[2009.4.8] -[議会報告]
先に行われました2月議会で、日本共産党は、内海ダム再開発問題などの大型公共事業や中小企業対策、子どもの貧困問題などのついて焦点となる予算は、暮らし福祉応援に切り替える旨を迫りました。
以下は、白川容子県議の質問です。
質問に先立ちまして、本日の新聞にも報道されていますように、県立高校の合格発表の合否が事前照合されていた問題で、一言申し述べます。昨年7月17日、高校教育課からの問い合わせを毅然と断った元校長先生と、当時の高校教育課長、そして現課長の三者が話し合いの場を持っています。その内容がこのテープに録音されています。その中で当時の高校教育課長は、合否の問い合わせについて、「県会議員の関与があった」こと、そして「上司からの命令があった」ことを明確に答えています。少なくともこの時点で事実を明らかにするべきではなかったのでしょうか。この問題は個人的な問題でも、歴代課長だけの問題でもありません。公平・公正が大原則の高校受験を圧力でゆがめ、そこに県会議員や教育委員会が組織的にかかわった疑惑をもたれる問題として、徹底究明されるべきものです。第三者による調査機関を作って、真実を県民の前に明らかにすべきだということを強く求めて質問に入ります。
アメリカ発の金融危機による景気悪化を理由にした大企業の派遣切り・リストラ、内定取り消しなどが広がり、県民のくらしや中小企業の危機もさらに深刻になっています。県民のくらし、雇用、福祉を守ることが県政の最重点課題となっています。来年度予算もここにこそ焦点を当てるべきです。
我が県の2009年度一般会計当初予算案は、8年連続のマイナス編成となり、知事が肝いりで進めている「財政再建計画」は事実上破綻しています。県民の命や暮らしを守る制度を切り捨ててまで進めてきた財政再建です。知事は臨時財政対策債についてではありますが、国に対して強い不信感をあらわにしたそうです。しかし、知事に対する県民の不信感はそれ以上のものではないでしょうか。県民の反対の声に耳も貸さず、大型開発や箱物事業を国と一緒になって強引に進めてきた、そのつけが今の香川県の深刻な財政状況を作り出してきたのです。ここの反省抜きには財政再建をいくら声高に叫んでも、まったくの無意味です。大型開発と箱物事業の見直しについて以下4点お尋ねします。
まず、内陸工業団地造成事業特別会計について問います。補正予算議案にもこの特別会計への繰り出し金1億6800万円余が計上されています。高松東ファクトリーパークの区画が売却できなかった穴埋めに、一般財源から繰り入れをするというものですが、先の経済委員会で「この先売却できたとしても一般財源への全額返済は難しい」との答弁が、商工労働部長からありました。「平成20年度包括外部監査結果報告書」には、「あくまで県の採算面・県民負担面からのみ考察するに、高松東ファクトリーパークは当初から採算が取れるプロジェクトとは思えず、何故この地に造成することになったのか、その判断には疑問をぬぐい得ない。」とまで書かれてあります。そもそも、問題の根源は作ったことそのものにあると。その上、売れないために1㎡年200円という超破格値でリースを行ったことが更にこの問題を深刻化させました。先の報告書は「年間リース料200円は余りにも低すぎる。他県との誘致競争、雇用促進と経済効果を第一目的としたという戦略面を勘案しても、この金額はあまりにも低額でないか。」としています。同時に「高松東ファクトリーパークの収支に関しては危機的状況であるといわざるを得ない。」とし、「売却ができなければ、平成35年度には約52億円の債務が残る。」と報告されています。報告は最後に「内陸工業団地造成事業特別会計」において、将来的な県民負担がどの程度になるのかを県民に報告する必要があるのではないか」と、結んでいます。
知事、あなたはこの問題をどう認識し、どう責任を取ろうとしているのですか。県民の前に実態を明らかにし、謝罪をするべきではないのですか。お答えください。
問題は高松東ファクトリーパークだけではありません。報告者は臨海工業地帯造成事業特別会計も、「ターミナルビル等事業で生じる毎年1億円近い歳出超過及び県債の償還並びに利子の支払い総額は、毎年2億円を超える金額になる。この不足分は一般会計から補填されることになる。つまりは県民負担である。」と報告しています。
