線が敷地前面の海に走る伊方原発は震度6強に耐えられるのでしょうか。お答えください。
     全国各地で、「原発再稼動を撤回せよ」「原発なくせ」の国民の叫びが相次いでいます。首相官邸前には20万人の集会が開かれ、「伊方原発の再稼動許すな」と1300人が愛媛県庁を包囲しました。また622人の原告が伊方原発運転差し止め訴訟に立ち上がっています。今や「原発なくせ」の声は空前の広がりを見せていますが、知事はどのように受け止めていますか。私は、伊方原発の再稼動を許さず、原発からの撤退、自然エネルギーへの転換を、知事として明確にすべきと考えますが、ご所見をお示し下さい。

     

    (2)エネルギー政策について
    (知事答弁)
     次に、エネルギー政策等についてであります。
     大飯原子力発電所の再稼働については、安全性を最優先に、専門家の検証やチェックがなされ、地元の理解も踏まえ、国の責任において判断されたと考えております。
     南海トラフにおける最大クラスの地震による伊方原子力発電所への影響については、現在、四国電力において、影響の検討が行われており、その検討結果、さらに中央構造線の活断層について、国の審議会である「地震・津波に関する意見聴取会』において、厳正に確認されることとなっていることから、こうした動向を注視してまいりたいと考えております。
     原子力発電所の是否については、様々な意見があることは承知しております。
     先月29日、国のエネルギー・環境会議は、2030年における原子力発電等の比率について、3つのシナリオを示したエネルギー・環境に関する選択肢をとりまとめました。
     いずれも、再生可能エネルギーや省エネルギーを最大限進めることで、原発依存度も化石燃料依存度も下げ、今よりもエネルギー安全保障を改善し、かつ、温室効果ガスを削減する選択肢となっています。
     私としては、これまでも、中長期的には、太陽光や地熱発電も含めた再生可能エネルギーの普及を促進していくことが良いのではないかと申し上げているところであり、これからの選択肢が、大きな方向性としては、是としうるものと考えています。
     しかしながら、3つのシナリオの間でも、具体的な方法としては、それぞれ、相当の相違があるため、早急に国民的議論を、様々な形で展開し、その上で、エネルギー選択、それと表裏一体の地球温暖化国内対策に関して、国において、責任を持って結論を出していく必要があると考えています。

     

    (3)社会保障と税の一体改革関連法案について
     第3は、民自公3党合意の消費税大増税、社会保障改悪についてです。
     民主、自民、公明の3党が「修正」で合意して衆議院を通過させた消費税増税法案に対し、国民の反対の声は、収まるどころか、採決後行われた世論調査でも「反対」が過半数を超え、「修正」しても今国会での成立を望まないという声も多数を占めます。
     政治の方向を決めるのは、主権者である国民の意思です。消費税増税法案は、衆院では民自公3党の圧倒的な賛成で可決されましたが、国民の中では少数派です。それが明らかな以上、参議院で廃案にすることこそ、民主主義を貫くことになります。
     民主党は3年前の総選挙のマニフェストで「増税しない」と約束、その後、菅政権が一昨年の参院選で消費税率10%を打ち出し、国民のきびしい審判を受けました。野田首相が持ち出した消費税増税が民主党の公約に違反することは明白であり、衆議院の審議では野田首相自身「うそつき、ペテン師と批判されている」と認めました。「うそつき」といわれたくないなら自ら消費税増税を撤回するしかありません。
     「信なければ立たず」という言葉があります。どんな政治であれ、どんな政策であれ、国民に支持されず、道理がなく国民との約束を破るようなものは通用しません。
     国民の暮らしを破壊し、経済を冷え込ませる消費税の大増税について、四国経済連合会の常盤会長は「消費税引き上げは今すべきでない」と記者会見で表明しています。また、先日の文教厚生委員会で、平成22年度、県立病院だけで3億5500万円の消費税を負担している実態が明らかになり病院事業管理者は「消費税増税に見合う診療報酬改定がない限り、経営を圧迫する」と答弁しました。要は赤字になるということです。全国自治体病院協議会の邉(へん)見(み)会長は「このままでの増税では経営が成り立たない」といっています。
     以上の状況を踏まえ、私は消費税の大増税にきっぱり反対すべきと思いますが、知事のご所見をお示し下さい。

