[2009.7.10] -[議会報告]
7月8日、樫昭二県議が一般質問に立ちました。
主な内容は、1.知事の政治姿勢、2.医療福祉の充実、3.教育問題、4.中小企業への危機打開と仕事おこし、5.農業問題について質問しました。
討論の内容は、以下の通りです。
一般質問を行います。まずはじめに知事の政治姿勢について3点おたずねします。
第一は、核兵器廃絶・世界平和の問題です。
アメリカのオバマ大統領は、4月5日、チェコ共和国のプラハで演説し、核兵器廃絶を呼びかけました。その内容の特徴はアメリカが核兵器廃絶を国家目標とすると初めて明言したこと。″L島・長崎での核兵器使用の責任について語ったこと。au核兵器のない世界」に向けて、世界の諸国民に協力を呼びかけたことであります。
これに着目した、わが党の志位委員長は4月28日、核兵器廃絶という人類的課題の一点にしぼって、オバマ大統領に書簡を送り、核兵器廃絶のための国際条約締結を目指して、国際交渉を開始するイニシアチブを発揮することを強く要請しました。
それに対し、5月5日付で米政府から「核兵器廃絶の情熱をうれしく思う。日本政府の協力を望みます」という感謝の意を表した返書が届きました。
そこで、おたずねしますが、以上の点について、知事はどのように受け止めておられますか。
香川県議会は、1984年9月議会において、全会一致で非核宣言を採択しておりますが、私はその精神に立って、全国知事会や国に働きかけるなど、核兵器廃絶のために大いに力を尽くしていただきたいと思いますが、ご所見をお伺いいたします。
1. 非核・平和について
(知事答弁)
樫議員のご質問にお答えします。
まず、非核・平和についてであります。
わが国は世界で唯一の被爆国という立場から、核のない世界の実現に向けて訴えることが重要であります。
アメリカのオバマ大統領のプラハでの核兵器廃絶に向けた演説は、これまでにない強い意志の表明であり、また、一昨日、米ロ間で戦略核弾頭数の大幅な削減の合意がなされたことから、私としては、今後、こうした各国の外交努力が積み重なり、核兵器のない世界が実現することを期待するとともに、より一層、平和に対する県民の意識が高まるよう努めてまいります。
第二は、国直轄事業負担金問題についてであります。
この問題は、2月定例議会で明らかになり、全国的に大問題となっていますが、地方分権の趣旨に反する許しがたいものであり、即時廃止すべきものです。
香川県の平成20年度の負担総額は、63億3184万円で、この中には土地、建物の取得費や維持管理費、さらには人件費、退職金、児童手当なども含まれていたことが相次いで発覚し、国土交通省が従来説明してきた国の言い分が、完全に崩壊しました。
これについて知事は、今議会冒頭の提出議案説明において廃止を目指すことを表明されました。
私どもは、知事の廃止に向けての毅然とした姿勢を、大いに評価するところであります。全国知事会等でリーダーシップをしっかり発揮していただきたいと思いますが、国直轄事業負担金廃止に向けて、改めて知事の決意をお伺いいたします。
2. 直轄事業負担金について
(知事答弁)
次は、直轄事業負担金についてであります。
直轄事業負担金制度は、国と地方の役割分担を明確にし、地方への権限と財源の移譲を進めたうえで、廃止すべきと考えております。
当面は、直轄事業と国庫補助事業との整合性を図る観点から、来年度からの維持管理費負担金の廃止、明確な情報開示や対象範囲の見直しなどが必要であり、全国知事会と連携して、国に対して強く主張してまいります。
第三は、国の追加経済対策と、今議会に提出された補正予算案についてです。
今回の経済危機で、日本経済が欧米より急激に落ち込んだのは、「外需・輸出だのみ」のゆがみが噴出した結果です。輸出大企業は経済危機で輸出が落ち込む中、これらの企業は「非正規切り」や下請けへの「仕事切り」で乗り切ろうとしています。
こうした中で今必要なのは、国民の命と暮らしを守る緊急経済対策であり、外需だのみから内需主導の経済に切り替えることです。
ところが、政府の「経済危機対策」の中身は「総額15兆円先にありき」の浪費とバラマキ、大企業、大資産家への大盤振る舞い、国民向けは一時的、最後は消費税増税で穴埋めという内容です。バラマキの穴埋めに消費税増税を押し付けられたのでは、たまりません。
私は深刻な「経済危機」を立て直すには、政府がこれまで進めてきた政策―大企業・大資産家応援の「構造改革」路線の転換こそ必要だと考えますが、国の追加経済対策について知事のご所見をお示しください。
さて、国の追加経済対策に基づき、今議会に提出された補正予算案は、過去最大の452億円余で125事業を行うとしており、これにより経済波及効果は約720億円、雇用創出は約5800人と試算しています。
