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  • 6月議会 一般質問・答弁

    [2011.7.14] -[議会報告]

     7月6日、かし議員が一般質問に立ちました。
     質問と答弁は以下の通りです。

     

     一般質問を行います。まず初めに知事の政治姿勢について3点お尋ねします。

     第1は、東日本大震災についてであります。
     3月11日に発生した東日本大震災によって、死者・行方不明者は2万2000人を超え、4ヶ月近く経った今もなお、約8万人の方々が避難所での生活を強いられています。犠牲になられた方々に対し、心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。また、被災者をないがしろにする暴言を繰り返した、松本復興相の辞任は当然であり、菅首相の任命責任はきわめて重大です。
     さて、知事は、今議会の議案説明の冒頭で、自ら被災地に入り被害状況を目のあたりにし、「県民の生命と財産を守り、安心して暮らせる地域づくり、香川づくりへの思いを一層強く心に刻んだ」と述べられています。そこでお尋ねを致しますが、大地震によって破壊された生活基盤の回復のための公的支援はどういう観点ですすめるべきかという点です。
     日本国憲法第13条は「すべて国民は、個人として尊重される」、国民の「幸福追求」の権利は「最大の尊重を必要とする」と明記しています。第25条は「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」、「国はすべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と明記しています。したがって公的支援のあり方、復興の進め方については、計画は住民の合意で、財政は国の責任で行うということが基本でなければならないと思いますが知事はどのようにお考えでしょうか。基本的なご所見をお聞かせください。
     私ども日本共産党は、以上の立場から、国会で成立した東日本大震災復興基本法には反対しました。それは第1に、復興の基本は被災者が主役であり、上からの押し付けであってはならず、生活再建が復興の土台であるという点があいまいにされるということ。第2に、地方公共団体の「責務」が定められ、被災自治体は国の基本方針が決まるまでは、本格的な復興を進めることができず、被災地の実態より国の方針を優先しなければならないことになりかねないこと。第3に、総理の私的諮問会議である復興構想会議のこれまでの議論を法的に追認し、復興財源を確保するとして、復興を口実にした消費税大増税に道を開くことになりかねないからであります。知事は、この東日本大震災復興基本法をどのように受け止めておられるのかお示しください。

    (知事答弁)
     樫議員のご質問にお答えいたします。
     まず、私の政治姿勢のうち、東日本大震災についてであります。
     被災地域の復興に当たっては、国と地方公共団体との適切な役割分担と相互の連携協力の下、被災地域の住民の意向が反映される施策が推進されることが重要であると考えております。
     お尋ねの復興基本法については、復旧を超えた抜本的な対策、国民相互の連携を基本に協働と役割分担、原発被災地域の復興についての配慮、東日本大震災復興対策本部や構想会議の設置などを内容としたものであり、先月20日に成立し、今後、国・地方あげての復興が本格的に取り組まれることになりました。
     私としましては、法律の制定により、何よりもまず、復興に向けた体制が早く整備され、被災地域の1日も早い復興が図られることを望むものであります。また、復興財源については、復興を国民で支えあう観点から検討されるべきものと考えております。

     

