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    [2010.12.15] -[議会報告]

    12月14日、かし議員が一般質問に立ちました。
    質問の全文は以下の通りです。

    1.知事の政治姿勢について

     先に終わりました、臨時国会を通じて、民主党・菅政権の「自民党返り」ともいうべき様相が一層明確になりました。内政・経済政策では、国民に約束した後期高齢者医療制度の廃止は、新たな差別医療制度として改変されようとしており、労働者派遣法の抜本改正も見送られ、さらにひどいのは日本の農林水産業に壊滅的な打撃を与えて、日本の国土と社会そのものを破壊するTPP(環太平洋経済連携協定)への参加へ大きく踏み出そうとしています。
     特に外交では、菅内閣の「外交力」が厳しく問われており、尖閣諸島、千島問題という二つの領土問題では、戦後続いた自民党政治の外交的弱点をそのまま引き継ぐだけで、新たな事態に対応できない「外交力」の無さを露呈し、また許すことのできない北朝鮮による軍事的挑発行為の解決に向けても、日本としての平和的な事態解決のための積極的なイニシアチブを発揮できないでいます。
     さらに政治姿勢の問題でも、古い政治からの脱却ができず、国民的要求となっている小沢一郎氏の国会召致を拒否し、国民への公約を破って、企業・団体献金の再開に足を踏み出しています。
     このように、菅政権が「自民党返り」とも言うべき様相をあらわにすればするほど、政府と自民党などとの国会論戦は、もっぱら揚げ足取り的な非難合戦で、国民不在となっています。そういう国会のなかで、日本共産党は、議会政治の大道に立って切実な国民要求から出発しつつ、古い政治の中身を正して、わが国の進むべき方向を大きく示す論戦を展開してきたところであります。私もこうした立場から、建設的提案も交え、一般質問に入りたいと思います。まず、始めに知事の政治姿勢について3点お尋ねします。

    (1)経済対策
     第1は、経済対策についてです。国の補正予算により、緊急経済対策が行われますが、これで円高・デフレを是正できるでしょうか。私は、本当にそれを是正するのであれば、家計を直接応援すること、つまり内需を活発にする施策が必要ですが、そういう具体策がありません。
     今の日本経済の最大の問題は、12年間にわたって国民の賃金が下がり続けていることにあります。民間給与は、97年の平均467万円が09年には406万円へと12年間で61万円も年収が落ちています。その一方で、大企業は244兆円という巨額の内部留保を溜め込み、手元資金が52兆円と「空前の金余り」となっています。こうしたなかで、今必要なことは、大企業の溜め込み金を設備投資や雇用に回していけるような、お金が循環するような経済構造への転換が必要です。需要が無いところには、投資は起こりません。内需を活発にするためには、内需の6割を占める家計を直接応援すること、具体的に言えば、人間らしい雇用を保障し、賃金の底上げをはかる、社会保障を充実して、将来不安を取り除くという二つの政策が重要です。さらに、中小企業、農林漁業をしっかりと振興する必要があります。
     世界からみて、日本は「成長しない国」といわれています。97年に515兆円だったGDPは、09年には474兆円へと大きく減少しています。成長どころか衰退している国は、世界の中で日本だけです。先の代表質問でも、香川県のGDPが10年前と比べて、2500億円も減少しているということが、大きな問題になりましたが、なぜこうなったのでしょうか。それは、いわゆるトリクルダウンの論理、「大企業がもうければ、いずれはその利益は経済に及んで、最後には家計に及ぶ」ということで、大企業の支援ばかりやってきたからです。
     右肩下がりの経済状況の下で、もはやトリクルダウンは通用しません。今こそ、私は家計を直接応援して、内需を活発にするための政策転換が必要だと考えますが、知事のご所見をお示しください。
     浜田知事は、知事就任にあたり「日本一元気で、日本一安心できる県」にしたいと表明されておられますが、それは具体的にどういう施策を行うのでしょうか。私は、今必要なこととして、雇用確保については、国の「ふるさと雇用再生特別基金事業」「緊急雇用創出基金事業」だけでなく、県の責任において行うこと。中小企業対策としては、「円高対策緊急融資」の創設、地域の活性化・仕事おこしとして、「耐震診断・設計・改修助成制度」や「住宅リフォーム助成制度」を創設することなどが重要と考えますが、いかがでしょうか。