また、高松港玉藻地区レストハウス事業についても「収入はミケイラからの賃料収入のみであり、これだけではレストハウス事業にかかる施設の維持管理費用及び県債の償還金並びに利子支払いはまかなえていない。年間の賃料収入が1,157万円に対し、県債の償還金及び利子支払いに合計4,000万円必要であり、約2,900万円の歳入不足が生じている。この不足分は一般会計の繰入金にて補われている。」「採算をとろうとすれば賃料は現在の3.5倍に引き上げる必要がある。」「賃料の設定とは別に、根本的にミケイラの建築コストは妥当であったのか、という疑問が生じる。建築費3億円、香川県において坪143万円のレストランを建築して、はたして採算がとれるのだろうか。」としています。
玉藻地区埋築事業についても、「一般会計から運営管理委託料として年間1547万円の経費を要している。分譲できる土地の売却が一部されていないこともあり、分譲収入から事業にかかる費用を控除した金額は24億1717万円の歳出超過であり採算はまったく取れていない。」「サンポート高松A2街区及びB1街区の景観を獲得するためのコストとして県民は、これまでに17億円の費用を負担しており、今後、県債の償還のために約4億円を負担する必要がある。そして平成21年度以降も維持管理費用として毎年1547万円必要になってくる。これも県民負担として一般会計から支払われることになる。」としています。
知事、サンポート高松や周辺事業もすでに破綻しているではありませんか。この付けを県民生活に押し付けることは到底許されません。県民負担が膨らみ続けていくこうした事業を今後どうしていこうとしているのか、具体的にお示しください。
そして、これ以上の大型開発はもうやめるべきです。現在、知事が躍起になって進めようとしている内海ダム再開発は、「その事業の目的である「治水」「利水」のいずれの面においても全く合理的な理由・根拠がないばかりか、瀬戸内海国立公園の名勝寒霞渓の景観を含む豊かな自然環境を破壊するものであり、更に地震によるダム決壊等、下流地区の安全性にも重大な危険性を生み土地収用法に違反する」として、地権者や弁護士らが行政不服審査法に基づく審査請求を国土交通大臣宛に提出しました。私も同じ観点から、この問題を議会の場でも論じてまいりました。しかし、内海ダム再開発事業を必要とする根拠についても、いまだ納得行く説明はなされていません。別当川に早明浦ダムより堰堤の長い巨大なダムを作る本計画は、昭和51年の17号台風の時と同じ規模の洪水を基準にしていますが、この台風による被害の主な原因は別当川にあるのではなく、支流の西城川や、隣接する片城川などの氾濫や土石流にあったということは、当時、別当川が激甚災害の指定も受けなかったことでも明らかではありませんか。国立防災科学技術センターがまとめた1976年台風17号による「災害報告書」にも、同台風による床上・床下浸水は主に池田大川、安田大川の氾濫が原因であった旨記録されており、別当川がその被害の主原因としては記録されていません。知事がこの歴史的事実を認めようとしないのであれば、内海ダム再開発の巨大事業のために、過去の歴史さえもゆがめ、偽りの理屈で進めていこうとしているととられても仕方ありません。香川県が行う内海ダム再開発の目的が治水にあるというのであれば、その出発点である歴史の検証を行うことは当然の責任ではありませんか。お答えください。
同時に、新内海ダムの安全性を危惧する声が専門家からも出されています。新内海ダムの堰堤は、その中間点に山をまたぐという、世界にも例を見ない「変形堰堤」となっています。その安全性は実証もされておらず、堰堤の各部分に対して重量が不均等にかかる構造になっているので、集中して重量がかかる部分が弱くなり、堰堤決壊の恐れがあるというのです。知事、想像してみてください。あなたのお住まいになっているマンションの窓を開けると、そこには何が見えますか。わずかその先に巨大なコンクリートの壁がある。それは安全性の保証もなく、バルコニーに出て見上げると、自分の守護神のように毎日手を合わせていた世界にも誇れる山々が、その壁にはばまれて見ることもできなくなることを・・・想像してみてください。知事、あなたがその場所の住民であれば、きちんとした説明も受けられず、納得もいかないまま、無理やりに「土地収用法に基づくものだ」と言って、先祖代々の土地を取り上げられることを黙ってがまんができますか。お答えください。また、世界にも例を見ない「変形堰堤」の安全性をご説明ください。