     次に、3党談合にもとづき、衆議院採決の間際に突如として提出された「社会保障制度改革推進法案」についておたずねします。
     この法案は、社会保障の基本的な考え方として、国民の「自助」「自立」を中心に置いており、「家族相互」「国民相互」の助け合いで支援していくとしています。
     これは今までの社会保障の考え方を根底から覆すものです。憲法25条で「国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とし、その実現に国が責任を持つことを明確にしています。これが社会保障の原則です。ところが、この法案は憲法25条の生存権を完全に無視し、社会保障を削り、国の負担を減らすことを鮮明にしています。私は、憲法を逸脱する法律はつくれないと思いますが、知事のご所見をお示し下さい。
     法案の検討過程では、医療保険では、保険給付の範囲の「適正化」を図るとして、市販薬類似医薬品などを保険適用外とすること、保険料の「負担の公平」を確保するとして有病率が高く医療費がかかる高齢者に重い負担を求めることなどが議論されています。さらに介護保険のサービスの「重点化」は、軽度の人の利用料を1割から2割に引き上げるなど、介護保険の給付を縮小し、保険外サービスを自費で払わせるやり方です。生活保護も給付水準の引き下げ、扶養義務の徹底強化、就労の強要、急増する生活保護利用者を増やさないための申請抑制などを進めようとしています。
     以上のように、この法案は、戦後、築いてきた社会保障制度を根本的に改悪、削減するひどいものでありますが、知事はどのように受けとめておられますか。ご所見をお示し下さい。
     今まで、民主、自民、公明などの消費税増税論者は「消費税増税で社会保障を充実する」と増税を正当化してきました。ところが、この法案では、社会保障の公費負担の財源は消費税で賄うことが明記され、消費税増税の大義名分はなくなりました。私は、社会保障の財源を消費税で賄うということは、社会保障をよくしたければ消費税を上げるか、それが嫌なら、低い社会保障でも我慢せよという最悪の選択に国民を追い込む仕掛けづくりだと思いますが、知事の見解をお示し下さい。

     

    (3)社会保障と税の一体改革関連法案について
    (知事答弁)
     次に、社会保障と税の一体改革関連法案についてであります。
     先般、この関連法案が衆議院を通過したところでありますが、同法案に定める内容は、現在の国と地方の財政状況や社会保障に関する危機的状況を踏まえれば、地方の社会保障の充実、安定的な地方の社会保障財源を確保する観点を含め、基本的に避けては通れないものと考えております。
     また、消費税及び地方消費税の引き上げに当たっては、経済状況の好転について、名目及び実質の経済成長率、物価動向等、種々の経済指標を確認するなど、経済状況等を総合的に勘案することとされており、景気への配慮がなされているところであります。
     しかしながら、国民の皆様に負担をお願いすることとなるだけに、「社会保障と税の一体改革』への理解を深める取組みや低所得者層に配慮した「逆進性」への対応はもとより、歳入・歳出全般にわたる一層の見直しの可能性についても十分検討がなされることが重要であると考えております。
     社会保障制度改革推進法案については、制度改革の基本的な考え方や国の責務等を定めるとともに、国民会議を設置することにより、総合的かつ集中的に推進しようとするものであり、憲法第25条を逸脱しているものとは受け止めておりません。
     いずれにせよ、現在の社会保障制度が形成された当時とは、社会経済情勢が大きく変化していることから、今の時代に適合するよう、制度全般にわたる改革が必要になっていると考えておりますが、医療保険、介護保険、生活保護等の個別の制度については、サービスの大半を担う地方の意見や制度運営の実態を踏まえた検討が行われるよう要望を行ってまいります。
     最後に、社会保障の公費負担の財源を消費税州で賄うということについては、世代間及び世代内の公平性が確保された社会保障制度を構築する上で、税源の偏在性が小さく、安定的な財源を確保する観点が重要であり、全国知事会としても1.54パーセント相当分の地方財源は、地域における社会保障の総合的展開に欠かすことのできない地方単独事業の充実を含めた地方の社会保障の充実による持続可能な社会保障を構築する上で大きな意義をもつものとしており、私も同様に考えているところであります。

     