    (2)TPP(環太平洋経済連携協定)
     第2は、TPPについてであります。知事は代表質問の答弁で、TPP参加については「貿易の自由化に伴うプラス面」と「農業分野におけるマイナス面」とがあり、「国民的合意が得られないまま、拙速に進めることには反対」と述べられました。しかし、この答弁ですと、国民合意があればTPPに参加して良いということなのでしょうか。前原外相は、「日本のGDPにおける農業の割合は1.5%。1.5%を守るために98.5%を犠牲にしていいのか」と述べ、農業など一部の人たちが既得権益を守るためにTPPに反対しているかのように描きました。マスコミもTPP参加をバラ色に描いて毎日流しています。こういう状況の中で、国民合意とはどういうことですか。私は、食の安全・安心を市場任せにしていいのかどうかが問われており、食料自給率を50%にするとした国の方針、これこそが国民合意でつくられた方針であり、TPP参加は、まさに国民合意を反古にしようとするものであり、絶対認めることはできません。
     農水省の試算でも、国内農業生産の減少4兆1000億円、食料自給率の低下は、40%から14%へ、農業・農村の多面的機能の喪失3兆7000億円、GDP減少額7兆9000億円、就業機会の減少数340万人となっており、農業だけでなく地域経済が崩壊する事態になりかねません。
     貿易の自由化で儲けるのは、自動車や電気産業など一部の大企業だけであり、国民に恩恵が回らないことは政府自体が認めています。内閣府の試算では、TPPに参加し100%自由化した場合、実質GDPの増加は、0.48%~0.65%にすぎません。知事はこれをご存知ですか。
     浜田知事、「貿易の自由化に伴うプラス面」とか「国民合意」とかの前置きはやめて、世界的な食糧危機が起きるといわれるなか、国連総会で決議された「食料主権」の立場に立ってTPP反対をきっぱり表明されることを求めますが、お答えください。

    (3)財政運営計画(素案)
     第3は、財政運営計画(素案)についてであります。
     来年度から向こう5年間の計画(素案)が示されましたが、歳入確保額627億円の内、県債の発行が6割近い360億円、基金の取り崩しが3割以上の215億円、借金と貯金の取り崩しが9割以上を占めており、県税収入15億円、県有未利用地等の売却25億円、貸付金等の回収12億円、これらを合計しても7.9%でしかなく、これで歳入確保策と言えるのでしょうか。
     地方交付税等の確保については、額さえ示されていません。本県の県債残高は、当初予算ベースでは今年度末で8246億円の見込みであり、年間予算の2倍にもなっています。その内、臨時財政対策債が約2500億円となっており、これは地方交付税の増額なしには解消できる見込みがつかないものです。全国知事会の麻生会長は、地方の社会保障関係費が今後毎年、7000~8000億円の増となり「一般財源を本年度並みにされれば、実質的に大幅な削減になる」として、国の責任で自然増分を確保するよう求めていますが、本県としても国に対し、強い姿勢で地方交付税など地方への財政支出を要求すべきと考えますが、いかがですか。そして、地方交付税の大幅な増額の見通しが立たないのであれば、瀬戸大橋の出資金、本年度まで総額約620億円出資の上に、さらに毎年26億5000万円もの出資はやめるべきではないでしょうか。知事のご所見をお示しください。
     さらに歳出削減策についてですが、5年間で365億円歳出を削減する内の100億円が総人件費の抑制で、毎年職員の給料を20億円もカットするというものです。四国の他の3県との比較で見ると、高知は1月からカットを廃止、愛媛、徳島もカットを下げていっているのに、本県だけなぜ継続させるのでしょうか。ラスパイレス指数は全国37位で全国平均を下回る低い給与水準になっており、職員の士気にも係わる問題であります。私は、職員の給与カットを廃止すべきと考えますが、知事のご所見をお示しください。
     知事が、県の借金を減らし、財政再建を行うというのであれば、まず自らが範を示して、知事の退職金3700万円余を全額返上してはどうでしょうか。すでに岩手、山形、群馬、山梨、長野、静岡、滋賀の知事は全額返上しております。退職金に対する知事の基本的なお考えをお示しください。
     9月議会で、わが議員団の白川議員が質問しました通り、真の財政再建を行うのであれば、大型開発を徹底的に見直すべきとして、今後860億円かけて建設を進めようとしている県内4つのダム計画と175億円の高松港多目的国際ターミナルの見直しを求めましたが、歳出削減策として素案の中には示されていません。県財政を破綻させたサンポート高松の教訓が、全く活かされていないのはなぜでしょうか。職員の給与カットより、大型開発の見直しで、県民のくらしと福祉・教育を守るための財政を確保すべきと考えますが、知事の基本的なお考えをお示しください。
     なお、素案では、新規重点枠の拡大として、5ヵ年で50億円が設定されています。知事の言う「元気の出る香川」「安心できる香川」「夢と希望あふれる香川」を実現するのであれば、高い国保料の1世帯1万円の引き下げ、子どもの医療費の無料化年齢を小学校卒業まで引き上げること、また、県内の小・中・高等学校の暴力行為全国一の汚名を返上し、子どもたちにゆきとどいた教育を進めるための30人学級の実現など、県民にとって切実な願いを叶えるための施策を実施していただきたいと思いますが、ご所見をお示しください。