県は予算的にも、河川改修とダムの再開発では再開発の方が廉価ですむと言っていますが、そう算出される具体的根拠をお示し下さい。億単位の漠としたものでは私たちにはわかりません。算出の基準となるデータを示せと繰り返し要望してまいりましたが、未だ不十分な情報しか示されていません。より深いデータの公開を求めますが、いかがですか。
こうした大型開発と同時に、箱物事業として「先に30億円ありき」とまで言われ続け、それぞれに大赤字を抱え、市町の財源を食いつぶしている5つの健康生きがい中核施設。これも私たちはやめるべきだと意見してまいりましたが、知事は耳を貸しませんでした。今、建物自体を管理・運営している市町に譲渡する方向で話を進めているようですが、国の旗振りとともに、県が市町を巻き込んで進めた事業の尻拭いをこれ以上市町に押し付けるべきではありません。これまでも5施設で合計10億円を超える赤字分を市町が補填しています。今後、大規模修繕改修も予定されており、譲渡されても先は見えません。譲渡受け入れを検討している市町の多くは、これから訪れる大規模修繕に頭を悩ませているのですから、まずはそれを援助することを市町と一緒になって考えることが必要ではありませんか。お答えください。
県民負担を次から次につくりだすこうした大型開発事業をやめて、無駄遣いを徹底的に見直せば、大不況で苦しみ、悲鳴を上げている県民生活を守る施策を充実させることができます。県政の舵取りの方向を県民生活重視へと切り替えることを求め、以下具体的提案をして質問いたします。
失業したとたんに「食」も「住」も奪われるような状況では、安心して暮らすこともできません。日本共産党は、政治の責任で解決すべき「三つの仕事」として―(1)「非正規切り」で職を失った人々への住居・生活・再就職の支援(2)これ以上の大量解雇の被害者を出さないよう、大企業への強力な監督・指導(3)「使い捨て自由」の労働を許さない抜本的法改正、この3つの仕事に同時並行で取り組むよう、政府に強く要求しています。
まず、県内でも深刻になっている雇用の問題についてお尋ねいたします。厚労省の発表では今年度末に少なくても12万4800人の非正規労働者が解雇・雇い止めされます。この数は40万人になるともいわれています。県内でも3月末での非正規の雇い止めは595人になっており、アオイ電子が派遣労働者と正社員を計80人程度削減、タダノが180人の派遣労働者について、期間が満了する3月末で契約を更新しないことを決めています。ある造船の企業では1000人もの削減がなされるとの情報もあり、このままでは県経済の底が抜けてしまいかねない状況です。日本共産党議員団もアオイ電子やタダノにも出向き、「雇い止めはやめよ」と、求めてまいりました。特に派遣で3年を超える雇用が続いたにもかかわらず、途中で偽装請負や、同じ工場内で数歩となりの作業レーンに移るだけで、雇用形態が変わるなどの、いわゆる偽装クーリングなどの、違法な手口が県内でも横行しています。
穴吹工務店も2010年度中までに約10%に当たる約450人の人員削減を行うことを発表していますが、こうした企業には香川県から多額の助成金が出されています。穴吹工務店には先端技術工場等の立地の助成制度で約1億8千万円もの県費が、また、アオイ電子やタダノにも研究開発費として県費が投入されています。県が補助金を出しているような企業に対しては、雇用を守れと強く求めることが必要と考えますがいかがですか。ご答弁ください。
また、今議会には「企業誘致条例」の4年間延長が議案としても提案されていますが、上限5億円もの県民の税金が投入される施策です。「企業立地を促進・支援し、雇用の拡大など、地域経済の活性化を図るため」という「企業誘致条例」の本来の目的を重視して、後々の雇用実態を追跡する仕組みが必要と考えますが、いかがですか。答弁を求めます。