     第2は、原発についてであります。
     まず、福島原発事故が明らかにしたものは何かということです。それは1つには、他の事故にはみられない「異質の危険」があること。ひとたび重大事故が発生し、放射性物質が外部に放出されると、もはやそれを抑える手段が存在せず、被害を空間的・時間的・社会的に限定することが不可能です。このような事故は他に類をみません。また、2つ目には、現在の原発技術は、本質的に未完成で危険なものであるという点です。100万KWの原発が1年間稼動すると広島の原爆の1000倍以上の「死の灰」がたまり、この「死の灰」を原子炉の内部に安全に閉じ込める手段を人類は手にしていません。こうした未完成の危険な技術を使い続けていいのかが問われています。さらに3つ目には、歴代政権が、電力業界の経営陣とともに「日本の原発は安全」とする「安全神話」にしがみつき、重大事故への備えをとらなかったことが、今回の事故で明らかになりました。安全な原発などありえません。ひとたび重大事故が起きれば、とりかえしのつかない事態を引き起こす原発を、とりわけ、地震・津波の危険が大きい日本において、国民が社会的に許容していいのか。原発と日本社会は共存できるのか。それこそが、今、福島原発事故が突きつけている問題だと考えますが、知事のご所見をお示しください。
     私は、以上の点を踏まえて、次のことを提案します。
     1つは、原発からの撤退の政治的決断を行うこと。5~10年以内を目標に原発から撤退する計画、原発ゼロの計画を策定する。特に老朽化した原発、住民合意が得られない原発は廃炉にすること。2つ目には、自然エネルギーの本格的導入と、低エネルギー社会に国をあげた取組みを行うことであります。知事はこの提案をどのように受けとめますか。基本的なお考えをお示しください。
     また、四国には愛媛県に四国電力の伊方原発があります。発電開始から1号炉は34年、2号炉は29年と耐用年数の限界に達する状況にあり、最も危険なプルサーマル運転を行っている3号炉は定期点検も終わり、7月にも再稼動するといわれていますが、私は危険な伊方原発は、すべて廃炉にすべきと考えます。そのために、浜田知事が四国4県の知事の代表としてリーダーシップを発揮していただきたいと思いますが、その決意をお伺い致します。

     (知事答弁)
     次に、原子力発電についてであります。
     エネルギー政策については、国全体で考えるべきであり、国民的議論を進めていく必要がありますが、私としては、安全・安心の確保の観点、電力の円滑かつ安定的な供給の観点、環境への配慮といった観点が、重要であると考えています。
     このため、中長期的には、太陽光や地熱発電も含めた再生可能エネルギーの普及を促進していくことが良いのではないかと考えておりますが、今すぐに、十分な対応策もないまま、伊方発電所を含め、すべての原子力発電所を廃止することは、県民の皆様の暮らしや仕事に大きな支障が生じる恐れがあると考えております。
     いずれにしても、四県知事としては、去る6月8日に、国に対して、福島第一原子力発電所の事故の早期収束への取り組みや、事故の発生経緯、詳細な解析・評価の実施、原因の究明などを求めていく内容の緊急アピールを取りまとめたところであり、まずは、この点が重要であると考えております。
     また、本県としては、6月27日に、伊方発電所の安全対策等に関して、四国電力との勉強会を実施したところであり、その際の説明資料もすべて県のホームページで公表しておりますが、今後とも、県民の安全・安心の確保に努めてまいりたいと考えております。

     

    第3は、地域主権改革についてであります。
     今国会で、「地域主権改革関連三法案」が可決、成立しましたが、民主党の政権公約である「地域主権改革」の文言が削除され、いわゆる「地域改革推進法」という名称に変わりました。しかし法律の本体である「義務付け・枠付けの見直し」の中身は原案通りであります。
     この「義務付け・枠付けの見直し」は、事務手続の簡素化や地方自治体への条例委任化により住民の声を反映させることができるものも含まれ、プラス面もありますが、福祉・教育の分野などで、ナショナルミニマム(国が定めた最低基準)を保障する国の責任が投げ捨てられることは重大です。保育所や高齢者、障害者施設の人員配置基準、人権に直結する運営基準等については、「従うべき基準」とされていますが、その他の施設、設備、運営基準については、「標準」または「参酌すべき基準」とされ、地方の判断で基準の引き下げが可能となり、福祉や教育の大きな後退につながることは明らかであり、断じて容認することはできません。この点について知事の基本的なご所見と今後の対応についてお伺い致します。

    (知事答弁)
     次に、地域主権改革についてであります。
     義務付け・枠付けの見直しは、地方自治体の自由度を拡大し、地方の創意工夫を生かした住民本位の施策を推進する上で必要なものであり、今回の見直しにより、地方自治体の判断で変更できることとなった基準等については、議会での審議を経て、条例で定めることになりますので、御懸念のような福祉や教育の大きな後退につながるものではないと考えております。
     今後、今回の見直しの施行期日が平成24年4月1日であることから、関係府省に対して、条例制定の基準となる政省令を早急に制定することを求めるとともに、現在、国会で審議中となっている第2次一括法案についても、早期成立等を引き続き要望し、地方が自らの班田と責任で行政運営を行い、個性豊かで活力に満ちた地域社会を実現できるよう積極的に取り組んでまいります。