しかし、中身を見てみますと、産業基盤の整備、自然災害対策、農林水産業の振興などに重点を置くとしていますが、公共事業は191億円にも上り、雇用対策、医療、介護など福祉については基金積立(約134億円)が中心となっています。これで本当に本県経済がよくなるのでしょうか。
今、県民が緊急に求めているのは、明日食べていくためのお金、明日からの仕事、事業をつないでいくための資金です。今回の補正では、中小企業振興資金貸付金40億円、生活福祉資金貸付事業7億400万円、臨時特例つなぎ資金貸付事業3400万円などが含まれていますが、県民が求めているものからすれば程遠いものでしかありません。
私は、貧困と格差が広がる中で、県民の苦難に手を差し伸べることこそが知事の仕事だと思いますが、この点について知事の基本的なお考えをお示しください。
3. 国の追加経済対策と県の補正予算について
(知事答弁)
次は国の追加経済対策と県の補正予算についてについてであります。
国の追加経済対策は、景気の底割れ回避と新たな成長軌道に乗せていくために必要なものであると考えており、本県も、国の経済危機対策に呼応し、国の補正予算により措置される財源を最大限に活用して、補正予算を編成したところであります。
今回の補正予算は、景気浮揚等を図るため、公共事業を実施するほか、雇用の創出や中小企業の資金繰り支援、子育てや医療費の支援をはじめとする健康・福祉対策など、経済の活性化に加え、地域の活性化、県民生活の安全・安心の確保など、幅広い対策を講じているところであります。
次に、医療、福祉の充実についておたずねします。
第一は、高い国保料の引き下げについてであります。
新型インフルエンザの広まりの中で、国保料が払えず保険証を取り上げられている人は、病院に行くことができず、感染防止に大きな支障をきたすことになります。厚労省はあわてて、5月18日に、感染拡大防止のため資格証明書を保険証とみなして受診させることを、都道府県宛に通知しました。しかし、この内容は、資格証明書を交付されている人には十分周知されていません。秋口にも新型インフルエンザの第2波が予想されており、当事者にきちっと伝わるよう市町を指導すべきと思いますがいかがでしょうか。
なお、新型インフルエンザは兵庫、大阪などで高校生を中心に広がりました。昨年、「無保険の子」が大問題となり、国会で全会一致で15歳未満の子どもに保険証を交付することが決まりましたが、これを高校卒業までに年齢を引き上げるべきと考えますが、いかがでしょうか、お答えください。
今、国民健康保険のあり方が大きく問われています。国保の加入者は、年間所得100万円未満が全体の半数にものぼる事態となっており、低所得者にとって高い国保料は払おうにも払えない、病気になっても病院に行けないという状況に追い込まれています。
保険証の取り上げが医療を奪うという事態を放置することは許されません。
高くて払えないという国保料を引き下げるため、県が市町に補助金を出し、少なくとも一世帯当たり1万円の引き下げを行うべきです。また、滞納を理由とした資格証明書、短期保険証の交付をやめ、低所得者に対する医療費の減免を実施すべきと考えますが知事のご所見をお示しください。
4.医療・福祉施策の充実について
(1)国民健康保険制度について
(知事答弁)
次は、医療・福祉施策の充実のうち国民健康保険制度についてであります。
当事者への周知については、保険者である各市町の判断に委ねられていますが、県では、今後、新型インフルエンザの状況等を見ながら、市町に対し、適切に助言してまいります。
被保険者交付措置の対象を高校生まで拡大することについては、子どもの健やかな育成と被保険者間の負担の公平化の観点から、制度を設計している国において、適切に判断すべきと考えています。
市町国保への補助制度の創設については、市町国保には既に他の医療保険制度と比べ、手厚い公費助成が行われていることから、困難であります。
また、資格証明書等は、災害等の特別な事情もなく保険料の滞納が続いている場合に、保険者である市町の判断により、納付相談の機会を確保する目的で交付しているものであり、被保険者間の負担の公平化を図るためやむを得ないと考えています。
減免措置については、保険者である市町が実施の有無も含め判断するものであり、各市町において適切に対応すべきものと考えています。
(再質問) 国民健康保険制度について
(健康福祉部長答弁)
樫議員の再質問にお答えします。
まず、国民健康保険制度についてであります。
