[2010.8.2] -[議会報告]
7月6日、樫昭二県議が一般質問に立ちました。
主な内容は、1.知事の政治姿勢 ①参院選の争点である消費税増税と沖縄への新基地建設「日米合意」 ②真鍋県政12年間の総括、2.雇用対策と仕事おこし ①新卒者の雇用の確保・促進 ②雇用創出と仕事おこし、3.三年後の障害者自立支援法廃止・新法制定に向けた県独自の障害者施策の実施、 4.子宮頸がんワクチンへの助成、5.学校現業職員の待遇改善、6.生涯スポーツであるグラウンド・ゴルフの振興について質問しました。
質問内容は以下の通りです。
一般質問を行います。まずはじめに知事の政治姿勢について2点おたずねします。
一.知事の政治姿勢について
第一は、今戦われている参院選の大きな争点となっている消費税増税と基地問題をめぐる「日米合意」についてであります。
今、菅首相が打ち出した消費税増税が最大の争点となっています。国政選挙を前に与党が消費税増税で協議を呼びかけ、野党第1党がそれに同調するということは前例がありません。まさに消費税増税の大連立と言わなければなりません。
民主と自民が公約で掲げた消費税10%、今の2倍です。5%分の12兆円増で、国民の負担は、平均年収の4人家族世帯でなんと年間約16万円増、負担総額は34万円で、1か月分の給料が吹っ飛ぶ計算になります。高齢者も、母子家庭も容赦なく直撃されますが、大企業は製品価格に転嫁して一円も負担しません。まさに最悪の不公平税制です。
その一方で、民主党は日本経団連の求めに応じ、マニフェストで大企業の法人税減税を打ち出しました。25%に引き下げると9兆円の税収減です。財界に消費税4%分の減税をするというのです。消費税は1989年4月の導入以降、相次ぐ法人税減税の財源とされてきました。1989年以降国民から集めた消費税の累計額は224兆円、法人税減税分の累計は209兆円とほぼ同額となっていることからみても、消費税増税の目的は、財政再建でも社会保障財源でもなく、大企業減税の財源づくりであると私は思いますが、知事いかがでしょうか。お考えをお示しください。
そもそも社会保障の財源というのは、法人税、所得税などの税金と社会保険料で成り立っています。消費税が足りないから社会保障が破たんするという首相の発言は、消費税だけが社会保障の財源であるかのようにすりかえる偽りの議論です。
財界の要求を丸のみし、国民の暮らしを破壊するひどいやり方は断じて許せません。私は、税収不足を改めるには、大企業や大金持ちへの大盤振る舞いをやめ、累進税率を元に戻すことこそ先決だと思いますが、知事のご所見をお示しください。
さらに、もう一つの大きな争点である沖縄への新基地建設と「日米合意」についてであります。菅首相は、辺野古のサンゴの海をつぶし、巨大な米軍基地をつくる「日米合意」を「なんとしても実現する」と宣言し、しかも「日米合意」では、島ぐるみで反対の声を上げている徳之島などに米軍訓練を「分散移転」するとしています。今、沖縄の海兵隊はイラクやアフガニスタンに展開し、普天間基地に1年の半分はいません。菅首相自身、かつて「海兵隊は抑止力ではない」と言っていました。ところが首相になると自らの言明をひるがえしたのです。こんなひどい政治家はいません。沖縄の戦没者追悼式で参列者から「帰れ」の怒りの声が上がったのも当然であります。普天間問題の解決の道は「日米合意」の白紙撤回と基地の無条件撤去しかないと私は思いますが、知事のご所見をお示しください。
第二は、真鍋県政12年間をどう総括するかについてであります。
知事は、先の代表質問に対し、「知事就任以来、『県政は県民のためにある』との原点を肝に銘じ…予算を編成して」きたと答弁されましたが、私には、非常に空々しく聞こえました。みなさんはいかがだったでしょうか。
そこで私は、県民の目線に立って、以下、大きく2点にわけて総括してみたいと思います。
1点目は、真鍋県政の12年間は事実上の「オール与党」に支えられ、大企業中心のムダな大型開発を推進する一方で、県民の暮らしや福祉に冷たく、子どもたちの教育や住民サービスを切り捨ててきたということです。特に、2001年に発足した小泉内閣の下で、弱肉強食の「構造改革」路線をそのまま県政に持ち込み、県独自の難病医療費の有料化、市町合併の押し付け、学校の統廃合、保健所など出先機関の統廃合等、県民の命と暮らしの破壊がすすめられました。
