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  • 11月議会 一般質問 樫

    [2011.12.14] -[議会報告]

     12月13日(火)かし議員が一般質問を行いました。
     以下は、質問全文です。

     一般質問を行います。まず初めに知事の政治姿勢についておたずねします。
     政権交代から2年余、民主党3代目の野田政権とはどんな政権でしょうか。一言でいえば、支配勢力の忠実なしもべに徹することで、国民から見放された民主党政権の延命をはかる政権だということです。
     野田首相は、9月の日米首脳会談で、オバマ大統領に「結果を出せ」と言われると、国民の批判に耳を貸さず、沖縄県民の頭越しに「辺野古移設」への手続を開始し、APEC首脳会議ではTPP交渉に参加を表明しました。また財界との関係でも、組閣前に日本経団連会長にあいさつに出向くという歴代自民党首相でもしたことがない異例な行動をとり、財界から大歓迎を受け、消費税率を10%に引き上げる大増税法案を、来年の通常国会に提出・成立させようとしており、野田政権は看板は民主党であっても、政治の中身は自公政権とまったく変わらず、今後の政局は「民自公」の3党体制で、自民党政権時代にやりたくてもやれなかった悪政が「数の力」で強行される危険性をはらんでいると思います。そこで知事に2点おたずねします。

     
     第1はTPPについてです。
     米国政府でTPP推進の中心にいる米通商代表部の「2011年外国貿易障壁報告」では、日本を最も重視し、50項目もの要求を列挙しています。その主なものをみてみますと、コメの輸入制度や検査の簡素化、残留農薬基準の緩和、BSE対策での米国産牛肉の輸入制限緩和、保険市場開放、医療分野への米国企業の参入制限撤廃、公共事業については、米国企業が日本の膨大な公共事業の1%未満にしか関与できていないと抗議し、設計・建築・開発などすべての事業への参入を求めています。知事はこのような実態をどう受け止めていますかお聞かせください。
     TPPは、原則ゼロ関税と外国から「非関税障壁」といわれる国内制度の撤廃をめざす極端な協定です。米国議会が日本の参加を承認するまでの手続は半年かかるといわれています。その間に米国から「コメの例外は認めない」「郵政の民営化は当然」「混合診療は解禁」といった圧力がかかり、それらの要求にイエスと言わなければ交渉参加が承認されないのです。政府がいうようにルールづくりに参加するどころか、参加が承認された時点で実質的な交渉は終っている。いざというときに、国民に食料も提供できない、病気になっても安心して治療を受けられない、公共事業の外国企業参入で、地域経済が崩壊する、そんな国に日本をしてしまっていいのでしょうか。知事、明確にお答え下さい。

     すでに北米自由貿易協定に参加したメキシコは、参加によって雇用が600万人ふえる、経済成長も伸びるといわれていましたが、今や900万人の失業者、農業が壊滅的打撃を受け、経済成長は世界154カ国の中で143位となってしまっています。また、お隣りの韓国では、韓米自由貿易協定締結で大変な状況になろうとしています。
    たとえば、電気・ガス・水道などの事業に米国企業が参入し、民営化して社会的混乱が起きても後戻りできない。BSEが発生しても牛肉の輸入を中断できないなど何があっても、参加してしまえば元には戻せないからです。さらに、この協定では、投資家や企業が、韓国の政策で損害を被ったら、米国政府が韓国政府を訴えることができるというISDS制度が盛り込まれています。提訴できるのは実質的に米国だけです。メキシコは環境法で禁止している廃棄物を捨てた米国企業から訴訟を起こされ、1,669万ドルを払わされています。今、韓国では、学校給食の地産地消並びに無償化が政治の重要課題となっていますが、地域の農作物を使った学校給食は保護主義であるとして、ISDS条項に抵触し、学校給食まで訴えられる事態となっています。知事はこういう事実をご存知でしょうかお答え下さい。
     さて、先の代表質問で、知事はTPPに関し「拙速に進められることには反対である。参加については国が国民の納得が得られるよう、最大限の努力をするべきである」との答弁をされておられますが、これは「国民の理解が得られたら参加してもよい」ということですか。お答えください。
     私は、以上述べました通りTPP参加は、日本を丸ごと米国に売り渡す「亡国の政治」であり、知事が本当に県民の立場に立つのであれば当然きっぱりと反対を表明すべきと思いますが、知事のご所見をお示し下さい。

