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  • 樫議員 教科書決議へ反対討論 

    [2012.7.13] -[新着情報議会報告]

     7月12日の本会議で樫議員は「教育基本法・学習指導要領の目標を達成するため、最も適した高等学校の教科書の採択を求める決議(案)」に反対討論を行いなした。以下、全文です。

     

     発議案第3号「教育基本法・学習指導要領の目標を達成するため、最も適した高等学校の教科書の採択を求める決議(案)」に反対の立場で討論を行います。
     昨年7月11日に本議会において、私どもの反対を押し切り、中学校教科書を対象にした同様の決議を強行しました。この決議では「教育基本法の目標及び学習指導要領の目標や内容を達成するため、最も適した教科書を採択するよう、各市町教育委員会を指導・助言することを強く求める」とあります。この決議が上がった後、県教委は8月31日の臨時教育委員会において、県立高松北中学校において育鵬社の歴史・公民教科書を採択することを決定しました。
     この教科書は、日本の侵略戦争・植民地支配を肯定・美化し、歴史を捻じ曲げて日本を再び「戦争ができる国」にすることを狙った「新しい歴史教科書をつくる会」の系譜を引くものであり、二度と戦争をしないと誓った日本国憲法の平和原則に背く欠陥教科書として、国民各層から強く批判されています。県教委はこの教科書を非公開で採択したのであります。
     今回の教科書採択にあたっての決議は、県教委や各高校に対して、特定の教科書を採択するように圧力をかけることを狙ったものと思われます。
     これまで高校の教科書採択は、各学校において、生徒の進路希望も含めた多様な実態に熟知した、教育の専門家である現場の教員の意見に基づいて、各学校の教科書採択委員会の場で決定され、それを教育委員会が認証するというシステムが今日まで行われており、これにより優れた教育効果をあげてきました。教科書の採択は各学校現場の意見を最大限尊重することが何より大切です。
     教科書採択に議会が介入することは、教育内容への政治の介入にあたり、憲法や現行の教育基本法の趣旨からしてもなじまないものです。
     議会の多数決によって教育内容が決定されるようなことは、できる限り抑制されなければならないことは、1976年の旭川学力テスト裁判の最高裁判決でも明らかです。同判決は、「もとより、政党政治の下で多数決原理によってされる国政上の意思決定は、様々な政治的要因によって左右されるものであるから、本来人間の内面的価値に関する文化的な営みとして、党派的な政治的観念や利害によって支配されるべきでない教育にそのような政治的影響が深く入り込む危険があることを考えるときは、教育内容に対する右のごとき国家的介入についてはできるだけ抑制的であることが要請される」としています。
     どの教科書を採択するかということは、教育内容にかかわることであるから、こうした教育内容への政治の介入はできる限り抑制されなければなりません。
     議会が決議を上げて、特定の教科書の採択を誘導するよう圧力をかけることは、現行の教育基本法第16条が禁じる「不当な支配」にあたるものといえます。以上の立場から、私はこのような教育にはなじまない決議を県議会で行うべきでないことを申し添え、反対討論を終わります。