医療・福祉の面では、不況や雇用の不安が広がるなか、県内の国保料(税)の滞納世帯は2万872世帯、加入世帯の14.3%に上り、保険証の取り上げ、資格証明書の発行が強行され、「無保険の子ども」が社会問題となり、わが党の質問などで、やっと中学生以下の児童に短期保険証が発行されました。党議員団は、国保への県費の助成、減免制度の拡充を繰り返し求めてきましたが、知事は「公平性を保つ」として県民の声を聞かず、そればかりか、平井県政の下で、1991年、わが党議員団の提案で実現した国保への補助金3700万円まで打ち切ってしまいました。さらに、2007年9月、真鍋知事はもっとも弱い立場にある乳幼児、母子家庭、重度心身障害者(児)の医療費を突然、有料化すると発表しました。県民の大きな抗議の世論と県議会での論戦の中で、乳幼児医療費の無料化は継続しましたが、母子、重度心身障害者(児)については有料化を強行しました。
また、介護保険制度は発足から10年が経過し、昨年4月の見直しで高い保険料、利用料、認定基準の改定で矛盾がひどくなっています。全国の多くの自治体で保険料、利用料の減免制度が広がるなか、それを求める県民の要望に耳を貸すどころか、県は市町に対し、減免制度の創設に圧力をかけることまでしました。
教育の面では、教育予算は毎年減額され、昨年度は10年前と比べ-15%、156億円も減少しています。正規採用の教員が大きく減少し、常勤講師が急増しています。わが党議員団が安上がりの教育だと批判してきた「香川型指導体制」では、授業についていけない子、不登校、あるいは学級崩壊といった事態に対応できず、父母や教職員の粘り強い運動で東京と香川だけ実施してなかった少人数学級が一部の学校ではじまりましたが、今こそ少人数学級の本格的実施が求められています。
また、学校の統廃合問題が深刻です。県教委は「小中学校の望ましい学校規模についての指針」により、強引な手法で統合や、小中一貫校をすすめ、今後も高松、坂出、東かがわ、さぬき、観音寺の5市と小豆島、土庄の2町で計画され、小学校で32校減、中学校で6校減が見込まれています。
次に、合併推進についてです。県の強い指導の下に行われた市町合併推進がどういう結果をもたらしたかという点も重要です。2002年4月に5町が合併したさぬき市をはじめ、それまで5市38町の自治体がわずか8年の間に8市9町に激減しました。減少率は全国有数の60%に達しています。
どこへ行っても「合併して良いことは1つもない。悪くなった」という怒りの声であふれています。合併特例債の活用で自治体中心部への開発予算の集中が進む一方で、周辺部地域では地域の産業、経済などの中心であった役場がなくなり、学校や病院の統廃合、さらに路線バスの廃止、減便などで、地域の過疎化・荒廃に拍車がかかり、住み続けられない地域が広がっています。
このような事態を生み出した、真鍋県政の責任は重大であり、今こそ合併の弊害を洗い出し、農林漁業の振興とあわせて、地域再生の取り組みが求められています。以上申し上げました、医療・福祉・教育・市町合併について知事の総括をお聞かせください。
2点目は、大型開発優先のムダな公共事業の推進の見直しです。
2007年11月議会で、私は、県の財政破たんの原因であるサンポート高松の検証を行い、知事に質問しました。その内容は、1500億円の巨費を投じた事業であるが、①事業費50億円の旅客ターミナルビルについて、県は43億円の税金を投入しているが、1階の切符売り場は全く利用されておらず、2階の売店、6階~8階のテナント料は年額4000万円程度で、43億円の投入額を回収するのに100年以上もかかること。②事業費約150億円の地下駐車場は年額2億6000万円余の収入で、回収するのに60年もかかること。③30階建てのシンボルタワーは387億円の事業費で、県負担は84億円。しかしテナント料は、シンボルタワー開発(株)に入っており、県への収入はゼロ。ところが施設管理費は毎年3億3000万円はかかっており、その上、入居している企業に家賃補助として1380万円を支出している。シンボルタワーは投資額の回収どころか、年間3億円以上の費用を税金で払い続けなければならないというひどい事態であること。④港湾の施設整備費は318億円であるが、2万トン級バースには大型客船はほとんど来ず、「釣り堀」となっていること⑤土地区画整理関連事業は512億円で、保留地の売却で事業者に充当しているが、県は今後38億円を支払わなければならないなどを、具体的に明らかにし、県が財政再建をしなければならない最大の原因をつくったのが、この事業ではないかとただしましたが、知事は反論もせず、全くかみ合わない答弁に終始しました。しかしその後、現在においては、シンボルタワーの利用者はオープン当初から半減し、国の合同庁舎の二期工事は凍結というさらにひどい状況に陥っています。
