[2008.7.29] -[議会報告]
6月議会の一般質問は、樫昭二議員が 後期高齢者医療制度や内海ダムの再開発事業問題、ハンセン病療養所の将来構想などについて知事の姿勢をただしました。
一般質問については以下のとおりです
一般質問を行います。まずはじめに知事の政治姿勢について、以下3点おたずねします。
第一は、後期高齢者医療制度についてであります。福田・自公政権が4月実施を強行した後期高齢者医療制度に、日本列島を揺るがす怒りがわき起こっています。現代版「うば捨て山」とも呼ばれる血も涙もないこの制度の害悪は、制度の一部「見直し」で解決はできません。廃止しかありません。その理由は第一に、医療費の削減を理由に高齢者を差別することは許されないということ。第二は、この制度は存続すればするだけ、過酷な痛みを高齢者に押し付けるということ。第三は高齢者だけでなく、すべての世代に重い負担を押しつける制度だからであります。
塩川正十郎元財務大臣は、自宅に届いた後期高齢者医療制度の通知に「その紙切れは私の人生を否定するものでしかなかった」とのべ、堀内光雄自民党元総務会長は「医療費のかかるお年寄りに出ていってもらうというのは『うば捨て山』以外の何ものでもない」と語っています。中曽根康弘元首相も「名前が実に冷たい。愛情の抜けたやり方に老人が全部反発している。至急に元に戻して考え直す」べきことを求めています。
真鍋知事あなたは県民の立場に立ち、国に対し廃止を強く求めるべきではないでしょうか。2000年の国会で、この制度が提案されて以来、一貫して反対してきた党として知事のご所見をお伺いします。また制度が廃止されるまでの間、保険料の負担軽減のため広域連合に対する助成を行うべきだと考えますが知事の基本的な考えをお示しください。
第二は、妊婦健診への助成についてであります。厚労省の調査で、妊婦健診の費用を5回以上公費で負担している自治体が、全体の9割に達しており、全国平均5・5回になっています。県下17市町では、全国平均を上回っているのは高松市と琴平町でいずれも6回、県下の平均は4・88回と全国平均を下回っています。
今、女性の労働環境の悪化などによりリスクの高い妊婦が増えているといわれています。子育て世代にも「貧困と格差」が広がり経済的困難を抱える世帯が増えています。ところが知事は先の代表質問において、県費補助は困難と平然と答弁しています。私は子どもを生み育てるという人間にとって最も大切な問題に知事のような冷たい姿勢は許されないと思います。積極的な支援策を強く求めるものでありますが、知事のお考えをお示しください。
第三は、高瀬のぞみが丘中学校の廃止についてであります。かつて全国的に中高一貫教育が華々しく取り上げられるなか、本県では2001年度に高松北高校に高松北中学校を、2002年度に高瀬高校に高瀬のぞみが丘中学校を併設しました。ところが、スタートして6年にしかならないのに高瀬のぞみが丘中学校を廃止する条例案が出されました。このようなケースは、全国で初めてではないかと思われますが、誰が責任をとるのでしょうか。将来的な見通しも持たずに建設費として1億9,200万円、ならびに運営費として毎年度約1億5,700万円もの県民の税金をムダ遣いしたことに対して、知事は議案説明で何の反省も釈明もしていません。知事、あなたは入学して卒業もしないうちに自分の母校がなくなってしまう、そんな生徒のつらい気持ちが分かりますか。政策決定し、予算執行した最高責任者として、知事の責任を明確にすべきと思いますが、ご所見をお示しください。
次に内海ダム再開発事業についてお尋ねします。
先に開かれた公聴会が開かれたことを受けて、以下5点についてお尋ねします。
第一に、新ダム建設の正当性のなさについてであります。公聴会で我が会派の白川議員が口述した「激甚災害指定は災害を受けた地域で認定されるはず。昭和51年の台風災害で、国の激甚で改修をしたのはどの川か」という問いに対して県は「安田大川のみ」だと答え、「なぜ、別当川は激甚で改修を行わなかったのか」の問いに対しては、「別当川の下流では川自体が大きな被害を受けていないため、国の採択基準に合わなかった」と、明確に答えています。このことはこれまで県が別当川の被害を過大なまでに報告していたにもかかわらず、災害自体は別当川によるものではなかったことを証明するものです。また、下流域の被害を食い止めるためダムの再開発をするとうたっていますが、「下流では川自体が大きな被害を受けていない」のに、どうして下流域のためのダム開発が必要になるのでしょうか。明確にご答弁ください。