市町国保への補助制度の創設については、市町国保には既に他の医療保険制度と比べ手厚い公費助成が、医療費の2分の1以上について国、県、市町から行われていることから、これ以上の助成は困難であります。
資格証明書は、保険者である市町の判断により、特別な事情もなく保険料の滞納が続いている場合に、事情をお聞きして滞納相談の機会を確保する目的で交付しているものであり、納期限までに全額を納付されている被保険者との負担の公平化を図るためやむを得ないと考えています。
第2は、妊婦健診についてであります。
世論と運動の高まりの中で、今まで5回だった妊婦健診の助成は14回までに拡充されました。私は14回すべて無料だったと思っていましたら、基本的な検診は無料だが超音波検査などは有料であることがわかりました。
本県の場合、初回1万2000円で、2回目以降、14回まで4500円で、計7万500円の助成ですが、国は1人当たり14回分として、11万8000円の助成を手当てしています。国から14回分無料にできる助成が来ているのであれば、当然それを全額妊婦健診に使うべきです。ただちに自己負担をなくすべきと思いますが、いかがでしょうか。また国に対し、2010年度以降の継続を強く要望すべきと思いますが、知事のご所見をお伺いします。
(2)妊婦健康診査について
(知事答弁)
今年度の健診内容や単価については、事業主体である市町、県医師会等との協議により、平成23年度以降も継続可能な事業となるよう、市町の財政状況等も踏まえ、県内共通のものとして設定されたものであります。
また、国に対しては、平成23年度以降も財源確保を含め、制度が継続されるよう、この度の重点要望において要望したところです。
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(再質問)妊婦健康診査について
(部長答弁)
平成23年度以降の国の財源措置が明確でない時点において、いかなる場合においても、今後の継続性が可能な水準について、県内市町が共通の認識のもと、決定されたものでございますので、ご理解を賜りたいと存じます。
第3は介護保険制度についてであります。
介護保険は、制度発足から10年目となり、4月に制度の見直しが行われましたが、多くの矛盾が噴出しています。特に、特養ホームの待機者は全国で38万人と言われており、これから「団塊の世代」が高齢化を迎える2015年に向けての県の支援計画の策定が求められていますが、実態に見合った計画をどのように策定するのかお示しください。
なお今回、介護報酬が3%引き上げられたことは、世論と運動の成果です。しかし今回の介護報酬の改定が、一定の条件を満たす事業所に対する「加算」となっており、「加算」がとれるのは6~7割の事業所で、残りの小規模事業所は深刻な状況だといわれています。県として、こうした小規模事業所に対してこそ、今回の補正予算を活用して労働条件の改善に努めるべきではないでしょうか。お答えください。
また、介護認定新基準では「全介助」とされていた重度の寝たきりの人は、介護サービスが提供されていないので、「自立」と判定されるなど大きな問題が起きています。
わが党の小池参院議員の国会質問で、厚労省は「軽度認定」の危険性を認めた経過措置を打ち出しましたが、知事はこの新基準をどのように受け止めておられますか。私は、このような新基準は撤回するよう国に申し入れるべきと考えますが、ご所見をお示しください。
(3)介護保険制度について
(知事答弁)
次に、介護保険制度についてであります。
介護施設等の設備については、その進捗状況と将来のサービス見込量や待機者数等を踏まえ、市町計画と整合を図り、今後の高齢者保健福祉計画の中に位置づけてまいります。
また、今回の補正による介護職員処遇改善交付金については、処遇改善に取り組む事業者に対し、介護報酬額に一定の交付率を乗じた額を助成するものであることから、小規模事業所も含めて、処遇改善につながるものと考えております。
要介護認定の新基準については、今後、国の検討会において、客観的なデータに基づいて、検証が行われる予定でありますので、その推移を注視してまいります。
次に教育問題についておたずねします。
第1は、「子どもの貧困」に教育の立場からどう取り組むかについてであります。
日本は、子どもの7人に1人が貧困だという大変な「子ども貧困大国」です。OECDは日本政府に対し「2000年の児童の貧困率はOECD平均を大きく上回る14%に上昇した。…低所得世帯の子どもの質の高い教育への十分なアクセスを確保することが不可欠である」と警告しています。