サンポート高松の事業をきちっと検証すれば、事業規模175億円の高松港多目的国際ターミナルの整備も、また現在訴訟に発展している、事業規模185億円の内海ダムの開発も当然見直しされなければならないのに、それをやらない。事業規模480億円の椛川ダムなど3ダム事業も、新たな長期水需給計画の内容をふまえ、適切に対応するとして、大型公共事業推進の姿勢を改めようとしていません。真鍋知事は「県政は県民のために」と言っているが、ここでいう県民はゼネコンや大企業のことですか。そうでないというのであれば、県民の立場に立って税金の使い方を改めるべきではないでしょうか。この点を次の知事にきちっと引き継ぎしていただきたいと思いますが、ご所見をお示しください。
二.雇用対策と仕事おこし
次に、雇用対策と仕事おこしについて2点お尋ねします。
第1は、新卒者の雇用確保・促進についてです。県教委のまとめによりますと、今春公立高校を卒業した生徒のうち、就職希望者は1041人で、その内就職内定者は988人、内定率94.9%で昨年度より2.1ポイント減少となっています。これは全て正規雇用ではないはずです。正規か非正規かの雇用実態をまず明らかにしてもらいたいと思います。
今は「就職氷河期」などといわれますが、就職難は学生の責任ではなく、政治の責任です。新卒者の求人が減少しているのは、景気の悪化だけでなく、派遣や請負などの非正規雇用の拡大が根本にあります。労働法制を抜本的に見直し、日本の雇用のあり方を非正規から正規へと転換することがどうしても必要です。派遣や請負は、公務・公共部門でも急速に広がっています。「官製ワーキングプア」といわれるような、国や自治体の若者を使い捨てにする低賃金労働をただちにやめるべきと思いますが、知事の見解を求めます。
高卒者など、地元での就職を希望する若者も増えています。秋田県では、今春に就職できなかった高卒者に対し、専修学校や企業でのスキルアップできるように学費や受託した企業に賃金助成を実施、宮城県では、新規高卒者を採用した事業主に10万円~30万円を助成。京都府では、今春卒業の未就職者100名を対象に、府が4ヶ月間雇用し、月8万円の賃金を支給しながら、介護・農林業などの人材育成プログラムを受ける事業を実施。和歌山県では、今春卒業の未就職者を原則6ヶ月、最長1年間、臨時雇用し、働きながら就職活動を行うことを実施していますが、本県でもこうした積極策を実施すべきと思いますがどうでしょうか、お尋ねいたします。
第2は、雇用創出と仕事おこしについてであります。
本県の今年度の主な雇用対策事業予算は43億5700万円余でありますが、その内、国からの基金が約39億7000万円で、県の単独予算額は6100万円余にしかすぎません。ところが一方で、企業誘致対策には多額の予算を投入しています。過去5年間の企業誘致助成金交付実績をみてみますと、企業誘致39件、新規雇用者数691人で、30億1500万円余の助成金を企業に交付しています。1企業当たり、7730万円の助成であり、雇用創出一人当たり436万円の単価になります。雇用対策費と企業誘致費とのアンバランスは明白です。もっと雇用対策に力を入れ、県単独予算も大幅に増額すべきと思いますが、ご所見をお示しください。
なお、私は雇用創出につながる、仕事おこしにも力を入れなければならないと思います。
今、住宅リフォーム助成制度が全国に広がっています。今年3月末時点で、30都道府県154自治体で実施されており、県としての実施は島根県と秋田県です。
島根県では、2月議会で白川議員が紹介しましたが、工事費50万円以上で県産木材を20万円以上使用した修繕、内外装模様替えの場合、住宅で10万円、商店、福祉施設で20万円の助成。秋田県では工事費50万円以上で助成率10%、上限額20万円となっています。県が先行して実施し、各市町が上乗せ助成し、相乗効果が出ていると聞いています。
この制度は、地元中小業者の仕事確保とともに地域経済を活性化させる力になります。本県としても先進地に学び、実施すべきと考えますが、ご所見をお示しください。
三.3年後の障害者自立支援法廃止・新法制定に向けた県独自の障害者施策の実施
次に、3年後の障害者自立支援法廃止・新法制定に向けた、県独自の障害者施策の実施についておたずねします。
天下の悪法「障害者自立支援法」の「応益負担」制度が、憲法に定められた「法の下の平等」に違反しているか否かが争われた障害者自立支援法違憲訴訟が今年1月7日に、国との間で「基本合意書」を締結し、4月21日、東京地裁での和解をもって、訴訟が終結しました。障害者にとってまさに「勝利和解」といえる画期的な成果であります。
このことによって、今年度、国の予算107億円が計上され、低所得(市町村民税非課税世帯)の障害者を対象に、福祉サービス、補装具にかかわる利用者負担を無料としました。