第二は利水問題です。県は国土交通省への事業認定申請書の中でも、「小豆島町の給水人口は19年3月末で14,939人、一日最大給水量の実績は9,906・」といっていますが、これは旧内海町の一日最大給水量の実績と旧・池田町のそれを足したものとなっています。つまり、一年365日のうち、旧内海町と旧池田町がそれぞれ、一番多く水道水を使った日の量をピックアップしてそれを合算して出した数字となっています。旧町ごとのまったく違った日の給水量を足して、これで本当に小豆島町の一日最大給水量だといえるのでしょうか。
第三に、起業者の能力についてです。公聴会で県は、土地収用法第20条で示されている4つの事業認定の要件をすべて満たしていると述べましたが、そのうちのひとつは「起業者が当該事業を遂行する充分な意思と能力を有するものであること。」という主体者の能力を問うています。香川県は7年連続でマイナス予算を組み、基金を取り崩して歳入確保を図っている状態です。内海ダムの総事業費は今のところ185億円であり、すでに50億円を越えて支出していることをみても、資材費の高騰が続く中、費用の面では当初の計画を大幅に上回るものになるのではありませんか。総事業費のうち半分は借金となります。これに金利が付き、これまでの県債にプラスして、毎年支払いが膨らんでいくことになります。「平成19年度の一般会計決算見込み」でも、「今後も極めて困難な財政運営を迫られる」と明記されており、財政再建まで進めているわが県にその要件を満たすだけの能力が本当にあるとお考えかどうかお尋ねいたします。
第四は 住民を無視しての土地の強制取り上げは許されないということであります。香川県のダム事業で土地収用法に基づく強制収用を強行した例は過去にありません。住民の生命と財産を守る治水対策で反対住民を無視し、財産までも奪うことは本末転倒です。地権者が代理人を立てているにもかかわらず、その弁護士には一度あいさつに行っただけというのは本当でしょうか。話し合いもせずに強制収用するというのは県としてとるべき態度ではありません。ダムを作るためには法律さえも無視するという知事のやり方は異常です。なぜこのようなことになっているのか明確にご答弁ください。また、去る6月25日、超党派の国会議員で作る「公共事業チェック議員の会」が県を訪れ、事業の必要性について聞き取り調査をしていますが、その結果について「住民への説明責任を果たしておらず、整備効果も疑問だ。税金の無駄遣いではないか」と批判し、計画を白紙撤回するよう求めていますが、知事はどうお感じになったのかお答えください。
第五は公開討論会の開催についてです。公聴会で県は公述人から公開討論会開催の要望を受けましたが、「公開討論会の開催は行わない」と答弁し、それは「知事の意思だ」と答弁されました。知事はこれまでもかたくななまでに公開討論会を拒否してきましたが、事業に正当性があるのであればそうした場でこそしっかりと議論するべきではないのでしょうか。ご答弁ください。
つぎにハンセン病問題基本法の成立を受け、大島青松園の将来構想を確立することについてお尋ねします。
90年に及ぶ国の強制隔離政策を違憲と断罪した熊本地裁判決から7年。隔離の歴史を乗り越えて地域の人たちとつながり、生きていて良かったと思いたい」というハンセン病回復者たちの願いがついに重い扉をひらきました。
世論と運動の高まりの中、去る6月11日、全会一致でハンセン病問題基本法が可決成立しました。この法律は基本理念で「被害を可能な限り回復すること」「生活環境が地域社会から孤立することなく、安心して豊かな生活を営むようにしなければならない」ことを定め、国および地方公共団体は「福祉の増進等を図るための施策を策定し、及び実施する責務を有する」と、国と地方自治体が協力して地域に開かれた療養所とすることが義務づけられました。
そこで以下5点についてお尋ねします。
第一は、問題解決のための対策室の設置など国、県、高松市の連携と将来構想の策定についてです。知事は6月25日に大島青松園を訪問し、入所者と意見交換をされたようですが、新聞報道によりますと、自治会の会長さんは基本法の制定を踏まえ「高齢化が進むこの島をどうしていくか。県、高松市から知恵を頂きたい」と訴えられたそうですが、この点について知事はどのように受け止められているのでしょうかお伺い致します。
私は、先日、県の担当課である薬務感染症対策課と高松市の人権啓発課の各課長から意見を聞きましたが、基本法制定を踏まえた取り組みはこれから検討という段階でした。こうした中で、まず県は入所者の意見や要望をよくつかみ、さらに問題解決のための対策室の設置、高松市との協議会を設置するなど、国・県・市の連携を強化し、自らに課せられた責務を果たさなければならないと思いますが、知事のお考えをお示しください。また入所者に対する医療、福祉の維持向上と地域に開かれた療養所とするための将来構想の計画策定を急ぐべきだと思いますが、ご所見をお示しください。