     

    次に、防災対策について3点お尋ねします。
    第1は、東日本大震災の教訓は何かということです。1つは「想定外に備えよ」ということ。自然の力を甘く見ず、人間の持つ科学技術を過信せず、抜本的に防災基本条例や地域防災計画を見直す必要があります。もう一つは、「経済合理性より安全性を優先せよ」ということ。経済的な効果を追求することばかり考えるのでなく、住民の命と暮らしを守ることを優先すべきであります。私は、以上2つの教訓をしっかり踏まえた県の防災対策を求めるものでありますが、知事のご所見をお示しください。

    (知事答弁)
     次は、防災対策についてであります。
     今回の震災の教訓としては、想定を超える被害が発生し得ることを理解したうえで、災害から県民の生命と財産を守り、安心して暮らせる香川づくりを行わなければならないということではないかと考えております。
     また、防災対策基本条例は、19名もの尊い人命が失われた平成16年の大きな災害の経験から、被害軽減のためには、公的機関による対応だけではなく、県民が自ら行う防災対策も重要であるとの考え方のもと、県民、市町及び県の各々が役割分担のうえ、連携・協働することを基本として制定されたものと認識しています。
     国の防災基本計画においても、公助・自助・共助の各々の重要性を掲げており、内容として県条例と異なるものではないと理解しております。
     いずれにしても、今回の震災の教訓を踏まえ、災害から県民の生命と財産を守り、安心して暮らせる香川づくりを進めてまいります。
     防潮壁の整備については、現在、「津波・高塩対策整備推進アクションプログラム」に基づき、関係市町とともに、積極的に取り組んでおり、今後とも、国に事業採択基準の緩和を要望するなど、少しでも早く整備が図れるよう努力してまいります。
     津波対策については、ハード・ソフトの両面から検討し、県全体で効果的に整備が進むよう取り組んでいく必要があります。
     このため、まずは、既存の護岸や水門について、過去の点検資料に基づく耐震性の再検証や、液状化・津波に対する安全性の点検などに着手したいと考えております。
    なお、ハザードマップについては、ほとんどの市町で作成されておりますが、新規の作成やその見直しについて、県としても作成支援や情報提供に努めてまいります。


    第2は、香川県防災対策基本条例の中に謳われている、自助、共助、公助の位置づけの見直しです。
    国が策定した中央防災会議の防災基本計画の総則では「防災とは・・・国土並びに国民の生命、身体及び財産を災害から保護する、行政上最も重要な施策である」「行政による公助はもとより、個々人の自覚に根ざした自助、身近な地域コミュニティ等による共助が必要であり」と記述されています。
     ところが、県の防災基本条例では、第1章総則第3条基本理念で「防災対策は、県民が自らの身は自らで守る自助を原則とし、自助を前提に、地域の安全を地域住民が互いに助け合って守る共助に努め、市町及び県が公助を行うことを基本とし」と記述されており、国の位置づけと順番が違うのはなぜでしょうか。国では防災が「行政上最も重要な施策」として、「公助」を前提としているのに対し、県の条例では、「自助」が原則、前提となっており、「公助」は一番最後で付け足しのようになっています。私は、防災は自己責任論で対処すべきものではなく、やはり、行政が責任を持つべきものと考えます。したがって、国の順序にならい、公助、自助、共助と改めるべきと思いますが、知事のご所見をお示しください。

    (知事答弁)
     次は、新中央病院の整備についてであります。
     現在の中央病院については、施設が狭隘化し時代に即した療養環境の確保が困難になっていることや、老朽化が進んでいること、一部施設を除いて耐震改修がなされていないことなどから、移転整備が急がれる状況にあります。
     このため、他の公的病院とのバランスに優れていること、敷地面積が広く高度医療を提供するための効率的な施設配置が可能であることなどから、県議会のご承認もいただき、朝日町に移転先を決定し、平成25年度の開院を目指して移転整備を進めてきているところであります。
     こうした中、先般の東日本大震災における未曾有の被害状況を受け、津波対策や液状化対策などの新中央病院の現在の防災対策について、防災の専門家のご意見もお聞きしながら、早急に検証する必要があると考え、新中央病院防災対策検討会議を設置し、公開の場で検討を重ねているところであります。
     私としては、新中央病院については。これまでも必要な防災対策に取り組んできており、一義的には、現在の整備場所での防災対策の検証を行い、万全を期するための追加対策を実施することにより対応したいと考えておりますが、今後、県民を代表される県議会での御議論や検討会議及び国の各種会議での検討などを踏まえ、県民の皆様の安全・安心の観点から中央病院に求められる機能・役割を果たしていくために必要な対策について、専門家のご意見を伺って、さらに検討してまいりたいと考えております。