また日本は、GDPに占める公的教育費支出の割合が先進国中最低となっています。国際人権規約の条約加盟国160カ国中、高校と大学の学費を段階的に無償にすることを定めた、社会権規約第13条をいまだに保留しているのは、日本とマダガスカルの2カ国だけであり、国際的な批判を浴びています。こんなひどい現状を教育長はどのように受け止めておられるのか、お伺いいたします。
さてはじめに、就学援助についておたずねします。
本県の場合、平成19年度の受給者は9202人で受給率11・05%となっており、全国平均13・7%を下回っています。また、受給額は2万8038円で、これも全国平均3万1000円を下回っています。
なぜ受給率、受給額とも全国平均以下なのか。それは低所得者世帯に就学援助制度の存在を十分周知していないこと、支給の対象となる給食費、学用品費、修学旅行費など支給項目の削減が大きな原因と考えられます。
義務教育制度のもと、就学援助を受けることは人間としての権利です。また、就学援助を受けている子供が肩身のせまい思いをしたり、いじめの対象とならない配慮も重要です、就学援助の受給率、受給額をアップさせ、少なくとも全国平均を上回る対策が重要だと考えますが、教育長のご所見をお伺いします。
教育行政について
(知事答弁)
次は、教育行政のうち、経済的理由により就学が困難な児童・生徒への対応についてであります。
県内の私立高校の授業料滞納者数は、平成20年度末現在で33名であり、全生徒数に対する割合は0.6%となっており、人数、割合ともに、平成18年度以降は、横ばい傾向にあります。
各学校においては、授業料の未納があった場合に、文書による催促を行っても、なお納付されないときには、家庭訪問を行ったり、保護者と面談して納付を促すなど滞納者の状況等に十分配慮した取り組みを行っておりますが、それでもなお、正当な理由なく授業料が納付されない場合には、各学校が学則等に基づき、その対応を判断されていると伺っております。
県では、経済的な理由により授業料の納付が困難な生徒に対しては、各学校を通じて、授業料軽減補助や奨学金制度の活用を勧めているところであり、本年度の当初予算においても、必要な経費を増額したところであります。
今後ともこれらの支援制度を活用し、経済的な理由により生徒の就学機会が失われることのないよう、私立高校とより一層連携を深め、きめ細かな対応に努めてまいります
続いて、高校生の授業料滞納対策についておたずねします。
高校への進学率は97%を超え、高校卒業は多くの職業につくための必須条件となっています。教育には、子供に力をつけることで、親から子への「貧困の連鎖」を断ち切るという力を持っています。それだけに、「貧しくても、せめて子供を高校だけは卒業させてやりたい」という親の切実な願いをかなえるのが県並びに、県教委の仕事ではないでしょうか。
そこでおたずねしますが、全国で高校生の授業料滞納が激増しているといわれていますが、本県の場合、県立、私立の高校における授業料滞納はどうなっているのでしょうか。
県教委は先の文教厚生委員会等では、県立高校で授業料を滞納した場合、3ヶ月で保護者への対応、5ヶ月で分割納付計画の作成と納付の誓約、6ヶ月で出席停止、8ヶ月で退学処分にするという4段階の対応マニュアルをつくり、9月から実施する方針を示しました。
私は、これほど情け容赦のないひどいやり方はないと思います。このような人権無視のマニュアルを撤回し、経済的理由での退学者は出さない、高校教育から排除しないという立場を県教委として明確にすべきと考えますが、教育長のご所見をお示しください。なお、私立高校についても経済的理由での排除はしないという点について、知事のご所見をお示しください。
さらに、今後の対応として減免制度や、奨学金の拡充が必要です。授業料減免対象は、4人家族で年間収入345万円以下が目安とされていますが、これを500万円にまで引き上げるべきです。特に大きな困難をかかえる生徒のための返済不要の「給付制奨学金制度」を創設すべきと考えますが、教育長のご所見をお示しください。
教育行政について
(1)経済的理由により就学が困難な児童・生徒への対応について
(教育長答弁)
樫議員の教育行政のうち、経済的理由により就学が困難な児童・生徒への対応についてのご質問にお答えいたします。
日本が、いわゆる社会権規約第13条の規定の一部を留保している理由については承知しておりませんが、学校教育においては、家庭の経済的な状況にかかわらず、適切に教育を受けることができるように支援していくことが必要であると考えております。
就学援助については、学用品等の費用を市町において援助しておりますが、今後とも引き続き、必要に応じ適切に指導してまいります。
次に、滞納状況については、平成20年度末で、実人数で20人、合計金額で80万円余となっています。