    2 中小企業の振興について
     次に、中小企業の振興についておたずねします。
     今、日本経済は長い低迷にあります。名目GDP(国内総生産)は1997年523兆円を記録して以来、停滞、働く者の賃金は、2010年には、ピークの1997年比90%まで落ち込み、労働者の3人に1人が不安定雇用におかれ、自営商工業者は、1990年の868万から2010年には602万へ激減しています。
     多国籍化した巨大企業は、マーケットの確保とともに、低賃金のアジアに進出する一方、国内では、派遣労働の全面的解禁と下請企業への単価切り下げをすすめてきました。この雇用破壊と中小企業の締め付けは、デフレを深刻化させ、税収を下げ、社会保障制度を壊し、青年の未来を閉ざし、少子化に拍車をかけています。将来、日本社会はどうなるのか。今まさに、日本の進路にかかわる大きな岐路に立たされています。
     1つの道は、あいもかわらず多国籍化した巨大企業のために便宜をはかることが国民経済にプラスになるとする「新成長戦略」の道です。民主党野田政権の進める、原発の再稼動や輸出、TPP参加、法人税減税と消費税の大増税、新たな子育て方針などの規制緩和は、この戦略の具体化であります。
     もう一つの道は、大企業中心の政策を転換させ、中小企業を重視する経済政策の道です。新たなうねりとなっている中小企業者たちの活動に明確な理念と政策的支援の方向性を与える中小企業憲章や地方自治体での中小企業振興条例の示す方向です。
     日本の企業の99.7%、圧倒的多数が中小企業であり、雇用の7割から8割を支えており、多くの中小企業の経営者は、「従業員を大事にしてこそ経営も発展する」、「健全な独立の中小企業が国民経済を健全にし発展させる」という立場でがんばっています。私は、中小企業は、地域に密着し、持続可能な地域づくりと地域経済の再生になくてはならない社会的存在であり、地域の雇用を守り、文化を継承し、地域に豊かさと元気と展望をもたらす大きな役割をになっていると思います。また国民が生きいきと働き、安心して暮らせる日本の再生の上で、今こそ中小企業や自営業者の力の発揮が求められている時はないと思いますが知事のご所見をお示し下さい。
     さて、わが県議会では、中小企業振興条例制定の検討がなされてきたところでありますが、本県経済発展のために、県が行わなければならない中小企業への支援や振興策をどのように考えているのか。私は、今まで一貫して主張してきました耐震診断・改修と合わせた住宅リフォーム助成制度の創設による新たな仕事おこしを積極的に行うとともに、県の制度融資の拡充と、融資期間の延長など中小業者の立場に立った改善や、中小企業施策の実施状況をチェックし、施策を効果的に実施させるための、関係団体の代表や有識者らによる検討委員会の設置など、中小企業の振興に全力を傾注すべきと思いますが知事の決意をお示し下さい。

     

    2 中小企業の振興について
    (知事答弁)
     次は、中小企業の振興についてであります。
     本県の中小企業は、県内企業全体の99%以上を占めており、本県経済の原動力として重要な役割を果たすとともに、地域社会の担い手として、本県の発展、県民生活の向上に寄与してきたところであり、今後も、私が取り組んでいる「元気・安心そして、夢と希望あふれる香川づくり」にとって、中小企業の力は、極めて重要であると考えております。
     このため、県では、中小企業のニーズに合った、実効性のある効果的な支援を、産業支援機関や経済団体、金融団体等と連携して実施する必要があると考えており、これまでも各種施策を積極的に展開しております。
     具体的には、制度融資の拡充や設備投資資金に対する利子補給、「かがわ中小企業応援ファンド」や「かがわ農商工連携ファンド」を活用した、研究開発や新製品開発、販路開拓、商工会等による経済指導、さらには、農産業技術センターによる技術指導、さらには、県産業技術センターによる技術相談や技術協力、県高等技術学校での人材育成など、資金面、技術面、経営面からの総合的な支援を充実しているところです。
     お尋ねの住宅リフォーム助成制度の創設につきましては、現在、県民の皆様の安全と安心を守る観点を重視し、限られた財源を有効に活用し、民間住宅耐震対策支援事業に全力で取り組んでいるところであり、難しいと考えております。
     また、制度融資につきましては、これまでも、経済情勢の変化に対応し、適宜、見直しを行ってまいりましたが、今後とも、より利用しやすく効果的な制度となるよう、見直しを行い、中小企業の資金調達の円滑化に努めてまいります。
     中小企業施策の推進に当たっては、私自身、さまざまな機会を捉え、企業経営者や経済団体の皆様からご意見を伺っておりますほか、職員による企業訪問、各種会合やアンケート調査などを通じ、企業の現況やニーズ、施策の効果について把握してきているところであり、ご提言の関係団体や有識者による検討委員会を、直ちに設けることは考えていませんが、これまで以上に県内中小企業の実態やニーズを反映した、より効果的で実効性の高い施策を推進し、県内中小企業の振興を図ってまいります。