     第3は、「津波・高潮対策整備推進アクションプログラム」に基づく防潮壁の整備についてであります。
     本県は延長700kmに及ぶ海岸線があり、津波・高潮対策は重要です。現在までの整備進捗率は68%で、計画を上回っていますが、計画をもっと前倒してでも早期に完成させる必要があると思いますがいかがでしょうか。また、平成16年の高潮災害での潮位を基準にした防潮壁について、代表質問の答弁で津波に対し「ある程度の減災効果」があると答えていますが、県民サイドからすれば「不安を感じさせる答弁はやめてもらいたい。想定外を想定し、現在の整備高が不十分であれば、かさ上げしてでも対処すべき」ということですが、いかがでしょうか。耐震性の再検証、安全性の点検、ハザードマップ作成はいつまでに行うのか明らかにしていただきたいと思います。
     次に新中央病院の建設についてお尋ねします。
     私ども日本共産党議員団は、現在建設中の朝日町・日本たばこ産業跡地について、①液状化の危険②石油タンクや造船所、競輪場等が隣接する環境③交通アクセスが不便の理由で移転候補地の再検討を求めてきましたが、2008年2月議会で、日本共産党以外の賛成で用地決定が強行され本年3月に着工となりました。しかし、その直後の東日本大震災で液状化の恐ろしさをまざまざと見せつけられ、県民の間から不安の声が大きく高まり、建設場所の移転を求めるまでに至っています。
     こうした中、6月9日の総合防災対策特別委員会で病院局長より建設工事を一次中断するとの方針が表明され、検討会議の結論と県議会の議論を踏まえて再開時期を判断するとしました。しかし、知事は13日の定例記者会見で「整備場所については、これまでの検討において変更する必要はない」との考えを示しました。
     ところが、19日の四国新聞では、世論調査の結果として、県民の6割が朝日町の現在地は「適切でない」と答え、契約違約金の支払いや建設期間が長くなるデメリットがあったとしても「より安全な別の場所に建設すべき」が54.4%、県民の過半数が建設場所の変更を求めていることが明らかになりました。
     私は、ここまで県民の意思が明確になっている以上、知事をはじめ当局者の思いがどうであれ、県民の意思に従い、建設場所は津波や液状化の心配がない安全で利用しやすい場所に変更すべきであると考えます。私は以上の立場から、知事ご自身の英断、建設場所を変更するという英断をここに強く求めるものであります。お答えください。


     
     次に県民のくらしと福祉、教育の充実について、4点お尋ねします。
     第1は、高すぎる国保料の引き下げについてであります。
     国保料の納付通知書が各世帯に送られてきましたが、所得200万円台で負担が30万円を超えるなど、高すぎる国保料が大問題になっています。ところが、民主党政権は、国保の広域化を打ち出し、一般会計からの繰入れ中止と、国保料の引き上げを求め、滞納者には強権的な取立て、保険証の取り上げを行うことを通知し、今、全国で給料や年金などが差し押さえられ、生活できない世帯が急増しています。県下の市町でも2009年度で415件、1億5200万円の差し押さえがなされています。
     こうした厳しい状況の中で、私は県として国に対し国庫負担を元に戻すよう強く申し入れるとともに、市町に対し独自の補助を行い、せめて一世帯当たり1万円の国保料を引き下げるべきと考えます。また、市町に対し、国税徴収法などの法令で想定された生計費の差し押さえは禁止されていること、地方税法でも「生活を著しく窮迫させるおそれのある」場合、差し押さえなどの「滞納処分」の執行を停止することができる旨、規定されていることなど条文を明示して、人権侵害、生活破壊の取り立てをやめさせるよう指導すべきと考えますが、知事のご所見をお示しください。