     

    2.新たな水需給見通し
     次に、「新たな長期水需給見通し」についておたずねします。
     97年(平成9年)5月に「第3次香川県長期水需給計画」が策定され、13年が経過し、水需給を取り巻く社会経済情勢の変化、気候変動による渇水が頻発・深刻化しているとして、総合的な水資源対策の指針となる新たな水資源対策大綱の策定に向けて、今回の「新たな長期水需給見通し」が出されました。
     私ども議員団は、今まで一貫して水需給の見通しがあまりにも過大でないかとの指摘をしてきましたが、今回出された見通しもやはり過大なものになっています。そこで以下、3点おたずねします。

    (1)水道用水
     第1は、水道用水です。供給量は常用水源のみを対象としており、宝山湖の300万トンなど、非常用水源が含まれていません。渇水が起きる可能性があるから非常用として水源を確保しているのに、なぜそれを除外して計画を立てるのでしょうか。私は理解できません。
     またさらに、将来の人口推計では、25年には人口88万7000人、35年には人口80万人になるといわれています。将来人口が大幅に減少するのになぜ水道用水が足りなくなるのでしょうか。総務委員会では、核家族化で、世帯数は増加傾向になるからと説明していますが、これも理解できません。県内で一番核家族化が進んでいる高松市でさえ、市水道局は10年現在、給水人口41万1500人から、30年36万4900人に減少し、4億円の赤字になるとして、水道整備計画を変更すると市議会で発表しています。また、県下の市町では渇水に備え、自己水源の確保が検討されています。こういう状況にもかかわらず、水道用水は足りないという見通しになるのはなぜですか。明確に答えてください。

    (2)工業用水
     第2は、工業用水についてです。先にも述べましたが、県のGDPが10年前と比べて2500億円も減少する状況の中で、15年後には、工業用水の需要量が31.3%も増加するという計画を立てるのはおかしいと思います。総務委員会では、中讃地域での工場誘致のため先に確保しておく必要があると説明していますが、今工業用水は余っているではありませんか。15年後に3割も需要量が増加するという計画では、県民の理解は得られないと思いますが、明確にお答えください。

     第3は、農業用水についてです。11月末に「2010年農林業センサス」の調査結果が発表されましたが、それによりますと、5年前と比較して、農業人口は26%減、農業の耕地面積は6%減、逆に耕作放棄地は8.4%の増加となっています。そしてさらに、農業就業人口に占める高齢化率は70%を超え、香川の農業の前途は厳しいものとなっています。それにもかかわらす、農業用水の需要は将来増加するというのは全く理解できません。なぜそうなるのか、明確にお答えください。
     以上の点からみて、「先にダムの計画ありき」ということになっているのではないですか。私は、今後も過大な水需給計画を策定することは再検討すべきと考えますが、知事のご所見をお示しください。

     

    3.新内海ダム
     次に、新内海ダム建設についておたずねします。
     去る11月24日、県と小豆島町は、反対住民から強制収用した土地に立ち入り、ダム建設の工事を開始しました。このことについて、浜田知事は「明け渡しの期限を過ぎても『団結小屋』が撤去されなかったことは残念。自主的な撤去を求めていきたい」と述べておられますが、裁判中にもかかわらず、反対住民を押し切って工事を強行するのはいかがなものでしょうか。知事、お答えください。