第二は欠員となっている医師や職員の確保についてであります。
大島青松園の現在の入所者は126名で平均年齢は78・5歳と高齢です。こういう状況の中で本当に血の通った医療と介護体制が求められています。そのためには欠員となっている外科医の確保、並びに家族同様の人間関係を保って入所者のお世話をしている福祉・介護の職員の増員や非正規職員の正規雇用化がどうしても必要です。このことについて国に対し強く要望すべきと考えますがご所見をお示しください。
第三は船便の増便であります。
全国で13の療養所がありますが、現在まで離島で隔離されてきたのは唯一、大島青松園だけです。官用船による船便が唯一の社会とのつながりであります。
ところが、船員の定年退職によって8名の定員のところが現在6名しかおらず、定員割れにより高松便の最終便が3ヶ月間の減便を余儀なくされています。
さらに、現在6名いる船員の内、向こう3年間で3名の方が定年を迎えられるということで今後、一体どうなるのかと入所者の不安が広がっています。新たな隔離になるのではないかという厳しい批判まで出されています。早急に船員を確保し、増便すべきと考えますが、ご所見をお示しください。
第四は、大島の船着場を浮桟橋にするということです。
高松港と庵治港の船着場は浮桟橋となっておりますが、大島の場合は固定桟橋です。そのため潮の干満によって船のタラップが急勾配となる場合があり、入所者が転倒するなど危険な状態です。入所者からは「乗り降りがしやすいよう浮桟橋にしてもらいたい。せめて雨風をよけられるよう屋根もつけてほしい」と切実な要望が出されています。船着場は高松市の管轄になっておりますが、これは国、県、市で対応すべきと考えます。ご所見をお示しください。
第五はうどんの接待についてです。
県は、さぬきうどんを入所者に食べてもらいたいと、うどんをその場で作って接待をしていますが、大島青松園、長島愛生園、邑久光明園と回っているため、3年に一度しか順番が回ってきません。入所者からは「毎年、おいしいさぬきうどんが食べたい」との要望が出されています。是非その願いを実現していただきたいと思いますが知事のご所見をお示しください。
次に地球温暖化対策についてお尋ねします。洞爺湖サミットでは、2050年に温室効果ガスを50%削減することが合意されました。ところが中国、インドなど主要経済国の貢献、世界全体での対応を強調するなど、先進国が果たすべき責任があいまいにされました。また、焦点となっていた2020年ころまでの先進国による中期目標の設定についても具体的な数値を盛り込むことができませんでした。しかしこのサミットでの合意が、地球温暖化抑止の今後のステップになることを期待し、以下4点についてお尋ねします。
第一は「プラス2度の危機」といわれているように、気温上昇を二度以内に抑えこむことへの決定的重要性についてであります。国連の「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)の報告は、産業革命による工業化以前に比べて、世界の平均気温が2度以上上昇すると、取り返しのつかない重大な変化が起きると予測しています。まさに地球温暖化抑止は一刻の猶予も許されない人類的課題と思いますが、知事の基本的なお考えをお聞かせください。
第二は、温室効果ガスの削減目標の設定を、京都議定書の基準年、1990年比に改めることについてであります。香川県の温室効果ガスの年間排出量は2004年度878万トンであり、京都議定書の基準年1990年と比べ11,4パーセントも増加しています。環境省の発表では全国で6・4パーセントの増加ですから、本県は2倍以上の増加とひどい状況です。原因は何か明らかにしていただきたいと思います。
なお、本県の削減計画は、2003年度の排出量から6パーセント削減するとなっており、京都議定書の1990年比6パーセント削減ではありません。なぜ国際基準に合致した計画にしないのでしょうか。具体的に数字で言いますと、2010年度までに814万2000トンにするという計画ですが、1990年比で言いますと740万7000トンにへらさなければなりません。その差は73万5000トン、年間排出量の10パーセント近い差ですが、これは国際的に見て恥ずかしい状況ではないでしょうか。私は国際的基準に合致した削減計画とすべきと思いますが知事のご所見をお伺いいたします。