経済危機と大企業の下請け切りすてのなかで、耐えがたい苦しみのもとにおかれている中小企業支援の強化も県政の最重要課題の一つです。業者のみなさんから、「資金繰りも大変だが、とにかく仕事が欲しい」「銀行に融資を断られた」など、本当に切実な声が寄せられます。こうしたときに、県がやるべきは、大型開発に手を染めるのではなく、中小建設業者が受注できる生活密着型の公共事業を大幅に増やすことではないでしょうか。
入りたいと希望する方はたくさんいらっしゃるのに、募集や空きがない、県営住宅、保育所や特別養護老人ホームなど、生活密着型の施設整備への支援を抜本的に強化することを求めます。工事契約については可能な限り県内中小企業に優先発注することをはじめ、大規模なものについても分離分割発注を拡大し、中小企業に仕事が回るようにすること。
そして、町場の仕事を増やすうえでは、県営住宅の計画修繕の前倒しや、入居者募集のためなどの仕事の発注拡大などが有効だと考えますがいかがですか。また、個人住宅や共同住宅などの民間建築物の耐震診断・改修を進める上でも、全国32都道府県がすでに実施している耐震改修への補助を実施することは中小業者への仕事おこしにもつながります。今こそ実施するべきと考えますがいかがでしょうか。知事の答弁を求めます。
次に暮らしの安全網、セーフティネットをどうするのか、困ったときの支えになる諸制度の充実について、以下4点お尋ねいたします。急激な雇用悪化は、アメリカの経済危機を発端としたものではありますが、国民の暮らしと経済を守る「防波堤」を破壊してしまったことが被害を甚大にしています。いまこそ、人間を人間として大切にする経済社会をつくるために、政治が責任を果たすときです。
第一に、増え続ける派遣切りなど雇用破壊に対して、緊急支援策を抜本的に強化する問題です。東京日比谷での「年越し派遣村」に衣食住を求めて五百人もの人たちが集まり、社会的連帯でこうした問題を打開していく上で大きな教訓を生み出しました。県としても雇用、生活、住まい、医療などの相談をおこない、街頭での労働相談も含め、土日にも対応できる総合的な相談・支援窓口が求められていると思いますがいかがですか。お答えください。
第二に、仕事や住まいを失った人が、路上生活になるのを予防するため生活保護の適用を促進することは、極めて重要です。しかし、住所が無いことや働ける年齢層であることを理由に申請を受け付けようとしないことが常態化していないでしょうか。
国会でのわが党の志位委員長の質問にたいし、麻生首相も「住居のない方もふくめ適切に支援する」と答えています。申請権を侵害するような対応は厳に慎む、働ける能力があることのみをもって保護を要しないと判断しないなどをすべての市や福祉事務所で徹底されることを求めますがいかがですか。国からの通達も踏まえての答弁を求めます。
第三に、住居を確保することは大変大事な問題です。離職者の居住安定化対策の中で、雇用促進住宅の活用がされていることは積極的な意味を持っていますが、一方で、雇用促進住宅の全廃が閣議決定により、今も進行中という矛盾が起こっています。県内でもすでに入居者に対しての「追い出し」がはじまっており、入居者からの不安の声が高まっています。2月25日、衆議院予算委員会で我が党がおこなった、「入居者退去の方針は直ちに凍結し、閣議決定は根本的に見直すべきだ」との質問に対し、舛添厚生労働大臣は、「閣議決定の見直しを含めて、すべて検討する」と答弁し、先日、中間目標の見直しが表明されたところです。こうした動きも受け、香川県としても、全住宅廃止の閣議決定自体を見直しするよう、国に強くせまるべきではないでしょうか。答弁を求めます。
第四に、医療・介護など社会保障制度の充実についてです。今、誰もが安心して治療・介護を受けられる制度の確立が求められています。そのためにも、一つめに払いたくても払えない高い国保料を引き下げるための県費補助制度の確立を求めます。二つめに、群馬県は中学校卒業までの子どもの医療費の無料化を10月から実施する予定です。都道府県単位の中3までの完全無料化は全国初だそうですが、香川県も続いてはどうでしょうか。三つ目は介護保険料の見直しが全県的に検討されていますが、全県的に見て介護保険は赤字のか黒字なのか端的にお答えください。そして、今こそ基金を使って保険料の値上げをさせないことを求めますが、それぞれ知事の所見をお尋ねします。