    (知事答弁)
     次は、医療・福祉行政のうち、国民健康保険制度についてであります。
     市町国保への公費助成の拡充につきましては、国において、地方の意見を十分に踏まえた上で、財源負担を検討すべきものであり、県費による引下げは適当でないと考えております。
     また、国への申し入れにつきましては、実施主体である各市各町の意向を踏まえて、対応してまいりたいと考えております。
     国保料の滞納者に対する差押などの滞納処分につきましては、被保険者間の負担の公平を図り、国保財政の安定的運営を確保する観点から必要であり、各市各町において法令に基づき適切に実施すべきものと考えております。


     第2は、子どもの医療費無料化年齢の引き上げについてです。
     今まで、6歳未満児まで無料であった乳幼児医療費助成制度は、今年8月より小学校就学前まで無料化が拡充されることになり県民から歓迎されています。しかし、他県では、小学校卒業まで無料が当たり前になってきており、中学卒業まで無料の自治体も増えてきています。
     少子高齢化が進展する中で、子どもは社会の宝です。まず名称を乳幼児医療費助成制度から子どもの医療費無料化制度に変えて、小学校卒業まで、中学卒業までと順次年齢を引き上げ、知事の標榜する「安心できる香川、元気の出る香川、夢と希望あふれる香川づくり」の重要な柱として位置づけ実施すべきと考えますが、知事の決意をお伺いします。
     第3は、ひとり親家庭等在宅就業支援事業についてです。
     この事業は、厚労省が「安心子ども基金」の活用を通じ推進を図ろうとするもので、既に多くの県や自治体で実施され、四国においては、愛媛、徳島の両県で実施されています。
     家事や育児の負担を1人で担わなければならない、ひとり親家庭にとって、在宅で子育てをしながら就業できる在宅就業は効果的な就業形態であり、ICTを有効に用いたデータ入力や在宅コンタクトセンターなど、この事業を通じ、ひとり親の就業希望者をキャリア・アップさせ高いモチベーションを保って仕事に従事できるようにすることを目的としています。本県でも是非この事業を実施し、ひとり親が安心して子育てできる環境を整備すべきと思いますが、知事のご所見をお示しください。

    (知事答弁)
     次に、乳幼児医療費支給事業等についてであります。
     乳幼児医療費支給事業につきましては、県議会での御議論や現下の本県の財政状況を踏まえ、市町からの要望、他県の状況等をさまざまな角度から検証した結果、今年度より、子育てに伴う経済的負担の軽減を図る観点から、拡充したところであり、支給対象のより一層の拡充や、これに伴う制度の名称変更につきましては、今後の財政状況をみながら、課題として検討してまいりたいと考えております。
     また、ひとり親家庭等の支援につきましては、昨年3月に確定した「香川県ひとり親家庭等自立促進計画」に基づき。ひとり親家庭等が自立を図り、安心して子供を育てることができるよう、児童扶養手当の支給など各種の施策に取り組んでいるところであります。
     御指摘の、ひとり親家庭等在宅就業支援事業につきましては、訓練期間中の月額手当は5万円以下であり、その後の在宅就業だけでは家計を賄うだけの収入が得られにくいことなど、経済的自立の観点からは課題があり、ひとり親家庭等からの要望もなかったところであります。
     本県としては、就職の促進と自立につながる看護師や介護福祉士などの資格取得期間中の母子家庭の生活負担を軽減するために、月額最高約14万円を支給する「高等技能訓練促進費」を安心こども基金による事業として重点的に実施しているところであります。
     今後、この事業の一層の利用促進を図るとともに、個々の母子家庭に応じた自立支援プログラムの策定を通じて、ひとり親家庭が安心して子どもを育てることができる環境整備を進めてまいります。