国において、新法成定への具体的審議が開始されましたが、障害者自立支援法の廃止は3年先の2013年8月の予定であり、それまでは現行法が継続されます。
特に、新法制定まで待てない緊急課題として、自立支援医療で示されている、1割の応益負担、所得制限の導入、入院中の食費患者負担の撤廃が急がれます。このことを県として、国に強く申し入れを行うこととともに、県が2008年8月から有料化した、重度心身障害者(児)医療費助成制度を元の無料に戻すべきことを強く求めます。お答えください。
なお、今回の新法制定は国だけの課題ではなく、その実施主体となる自治体の課題でもあります。これを機に、いま障害者とその家族が何に苦しみ、何を望んでいるかを県として独自に実態調査を行い、それに対する施策の具体化を行うべきではないでしょうか。基本的なお考えをお示しください。
四.子宮頸がんワクチンへの助成
次に、子宮頸がんワクチンへの助成についておたずねします。
子宮頸がんは、日本では20~30歳代の女性に急増し、年間約1万5000人が発症し、約3500人が死亡するといわれていますが、がんになる前の異型細胞を見つけ出す検診とワクチン接種によって、95%予防することができるともいわれています。
こうした中で、今年4月からワクチン接種への助成を自治体として行う動きが広がっており、県レベルでは東京都と山梨県で実施されています。本県でも、未来を担う若い世代の命を救うために、子宮頸がんワクチンへの助成を実施すべきと考えます。また、国に対し、全国一律の助成制度創設を要望するとともに、学校や地域などあらゆる場を利用し、子宮頸がんに関する広報・啓発に取り組むべきと考えますが、ご所見をお示しください。
五.学校現業職員の待遇改善
次に、学校現業職員の待遇改善についてであります。
国の公務技能職員の給与見直し、民間委託等による業務の見直し方針により、全国的に公務技能職員への行政職(二)給与表適用による大幅賃下げ等が行われており、特に本県の場合は、全国で最もきびしい賃金削減等が提案され、現在経過措置の期間を伴って実施されております。
ところが県教委は当初の提案にはなかった新たな提案を行い、工業・理科・図書館・介助の4種の実習教諭職を任用替えの対象にするとしております。これは、実習教員の専門性を否定し、現業職員と実習教員を不安に陥れ、学校教育の質の低下を招くことになりかねず、教育現場に混乱をもたらすことは決して許されません。
そこで、学校現業職員の待遇を改善するため①給与を生活が維持向上できる水準とすること②定年年齢の引き下げを行わないこと③学校現業職員の新規採用を行い、正規職員の増員を図ることを強く求めるものでありますが、教育長のご所見をお示しください。
六.生涯スポーツであるグラウンド・ゴルフの振興
最後に、生涯スポーツであるグラウンド・ゴルフの振興についておたずねします。高齢社会の進展によって、健康の保持・増進を目的に、体力に過剰な負荷をかけることなく気軽に行える、さまざまなニュースポーツが考案され、生涯スポーツとして発展しています。
その中の一つに、グラウンド・ゴルフがありますが、これは1982年に考案されたスポーツです。集団競技であるゲートボールとは違い、個人競技で運動場や公園などで気軽に行うことができることから、全国で急速に普及し、香川県でもすでに2500人を超える愛好者がおり、老人クラブなどで大会に参加する人も含めると1万人を超える人々が、グラウンド・ゴルフを楽しんでいます。
来年9月には、本県で全国大会が開催される予定であり、これを機にさらにグラウンド・ゴルフの愛好者が増えると思われます。全国には日本グラウンド・ゴルフ協会が認定した、認定コースが244コースあります。ところが本県では、小豆島に民間ホテルが経営する認定コースが1か所あるのみで、公設の認定コースは1つもありません。愛好者からぜひ認定コースをつくってほしいという強い要望が上がっております。第4期香川県高齢者保健福祉計画にも「生涯スポーツの機会の拡充」がうたわれておりますが、県として認定コースを設置すべきと考えますが、教育長のご所見をお示しください。
また、介護保険の介護予防事業について、その中の一般高齢者施策に、地域介護予防支援事業として自主グループ活動支援等があります。県や市町にもグラウンド・ゴルフ協会が結成され、介護予防を中心とした、グラウンド・ゴルフの普及指導員の講習会が開かれていますが、こうした活動を自主グループ活動の支援対象とし、高齢者が生涯健康で長生きできるよう事業の発展をはかるべきと考えますが、知事のご所見をお示しください。