     

    3 豊島廃棄物等処理事業について
     次に豊島廃棄物等処理事業についておたずねします。
     この問題については、わが党の市田忠義書記局長が、6月18日の参議院環境委員会で、豊島の現地調査をふまえて、質問に立ちました。質問の論点は①産廃特措法が適用された2003年12月から今日まで、約111億円の国費を投入して処理が進められてきたが、県が2009年3月と2011年6月の2回、実施計画の変更申請を行ない、大臣が同意をしている。処理開始から10年近くになるが、ほとんどの処理が終ってしかるべき時期なのに、廃棄物の量は減るどころか増えている。環境省は、この事実を、2回の変更申請の同意の時点でなぜ気付かなかったのか。②それは、県の方からの情報提供がなかったからというが、国が、基本方針に基づく実態調査をやってなかったからではないか。改めて調査しておれば、より正確な実態把握はできたはずであり、国の指導責任は免れない。③元々公害調定では、県内で処理すると定められていたにもかかわらず、2012年度末の法の期限までに処理をすすめようと、県外での水洗浄処理に変更したものであり、豊島の人たちは、自分たちと同じような苦しみを他の土地の人に広げたくないと、本当に外で処理して大丈夫なのかと心配をされていた。これが、今日の混乱を引き起こした要因でないか。④産廃特措法を10年延長するのであるから、元々の公害調定の精神に立ち返って、オンサイトで処理施設を造るなどして、公害調定の期限までに、安心、安全に処理が完了するように、県任せにしないで国が責任を持つべきでないか。と4点に渡って、国の責任と原点に立ち返った解決の方向を示す内容であります。
     これに対し、細野環境大臣は「市田委員の御指摘は重要な論点を提示していると思う。処理が適正に行われているかどうかをチェックするのが国の役割。御指摘いただいた計画変更の同意は非常に大きなポイントであり、同意をするからにはそれなりのしっかりとした事実を把握した上での判断というのが求められると思う。その御指摘を受けて、豊島についてはしっかりと処理できるよう取り組んでまいりたい」と国が行うべき汚染実態と進捗状況の把握、処理方法変更に対する適切な助言、指導を事実上怠ってきたことを認めるとともに、安全、安心に処理が進むよう国が責任を果たしていくことを表明する答弁を行いました。この点について、知事はどのように受け止めておられるのかお伺い致します。
     さて、知事は5月10日、直下汚染土壌の水洗浄処理を大津市で行わないことを表明し、混乱に終止符を打ち、先の代表質問では、「処理方法として、水洗浄処理を再度の入札により他の事業者へ委託する方法、水洗浄処理以外の他の処理方法、オンサイトでの水洗浄処理の3つの方法を検討している」と答弁されましたが、大津市での処理問題は全国ニュースとして大きく取り上げられ、今後、県がどういう方針を決定するのかについて、全国民が注目して見ている訳ですから、豊島住民の方々の思いに立って、国との協議をふまえ、安全・安心な処理方法と処理計画を確立しなければなりません。知事の決意をお伺い致します。
     なお、処理方法については、学者からきびしい指摘がされています。日本環境学会の畑(はた)明郎(あきお)前会長は①廃棄物処理は都道府県内処理が原則②水洗浄処理は、大量の濁水が発生し、沈澱処理をしても重金属を含む汚泥が大量に発生。汚染汚泥はセメント会社が引き取りたがらないので適切に処理・処分されるか疑問③豊島産廃の現場では、PCB、ダイオキシン類などで汚染された土壌も見つかっており、これが混入する可能性もあり、PCBやダイオキシン類は水洗浄処理では除去できない、と述べています。こうした科学者の指摘もふまえ対処すべきと考えますが、知事のご所見をお示し下さい。

     