     第4は、新しい香川型指導体制についてであります。
     本県では、2001年度より、香川型指導体制による教育として、県独自の「少人数指導」、「複数担任制」を行ってきたところでありますが、40人学級のクラス編制はそのままで正規教員を増やさず、非常勤の教員を一年契約で採用して、授業を行うやり方をとったため、様々な問題が生じてきました。私ども日本共産党議員団は、正規教員を増やし、全国的に進んでいる30人以下の少人数学級、子どもたち一人ひとりにゆきとどいた教育ができるのではないかと提案してきた訳ですが、国の施策により今年度からの小学1年生について35人学級の実施に伴い、本県では、2年生も35人学級を実施するとしました。教員も116人増やしての実施であり、大いに評価できるものです。
     既に実施して、4ヶ月目になりますが、どのような教育的効果が出ていますか。学校現場では、複数担任制で2人でクラスをみていたが1人になったので大変だとの声も出ています。それは35人学級では人数が多すぎるからではないでしょうか。私は新しい香川型指導体制もいずれ限界が来ると思います。小学校・中学校のすべての学年で30人以下の少人数学級に移行すべきと考えますが、教育長のご所見をお伺いいたします。

    (教育長答弁)
     樫議員の少人数学級についてのご質問にお答えいたします。
     今年度から新しい香川型指導体制として、国による小学校1年生での35人以下学級の実施に加えて、県単独の予算措置により小学校2年生でも原則35人以下学級を実施したところであり、小学校2年生については、学校等が前年度の40人学級編成のまま進級させたいとした場合は、複数担任制が継続できるよう柔軟性を持たせた内容にしています。
     このような各学校の実情に応じた体制作りが、この4月から始まったところであり、今後、その効果と課題の把握に努めていくこととしており、現在のところ、30人以下学級の実施は考えておりません。

     

     次に地域経済の担い手である中小企業の振興について3点お尋ねします。
     東日本大震災は、中小企業に大きな打撃を与えています。
     リーマンショック以降、疲弊しきった地域経済を活性化させるためには、仕事おこしや雇用創出など内需拡大で、中小企業、地場産業、商店街を行政が本格的に支援して行かなければなりません。
     そのためには、第1に、昨年6月に閣議決定された、国の「中小企業憲章」の理念を踏まえた、県の中小企業振興基本条例を制定し、県の政策として中小企業政策を明確に位置づけることが必要だと考えますが、ご所見をお示しください。
     第2に、住宅リフォーム助成制度の創設についてであります。
     今年度スタートした耐震診断・耐震改修の補助制度の活用が低調だといわれています。「建築物耐震化推進プラン」の中に示されている「リフォームにあわせた耐震改修の誘導」を具体化し、全国の330の自治体で取り組まれ、仕事おこし、雇用創出に大きな力を発揮している「住宅リフォーム助成制度」を創設すべきではないでしょうか。そうすれば、耐震改修と抱き合わせで、県民にとってメリットの大きい施策になり成果も上がると思いますが、いかがでしょうか。
     第3に、自然エネルギーの関連産業による地域経済の活性化についてであります。
     先月、放映されたNHKの「四国のいいぶん」で四国の各地で取り組まれている事例が紹介されていましたが、太陽光、小水力、風力、バイオマスなどを活用し自分たちでエネルギーをつくることが、雇用を生み出し経済活性化につながるという大変興味深い内容の番組でした。私は、こうした点を踏まえて、県が雇用や経済活性化の力にするのだという立場に立って、自然エネルギー関連産業による地域経済の活性化を図ることが重要だと考えます。
     以上3点について知事の積極的な答弁を求めるものであります。
     