     12月10日付の「週刊朝日」に「新内海ダム、強制収用という暴挙、民主党の欺瞞」という記事が載っていますが、その中で、水源開発問題全国連絡会の遠藤保男事務局長は「このダムでは76年のような水害は防げない。別当川に必要なのは、土石流と高潮対策。またダムの堰堤の直下150mに住宅地が広がっており、断層の上に建設されるダムが、地震や地滑りなど危険を召致する要因になる。」と指摘。また地質の専門家、志岐常正、京都大学名誉教授は、現地を見て「この大量の残土が土石流の源になるのでただちに撤去を」と警告しています。
     この建設残土こそ、74年、76年の大災害で68人の命を奪った土石流の原因である「真砂土」であります。県は専門家の指摘に真摯に耳を傾け、工事を中止すべきではないでしょうか。
     さらに「週刊朝日」の記事は、「コンクリートから人へ」の掛け声は完全に逆立ちして「抵抗を潰して強制収用」という事態になっている。これは歴史の逆行ではないのかと結んでいます。工事を中止し、反対住民と話し合うお考えがあるのかどうか。知事の明確な答弁を求めます。

     

    4.国立療養所「大島青松園」を結ぶ官用船の運航
     次に、国立療養所「大島青松園」を結ぶ官用船の運航についておたずねします。 国はハンセン病隔離施設を大島につくり、強制的に隔離政策を進めてきた責任を取るべきであり、入所者の足である官用船は国の責任で運航すべきことを、私ども議員団は厚労省に対し、強く申し入れてきたところであります。
     また、9月定例県議会において、国直営の運航維持を求める意見書を全会一致で可決しました。
     こうした中で、厚労省は官用船の民間委託について、「現段階においていまだ十分な理解が得られていない」として、来年度からの民間委託を断念し、引き続き入所者との話し合いを継続していくことを明らかにしました。民間委託という国の方針を変えさせたのは、官用船を守れの県民世論の力であり、まさに画期的な成果であります。
     しかし、今回の厚労省の決定は、来年度一年間の暫定方針であり、民間委託を断念したわけではありません。9月議会の白川議員の質問に対し、「国の責任において、その確保が図られるべきもの」と答弁しておられますが、県はこの立場をしっかり堅持し、厚労省に対し、官用船を民間委託しないよう強く申し入れるべきと思いますが、知事の決意をお伺いいたします。

     

    5.教育問題
     最後に、教育問題について3点おたずねします。
    (1)30人学級
     第1は、30人学級の実施についてであります。文科省の新・教職員定数改善計画によりますと、公立小中学校の少人数学級の推進等で、11年度から18年度、8年間で5万1800人の教職員を増員するとし、11年度は小学校1年、2年生については35人学級に移行する計画であり、今後順次35人学級に移行し、小学校1,2年生については30人学級にしていくとしています。文科省の行った意見募集でも、8割以上の人が30人以下学級を望んでおり、まさに30人学級は国民的要求になっています。本県においても、香川型指導体制に固執することなく、本格的に30人学級を実施するための年次計画を策定すべきではないでしょうか。まず、来年度はどうするのか。今後の具体策について、教育長の基本的な見解をお示しください。

    (2)小中学校の普通教室へのエアコン設置
     第2は、小中学校へのエアコンの設置についてです。夏の猛暑を受け、小中学校へのエアコンの設置が全国で進んでいますが、県教委として各市町に対し、設置促進のために県独自の補助制度を創設すべきではないでしょうか。教育長のご所見をお示しください。

    (3)私立高校に通う生徒への授業料軽減補助の増額
     第3は、私立高校に通う生徒への授業料軽減補助についてです。本県の私立高校の平均授業料は約30万円であり、国からの就学支援金では足りません。公立高校と同じように無償にすべきであります。本県では、県単独の授業料軽減補助によって、生活保護世帯、市町村民税の非課税または、均等割のみの世帯は不足分を補い無償となっていますが、校長推薦の、年収約400万円以下の世帯、母子または父子世帯で年収約550万円以下のものは、不足分の1/2補助であり、負担は相当大きいものがあります。今、経済的理由で授業料を3ヶ月以上滞納している生徒が、全国的に急増しているといわれており、先の総務委員会で本県の実態をお聞きしましたら、10月末現在で、311人もいることが分かりました。私は、経済的理由で中途退学者を出すことは許されないと思いますが、知事いかがでしょう。低所得者の世帯に対し、授業料を無償とするため、授業料軽減補助を増額するよう、早急な対応を強く求めるものでありますが、ご所見をお示しください。以上で私の質問を終わります。