    3 豊島廃棄物等処理事業について
    (知事答弁)
     次は、豊島廃棄物等処理事業についてであります。
     県ではこれまでも、国に対して、随時、事業の進捗状況などの情報を提供するとともに、必要な協議を随時、行いながら事業を進めており、豊島廃棄物等管理委員会にも、毎回国の職員がオブザーバーとして出席し、審議・検討状況を確認いただいているところであり、引き続き、国との連携を密にして、事業を実施してまいります。
     水洗浄処理について、現にほかの地域の汚染土壌を処理しているにもかかわらず、大津市の地元住民の中で「豊島の汚染土壌だから」という理由で反対があったことは、誠に残念であり、遺憾でありますが、今後の汚染土壌の処理方法については、現在3つの方法を検討中であり、今回の大津市での一連の経緯を踏まえ、処理事業者や地元の状況についての情報収集を十分に行うとともに、契約方法や条件を検討した上で、平成28年度末までの全量処理に影響を及ぼすことのないよう、早期に方針を決定してまいります。
     なお、ご質問にあった処理方法に関するご指摘については、汚染土壌の処理は、土壌汚染対策法に基づく許可制度により、県域を越えた処理が進められています。
     さらには、水洗浄処理は、鉛やヒ素などの重金属汚染された土壌を対象としており、PCBやダイオキシン類が基準を超える土壌は対象としないこととしています。
     科学的知見については、日本でも有数の環境分野の専門家からなる豊島廃棄物等管理委員会の指導・助言をえながら、実施してきているであります。
     本事業は、平成12年に合意した調停条項に基づき取り組んである、県政の最重要課題の一つであり、何としてもやり遂げねばならない事業であると考えており、引き続き、直島町と豊島住民の方々、県議会をはじめ県民の皆様の格別の御理解と御協力を得て、最後まで、安全と環境保全を第一に、調停条項で定められた平成28年度末までの処理期限を厳守するよう、全力で取り組んでまいります。

     

    4 給付型奨学金制度について
     最後に、高校生・大学生への給付制奨学金制度の創設についておたずねします。
     日本は、世界一学費の高い国となっており、憲法26条「教育の機会均等」の原則が、貧困と格差の広がりで崩れつつあります。世界では大学の高等教育まで無償というのがあたりまえになっています。OECD加盟30ヵ国の状況をみますと、大学の授業料無償化は15ヵ国、給付制奨学金実施は28ヵ国で、その両方とも行っていない国は日本だけです。
     日本共産党の国会質問で、初めて国の概算要求の中に給付制奨学金支給が盛り込まれましたが、野田内閣は本予算からカットしました。これは世界の流れに逆行する恥ずべきことだと思いますが、教育長はどのようにお考えでしょうか。お示し下さい。
     さて、ユニセフの研究機関によりますと「先進35ヵ国の子どもの貧困率」は、日本は第9位で、国民1世帯当りの可処分所得から割り出した相対的貧困ライン、年間112万円以下の家庭で暮らす18才未満の子どもは14.9%、305万人いるといわれています。先の文教厚生委員会で、私の質問に対し本県では約12%で、1万人以上いるということが明らかとなり貧困と格差の広がりが本県でも、深刻な状況になってきていると思われますが、教育長のご所見をお示し下さい。
     本県の奨学金制度は、給付制ではなく貸与制です。貸与制は返還しなければならず、借金と何ら変わらず、奨学金とは借金の奨めではないはずです。奨学金と呼ぶからには、給付制が基本でなければなりません。
     義務教育には、学用品や修学旅行費などを援助する就学援助制度があるが、高校生や大学生にはそれがありません。こうした観点からも給付制にすべき必要性があると思います。さらに、県下の市町では、高松市と琴平町、多度津町で高校生に対し、給付制の奨学金制度が実施されています。県下の1市2町に住む高校生には給付制の奨学金制度があるがそれ以外ではないというのは、「教育の機会均等」の原則からみても問題があるのではないでしょうか。
     以上の立場から、私は、県下の高校生、大学生に対する給付制奨学金制度を創設し、未来を担う子どもたちが安心して勉学に励めるようにすべきと思います。また国に対し、国の制度として給付制奨学金制度の確立を強く求めるべきと思いますが知事並びに教育長の決意をお伺い致します。

     

    4 給付型奨学金制度について
    (知事答弁)
     次は、給付型奨学金制度についてであります。
     本県の大学生等に対する奨学金制度は、子育て家庭の経済的負担の軽減が図られるよう、選考の際に、就学中、就学前の子どもが3人以上いる世帯を優遇する仕組みを設けるとともに、卒業後、一定期間、県内に居住し、県内で就業している場合に、奨学金の返済額の一部を免除することを特色としており、昨年の2月議会で条例制定の御議決をいただき、今年度から貸付を開始しております。
     この制度は、国の無利子貸付制度と同様、意欲及び能力が高く、かつ、経済的な理由により就学することが困難な者に貸し付けるものであり、将来、勤労者となり収入を得ることを想定していること、限られた財源を有効に活用する必要があることなどから、返済が困難な特別の事由がある場合に債務免除ができるものとの規定を設けたものであり、御提案の給付型奨学金制度の創設や国への要望については考えておりません。