次に、こどもの貧困問題について伺います。
貧困の世代間連鎖、「子どもの貧困」は、日本社会の抱える極めて深刻な問題です。国際的な学力調査(PISA)は、日本の学力低下の原因は、低学力層の増加、学力の二極化であること、そして低学力と家庭の経済力には相関関係があることを示しました。全国学力調査においても、就学援助を受けている割合が高い学校の正答率が、低い傾向にあることが示されました。貧困が低学力の要因となる。そして貧困から抜け出る大きな手立てである教育からも排除される。貧困が連鎖していく構造が生まれています。「構造改革」路線による非正規雇用の拡大、社会保障の切下げは、この矛盾を劇的に拡大したのではないでしょうか。そこで伺いますが、県内でも深刻な問題となっている「子どもの貧困」をどう認識されているのか、知事と教育長に伺います。
子どもの貧困の実態について、総合的な調査さえされてないこと、つまり政策課題となっていないことは大きな問題点だと思います。その無策が、日本の子どもの貧困率がOECD諸国平均より高く、しかも所得再配分によって貧困率が逆に増えている異常な状態を生んでいると思います。県として、「子どもの貧困」克服という視点で施策を全面的に洗いなおし、国に対し積極的政策提言や総合的な調査を行うよう要請するべきだと思いますが、知事の決意を伺います。
以上をふまえ、最後に学費が払えず高校卒業、入学できない若者を一人も出さないための緊急の施策について問います。
先週NHKのTV番組「クローズアップ現代」で連続放送された『不況が直撃・子どもたちに何が』のうち、3月11日の放送の中身は授業料が払えず高校をやめて行く子どもたちが増え続けているというものでした。特に昨年来の経済危機による収入減や、「派遣切り」で、事態はいっきに深刻化しました。その日私が受けた相談も、その通りのものでした。親の都合で高校にも通わせてやることができない。頑張って勉強して合格したが、入学の費用が工面できない。このところ、こうした相談が後を絶ちません。あるお母さんは、子どもの高校の制服がボロボロになっていても買ってやることもできず、「お母さん、大丈夫やよ」と言ってくれる子どもに申し訳ないと、涙ながらに話されました。親の事情を知っている子どもたちの胸のうちを思うと、胸が抉り取られるような思いでいたたまれなくなりました。NHK番組は子どもを持つ家庭の生活状況の悪化の原因として、雇用状況の悪化と子育てに対しての社会保障制度の貧困さをあげ、社会状況が変化しているのに、それに対応する仕組みが変わっていかないことに対する憤りを訴えていました。子どもには何の罪もありません。問われているのは社会のあり方そのものではないでしょうか。憲法は「ひとしく教育を受ける権利」を保障し、教育基本法は「経済的地位」による「教育上の差別」を禁じています。高校卒業は、就職にとって事実上不可欠の条件となり、進学率は97%を超えています。家庭の経済的事情で退学する若者を一人も出さないことは社会の使命であり、政治の大きな責任です。
そこで、学費が払えず高校卒業、入学できない若者を一人も出さないための緊急の施策として、以下伺います。
第一は、「高校生救済貸付」の創設についてです。学費が払えず、滞納を理由に卒業証書を渡さないなど、教育の現場であってはなりません。卒業予定者で学費滞納がある、入学希望者で学費が工面できないなどの高校生を救済するための無保証人・無利子・返還猶予付の「高校生救済貸付」を緊急に行うことを求めますがいかがですか。
第二は、現行の奨学金制度の充実についてです。現行の金額では、制服や体操服、教科書などをそろえることができません。「香川県高等学校奨学金制度」の入学時の加算額の引き上げを求めます。また、大きな困難を抱える生徒のために返済不要の「給付制奨学金制度」の創設を求めます。
第三は、通学費補助です。高校統廃合や物価上昇などの影響もあり、高校生の通学費は家計に直撃しています。全国的には一部の自治体で通学費補助がはじまっています。高校通学費補助制度の創設を求めます。
以上、国と県の責任で実施を求めますが、それぞれについての所見を教育長に、こうした施策の必要性を感じるかどうかを知事に答弁を求めて質問を終わります。