第三は、全排出量の7割を占める企業の排出量を規制することについてであります。県内企業の「事業者別排出量」を見てみますと年間2000トン以上CO2を排出する企業は88社であり、一位三菱マテリアル893万トン、2位三菱化学743万トン、3位コスモ石油352万トン、4位東京製鐵155万トンの順になっています。これらの企業は全国展開している企業ですから、排出量は香川だけの数字ではありませんが、三菱マテリアルの893万トンは香川県の年間の排出量878万トンを上回っており、大変驚くべき状況であります。本県では2月定例議会で「生活環境保全に関する条例」を制定し、今後一定規模の事業者に「地球温暖化対策計画」を義務付け、それに従わない場合は勧告を出し、その旨公表するとしています。しかしペナルティはありません。これで実効性のある規制ができるのでしょうか。私は罰則規定を設けるべきと考えますがご所見をお示しください。
第四は、自然エネルギーへの転換と環境NPOなどへの支援についてであります。世界的に見ても、太陽光熱、風力、小水力、地熱、バイオマスなど自然エネルギーの普及がヨーロッパを中心に本格的な流れになっています。19年度末で廃止した住宅用太陽電池パネル設置の補助金を復活させるとともに、県有施設への計画的設置を進めるべきです。また香川用水など水道水源を利用した小水力発電を導入すべきではないでしょうか。さらに、県民参加・協働を重視し、環境NPOへの支援、市民共同発電所設置への補助などを行うべきと考えますが、ご所見をお示しください。
最後に教育問題についてお尋ねします。
細松教育長は先の代表質問で「教員が誇りや使命感熱意を持って取り組める教育環境の実現」を就任の決意として述べられました。大変すばらしい決意だと思いますが今、小中の学校現場はどうでしょうか。教員は仕事の多忙化により、残業や休日出勤が常態化しているといわれています。その主な原因は、勤務の超過密化、問題行動の児童生徒の増加、教員の不足などであります。子どもの成長と人格形成に責任を負う教員のこのような現状を、教育長はどのように受けとめておられるのか、ご所見をお示しください。
さて私は、教育長のいう「教育に課せられた大きな使命」を共に実現させる立場から以下5点についてお尋ねいたします。
第一は少人数学級についてであります。小中学校の教員採用予定数は、今年度60名ですが、来年度は125名と倍増しています。今後の退職者増への対応もありますが、少人数学級の実現、教員の多忙化の解消など教育環境の改善に期待が持てるものと評価します。
そこでお尋ねします。現在、少人数学級を実施する要件は、学級を安定化させる必要性が認められる場合、市町からの申し出により可能となっておりますが、現在県下の中学校で何校実施しているのでしょうか。小学校高学年の「荒れ」が問題になっており、これへの対応が求められています。少人数学級を全小中学校で実施すべきと考えますが、教育長のご所見をお示しください。
第二は「副校長」「主幹」など「新たな職」の設置についてであります。職員不足が言われるときに、なぜ管理職等を増やさなければならないのでしょうか。学校で直接子どもと触れ合う教員を増やすべきと考えますが、ご所見をお示しください。
第三は、学校の耐震化についてであります。文科省の発表した公立学校施設の耐震改修状況調査によりますと、本県の場合 耐震化率は向上したとはいえ52パーセントであり、全国平均62・3パーセントと比較すれば10ポイント以上下回っている状況であります。県としても抜本的な対策の強化が必要です。このたび、国は補助率のかさ上げを行うとしましたが、本県独自の補助制度は、学校の総合計画を公表した場合の補助率2分の1、通常の場合3分の1と格差を設けており、耐震化率の早急な引き上げを行うためには、この格差をなくし、一律2分の1とし、国の補助の上乗せとして実施すべきと考えますが知事のご所見をお伺いいたします。
第四は、学校給食についてであります。原油の高騰だけでなく、小麦など食材の高騰が相次いでいます。また食品の偽装が次々と発覚し食の安全・安心がゆらいでいます。子どもたちの成長にとって、給食は欠くことのできない重要なものです。食の安全は確保されなければなりませんし、給食費の値上げは認められません。県教委の学校給食の対応についてお伺い致します。
第五はCEART(セアート)勧告についてであります。去る4月25日、ILOとユネスコの合同専門家委員会(CEART・セアート)が県教委と教員団体を訪れ、双方の聞き取り調査が行われました。これは県教委が実施している「勤務評定」制度や「指導力不足教員」の認定においてILO・ユネスコの「教員の地位に関する勧告」が守られているのかどうかの事実調査であったと聞いておりますが、今秋には最終勧告が出されるようであります。教育長は、出された勧告を尊重するおつもりかどうかお尋ねします。