授業料を滞納した場合の対応マニュアルについては、経済的に支払えるにもかかわれず支払わない人に対する手続きのルール化を図ろうとするものであります。
また、経済的な理由により高校進学をあきらめたり、学校生活を断念することがないよう、これまでも、授業料減免制度等については、必要に応じて見直してきたところであり、ご提案の制度の創設については、現在のところ考えておりません。
(再質問)経済的理由により就学が困難な児童・生徒への対応について
(教育長答弁)
授業料を滞納した場合のマニュアルについては、経済的に支払えるにもかかわらず支払わない人に対する手続きのルール化を図ろうとするものであります。
教育問題の最後に、高校入試結果の県議への事前連絡強要の問題について教育委員長におたずねします。
まず、第一に高校入試は公正・公平でなければなりませんが、県議への事前連絡を強要したのは当時の県教委のS高校教育課長であります。一方、県議の圧力に屈することは教育者としてできないと拒否したのはM校長です。どちらの取った態度が教育者として正しかったのでしょうか。明確にお答えください。
第二に、結果としてM校長は在職1年で他校に転勤させられ、S課長は何のおとがめもなしとなっています。これはどういうことですか。県教委にたてつくものは処分するということでしょうか。
第三に、録音されたテープの中で、S課長はこの件に関与した2名の上司の名前をもらしています。また人事に関しては、県教委の人事でない所で決められたという重大発言もあります。県議の圧力があったとすれば、大問題であります。この際、県議の名前を公表し、校長人事も誰が行なったのか明らかにしていただきたいと思います。
第四に、S課長の行為は服務違反、法令順守違反ではないでしょうか。これが認められるのであれば、教員が個人的に保護者に頼まれて、合否結果を事前に知らせることも認められることになると思いますが、どうでしょうか。明確にお答えください。
第五に、再発防止のために、第三者機関を設置し、少なくとも過去10年間についての事実関係を調査し、公表すべきと考えますが、教育委員長のご所見をお示しください。
(2)高校入試結果の議員への連絡について
(教育委員長答弁)
樫議員の教育行政のうち、高校入試結果の議員への連絡についてのご質問にお答えいたします。
この事案については、事前に学校へ問い合わせ、合格発表後にその結果を外部の依頼者に知らせていたものでありますが、県民の疑念を招くような行為であったと認識しております。
人事異動については、あらかじめ人事異動基本方針を明らかにしたうえで、校長も含めたすべての教職員について、教育委員会で審議し、決定しております。
また、当時、合格発表後にその結果を知らせていたということであり、服務や法令に違反しているものではなく、合格発表前に保護者等に知らせるということとは、異なると考えております。
この事案については、本年3月16日に、過去10年間の状況等も含め、事実関係を公表したところであり、第三者機関の設置は考えておりません。
(再質問)県議への事前連絡を強要した当時の高校教育課長とそれを拒否した当時の校長とでは、どちらの取った態度が正しかったのか。
(教育委員長答弁)
樫議員の再質問にお答えします。
この事案については、先程もお答えしましたように、事前に学校へ問い合わせ、合格発表後にその結果を外部の依頼者に知らせていたものでありますが、県民の疑念を招くような行為であったと認識しております。
また、この事案については、本年3月16日に、過去10年間の状況等も含め、事実関係を公表したところであり、第三者機関の設置は考えておりません。
次に、中小業者への危機打開策と仕事おこしについておたずねします。
まずはじめに、憲法第27条の解釈について、知事におたずねします。第27条1項には「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負う」と定められています。この勤労の権利とは、私は働く意思と意欲がある者には、国や地方自治体が労働の機会を提供する義務があり、それが不可能な場合には、相当の生活費を払うべきものと解釈するものでありますが、いかがでしょうか。知事の基本的なお考えをお示しください。
さて、未曾有の経済危機のもと、事業所数の9割、雇用の7割を担う、中小企業を救済し、地域経済の再生を図ることが急がれています。
そのためには、まず第1に中小業者に必要な資金をまわす緊急対策が必要です。今回の補正予算案では、中小企業振興資金貸付金、40億円が計上されていますが、私は制度融資で今一番求められているのは、景気回復までの長期据え置き期間の設定と県信用保証協会へ県の出えん金を増額させることだと考えますが、ご所見をお示しください。