    (教育長答弁)
     樫議員の給付型奨学金制度についての御質問にお答えいたします。
     平成24年度の国の予算における奨学金制度の見直しについては、返還するという原則は維持しつつ、返還が困難な者について猶予制度を拡大するとともに、貸与人数の増員を図ったものと理解しております。
     また、就学援助制度の対象となっている児童生徒の割合は、平成22年度において、全体の約12%となっておりますが、こうした子どもたちに対しては、学用品費や修学旅行費、給食費等を支給するなど、家庭の経済的な状況にかかわらず、適切に教育を受けることができるよう、支援しているところであります。
     次に、本県の高等学校等奨学金は、返還金を次の世代の奨学金の原資とする運用を行っており、限られた財源を効率的・効果的に活用する必要があることなどから、返還が困難な者には変換猶予制度を設けたうえで、無利子で貸与しているものであり、ご提案の制度の創設や国への要望については、考えておりません。

     

    (再質問)
    1 知事の政治姿勢について
    (1)非核・平和について
     高松市では20年以上にわたって原爆写真展を市役所の1階ロビーで実施しているが、なぜ県でそれが困難なのか。理解できないので答えてほしい。

    (知事答弁)
     非核と平和に関しましても、私どもの県におきましても、毎年、原水爆禁止香川県協議会が主体となって行う大会への助成を行っているほか「原水爆国民平和大行進」において、私からのメッセージを伝えるなど、核兵器廃絶に向けた運動に協力しているところであり、高松港においても広報塔を設置し、核兵器のない世界の実現に向けて、平和に対する県民の意識が一層高まるよう努めているところであります。

     

    (2)エネルギー政策等について
     原発を、国会の事故調査委員会の報告書によると、自然災害ではなく明らかに人災であるとされている。規制する側と規制される側の力関係が逆転していた。電力会社が力を持ち、規制委員会が働かなかった。
     福島第一原発は、政府は津波での被害であり、地震による被害ではないといってきた。これが再稼働の根拠だった。しかし、この報告書では地震による原子炉の損壊がないとは言えない。検証が必要だったといっている。もはや再稼働の根拠は崩れている。そういう中で伊方原発の再稼働について、知事が国の責任において結論を出されるべきものということを言われているが、知事の自分自身の考えを表明してください。

    (知事答弁)
     エネルギー政策についても重ねてで恐縮でございますけれども、現在、エネルギー・環境会議において進められている選択肢を踏まえて検討していくべきものと考えております。

     

    (3)社会保障と税の一体改革関連法案について
     消費税ですけれども、フランスは付加価値税の増税、日本でいう消費税これを大統領選挙でオランド氏が勝利することにより、付加価値税への増税をやめて富裕層に課税を強化することになった。日本でも富裕層に課税を強化するという消費税に頼らない道があると思いますが、知事の言う持続可能な社会を築くためには消費税の増税は仕方ないという趣旨の答弁だったと思いますが、フランスのようなことが何故日本でできないのかお答えいただきたい。

    (知事答弁)
     社会保障と税の一体改革について、フランスの例をお述べになりましたけれども、やはりそれぞれの国において財政事情等が根本的に異なっているところがあろうかと思います。そういった事情を踏まえて、現在進められている検討の方向につきまして、先ほども申し上げたとおり、地方の立場からも必要なものと考えているところでございます。

     

    4 給付型奨学金制度について
     相対的貧困ライン、1年間112万円以下で暮らしている18歳未満の子どもがこの香川県下で1万人以上いるという実態を見て知事はいったいどう思われるのでしょうか。教育の機会均等について考えるのであれば、給付型の奨学金について、県が財政的に困難なら国に要望してもよいと思うが、それもしないというのは言いすぎだと思う。知事のお考えはいかがか。

    (知事答弁)
     給付型奨学金制度については、先ほど政策部長からご答弁申し上げたとおり、国の無利子貸与制度と同様のスキームになっており、我が方において、実施しないものを国に要望するのはいかがかと思っております。