    (知事答弁)
     次は、中小企業の振興についてであります。
     中小企業振興基本条例について、本県における中小企業の数は、県内企業全体のうち99パーセント以上を占めていることから、県内中小企業の振興を図ることは、私が取り組んでいる「元気の出る香川づくり」の根幹をなすものであり、本県経済の活性化にとって、極めて重要であると考えております。
     このため、これまで以上に中小企業のニーズの把握に努めるとともに、本年度より、設備投資資金利子補給補助事業や上海ビジネス展開支援事業など、より戦略的かつ実効性の高い施策に取り組んでいるところです。
     現在、県の次期総合計画である「かがわ田園都市創造プラン(仮称)」の策定作業を行っているところでありますが、条例の制定につきましては、県内産業の振興のあり方を検討する中で、県内の事業者や経済団体等の皆様方から幅広くご意見を賜りながら、引き続き検討を行ってまいります。
     住宅リフォームへの助成については、現在、県民の安全と安心を守るため、限られた財源を有効に活用し、民間住宅耐震対策支援事業に全力で取り組んでいるところであります。
     香川県建築物耐震化推進プランに記載のとおり、講習会などを通じて、住宅の所有者に、リフォームにあわせた耐震改修が効率的で割安であることのメリットを説明するとともに、耐震化への補助制度等の情報提供を行い、リフォームとあわせた耐震改修が行われるよう積極的に誘導してまいります。
     自然エネルギー関連産業による地域経済の活性化について、県では、住宅用太陽光発電設備の導入に関する助成を行っているほか、かがわ次世代ものづくり産業振興プランにおいて、自然エネルギーを含むエネルギー関連分野を次世代有望分野と位置づけ、県内企業の進出を促すための情報提供、技術の高度化や新製品開発への支援などに取り組んでおります。
     また、エネルギー関連分野を企業誘致助成制度の特定分野に位置付け、通常は投資額の10パーセントである助成率を15パーセントに拡充して、積極的な誘致活動に努めております。
     自然エネルギーは、東日本大震災以降改めて注目されており、将来的に一層の市場拡大が期待されることから、引き続き、県内企業の支援や県外企業の誘致に積極的に取り組むことにより、経済の活性化と雇用の創出を図り、「元気の出る香川づくり」を推進してまいります。

    最後に、椛川ダムの検証についてお尋ねします。
     国から事業を進めるか否かの検証を求められたダム計画が椛川ダムであります。したがって、先にダムありきでなく当初の原点に立ち返っての検証が必要です。
     そもそも、椛川ダムの構想が出てきたのは、平成6年の高松市の大渇水の中で、渇水対策として非常用の水源を確保できないかというのが発端であり、国との協議の中で、ダム建設は多目的ダムでなければならず渇水対策用のダムは認められないという結論となり、金はかかるがしかたがないということで、多目的ダム建設の方向に舵が切られたのであります。当時私は高松の市会議員であり、その論議をしてきた当事者であります。
     しかし、それから17年の時が流れ、今では、300万トンの宝山湖も活用できるし、耕作農地の減少による農業用水の減少、近い将来の大幅な人口減少等を考えるならば、ため池や地下水の活用で渇水時の水は、十分まかなえるのではないか。巨額の税金を使うダム建設は必要ないのでないかと思われます。
     今回の検証では、そうした原点が忘れさられ、554万トンの容量を確保することのみを前提として、椛川ダムと他の代替案とが比較検討されているが、椛川ダムの倍以上の事業費になる非現実的な代替案との比較で、椛川ダム建設の妥当性を導き出そうという手法では県民の理解は得られないと思います。私は、渇水対策という原点に立ち返って検証し、計画を中止すべきと考えますが、知事の基本的なお考えをお示しください。
     以上で私の一般質問を終わります。

    (知事答弁)
     次は、椛川ダム建設事業についてであります。
     椛川ダム建設事業は、平成3年度から予備調査を行い、平成6年度に「洪水調節」、「流水の正常な機能の維持」及び「水道用水」の3つの目的を持つ多目的ダム事業として、国の補助事業の採択を受け、実施計画調査を開始しています。
     その後、平成6年の大渇水を受け、当初の目的に「異常渇水時などの緊急水補給」を加え、平成8年度から建設事業に着手しております。
     椛川ダムのダム検証に係る検討については、国から示された基準に沿って、ダム事業の点検、治水や利水などの目的別に、現計画のダム案とダム以外の代替案とを比較し、総合的に評価することとしています。
     検討に当たっては、「香川県ダム検証に係る検討委員会」において、これまで3回にわたり十分にご審議をいただいており、6月2日から塩江町など高松市内4地区で地元説明会を開催するとともに、5月31日から6月30日までパブリックコメントを行い、広くご意見を求めたところであります。
     7月12日に開催予定の第4回委員会においては、これらの意見への対応方針についてご審議願う予定であり、県民の皆様のご理解をいただきながら、計画を進めてまいります。