さらに、中小業者への仕事おこしが重要です。今、全国の自治体に、修繕や改善等の「小規模工事契約希望者登録制度」の実施が、香川県を除く46都道府県、411自治体に広がっており、全市町村の23%の実施率となっています。これは、入札参加資格のない中小業者を登録し、自治体が発注する小規模な工事・修繕などに受注機会を拡大する制度です。私はこの制度をまず県が率先して実施し、市・町に広げ、地域経済の活性化をはかるべきと考えますが、いかがでしょうか。ご所見をお示しください。
今回の補正予算の編成に当たっては、経済効果などを勘案して予算措置を講じており、財政状況が厳しい中、住宅リフォームに対する新たな助成制度を創設することは困難と考えております。
また、「住宅リフォーム助成制度」を実施する自治体数は、19都道府県、83自治体となっています。この制度は住民が住宅のリフォームを行なった場合に、その経費の一部を自治体が助成することにより、住宅の改善を容易にするとともに、中小業者の振興を図ろうとするものです。リフォーム助成は、介護保険制度の住宅改修の際にも、また耐震改修の際にも利用でき、何よりも住宅のリフォームは建築関係にとどまらず、家電や家具など幅広い業種に波及効果をもたらします。
知事は、個人住宅の耐震診断・耐震改修に助成することを、財政難を理由に拒否していますが、他県の市町村では、国の補正を活用して実施するところも増えています。私は「住宅リフォーム助成」を、本県経済の活性化をはかる立場から、本県も取り入れて実施すべきと考えます。知事のご所見をお示しください。
(知事答弁)
次に、中小企業に対する事業・制度の実施についてであります。
建設工事では、品質の確保や適切な施工の観点から、施工能力を十分評価した上で、信頼できる業者に発注することが重要であり、入札・契約における公正性、競争性等の観点からも、現在のところ「小規模工事契約希望者登録制度」の導入については考えておりません。
住宅リフォームの助成については、身体障害者や高齢者等に対する福祉施策として行っているところです。
最後に、農業問題についておたずねします。
生産者米価が底なしの低落を続け、他の農畜産物も生産者価格が下落する一方で、燃料や生産資材、エサ代などの高騰が続き、経営は悪化の一途をたどるばかりです。この状況を抜本的に改善してこそ、担い手の確保や耕作放棄地の解消、地域農業の振興に展望が開けます。また、先進国の中で、最低水準の食料自給率40%をどのように向上させるのか。私は、その打開策の中心は、生産コストをカバーする農産物の価格保障制度を抜本的に充実させることであり、またそれを補う適切な所得補償が必要だと考えますが、まず知事のご所見をお伺いします。
さて、本県での食料自給率は36%。全国平均40%を大きく下回っており、私は昨年の11月議会で、県の自給率向上計画を策定すべきと提案してきたところです。こうした中で、本年3月に「香川県食料自給率向上プラン」が策定されました。その内容は、2010年度末までに2%引き上げ、38%にするという計画です。目標が少し低い気がしますが、まず目標を達成し、さらに高い峰を目指すべきです。そのためには麦の作付拡大と、消費者ニーズに応じた農産物の生産拡大を支給するための補助金の抜本的増額、地産地消の推進、学校給食の地場産利用率向上・米飯給食推進などが特に重要です。山口県では、地産地消推進のためにJAと連携して、ポイント制を導入していますが、こうした取り組みも取り入れる必要があると考えます。県の食料自給率向上と農業振興について知事の決意をお伺いし、私の質問を終わります。
5.農業の振興について
(知事答弁)
次は、農業の振興についてであります。
県では、米麦等の経営全体に着目した水田経営所得安定対策のほか、野菜や畜産物等の価格安定制度など国の施策の活用を促しつつ、経営の安定につながるよう、各般の施策を行っております。
お尋ねの、農産物の価格補償制度の抜本的な見直しや,所得保障制度については、生産者と消費者の理解が得られるよう、十分な議論がつくされることが重要だと考えております。
また、食料自給率については、「香川県食料自給率向上プラン」において、8つの重点推進プログラムに取り組むこととしており、消費面では、さぬき米愛用運動、生産面では、小麦の生産拡大などに重点的に取り組むことにしています。
今後とも、目標の達成に向けて、他見の事例なども参考に、地産地消の一層の推進や、消費者ニーズに応じた農産物の生産拡大などに努め、こうした取り組みを通じて、本県農業の振興を図ってまいります。