     第2は、野田内閣の「社会保障と税の一体改革」についてであります。
     これは、社会保障制度の大改革をやりながら消費税を2倍にするという、これまでのどんな庶民増税、社会保障改悪にもなかった最悪のものであります。
     年金では支給開始年齢の引き上げ、支給額の切り下げなど、現在の受給者と現役世代にも犠牲をしいる大改悪、医療では70~74歳の窓口負担を2割にし、外来診療への定額負担を導入するなどの負担増、保育では「子ども・子育て新システム」の名で保育への公的責任を放棄する動きが大問題になっています。
     社会保障の大改悪と消費税増税など論外です。総選挙で掲げた民主党の政権公約を裏切るものであり、絶対に許せません。知事は、県民の立場に立ってきっぱりと反対すべきと考えますがご所見をお示し下さい。
     団塊世代の高齢化により、増え続ける社会保障費の財源はどうすべきか。低所得者に重くのしかかる消費税増税は社会保障の財源としては最もふさわしくありません。社会保障の財源は応能負担の原則を貫いて確保すべきです。
     私は、以上の立場から、財源確保策として①大企業・大資産家への新たな減税を中止し、軍事費、大型開発、原発関連予算、政党助成金など聖域を設けず、歳出のムダにメスを入れること、②富裕層と大企業に応分の負担を求める税制改革、欧米で検討されている富裕層への課税強化を進めること③国民全体で社会保障の抜本的拡充の財源を支えるため、所得に応じた負担を求める税制改革が必要と考えますが、知事のご所見をお示し下さい。

     次に高すぎる国保料のさらなる引上げをさせないことについておたずねします。
     高松市は来年度に国保料の大幅な引き上げを発表しました。市の推計によりますと今後財源不足は34億円余となり、赤字補てん額23億円との差額分約11億円を保険料アップで確保するとしています。モデル世帯(年収450万円の4人家族)で現行41万7600円が50万2700円の保険料となり、年間8万5100円アップで増加率は何と20%というひどいものであります。知事、年収の1割を超える国保料を払えると思いますか。お答え下さい。このような大幅引き上げをするならば、収納率の低下により、きびしい取り立てと保険証のとりあげ、国保会計の悪化という悪循環におちいってしまうと思いますが併せてお答えください。
    1961年に社会保障としてすべての国民に医療を保障する市町村の国民健康保険事業が始まってから、今年でちょうど半世紀になります。「誰でも」「どこでも」「いつでも」保険医療を受けられる、国民皆保険体制がスタートした訳ですが、第二次臨調に始まる医師数抑制政策と医療構造改革の医療費抑制施策は「医療崩壊」という言葉に象徴されるように、国民の医療を受ける権利を奪うものとなっています。
    1961年当初、国保加入者は農林水産業と自営業が7割近く占めていましたが、現在においては非正規労働者と無職者の低所得者が多数となり、事業者である市町村への保険料収入が激減しています。しかも国保料は健保の保険料と比べ3倍もの負担となっています。
    なぜ国保料が高いのか。それは第1に、事業主負担が存在しないこと、第2に、所得がなくても資産や世帯、家族の人数に応じて掛かってくる仕組みとなっていること、第3に、国庫負担の大幅な減少が大きな要因であります。
     事業主負担の存在しない国保には、社会保険としての存立要件である社会的扶養部分として「公費投入」が欠かせないものでありますが、国庫支出金は1979年度のピーク時には、国保総収入の64.2%であったものが、2007年度25.3%、2008年度24.3%にまで大きく減少しています。
     そのため国保料はさらに高額化し、滞納に拍車をかけています。国は収納率の低下に対するペナルティとして市町村へ普通調整交付金減額の圧力をかけ、市町村は滞納者へのペナルティとして短期保険証の留め置き、資格証明書、財産差押えという住民への締めつけを強化するに至っています。
     先に述べました野田内閣の「社会保障と税の一体改革」の工程表に「国保財政の基盤強化」として国保事業を市町村から引き上げ「都道府県単位化」することが掲げられています。この点について、知事はどのように受けとめておられるのでしょうか。私は、都道府県単位にまとめても黒字になるはずはなく想定されるのは大幅な保険料の引き上げになるのではないかと危惧するものでありますが、知事のご所見をお示し下さい。
     現行の国保法では第1条に「社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とする」と明記されているにもかかわらず、政府広報オンラインに記載されている国保の説明では「国民健康保険は…相互の助けあいの仕組みです」としています。本来社会保障でなければならない国保事業が相互扶助、助け合いの制度として進められたのではたまりません。高すぎて払えない国保料、今や国保は瀕死の状態におかれており、国保事業の再生のためには、国庫負担の増額以外にないと思いますが、いかがでしょうかお答え下さい。県として、まず国に対し国庫負担の増額を強く求めるとともに、市町に対し、県費補助を行い、国保料の引き上げをやめさせるよう指導すべきと考えますが、知事のご所見をお示し下さい。

     次に小豆医療圏の公立病院の統合再編についておたずねします。
     香川県地域医療再生計画の重点事業として、小豆医療圏における2公立病院の統合再編を行い、総合診療機能を有する中核病院を整備し、診療科目ごとの体制を強化することで医師・看護師の勤務環境の改善と病院の耐震化等を図り、地域における医療の質の向上を図るため、地域医療再生臨時特例基金44億円余の内25億円をこの事業に活用するとしています。
     地元の土庄、小豆島両町では10月14日に「小豆島の福祉と医療をよくする島民会議」が設立され、町立土庄中央病院と内海病院の統合問題を中心に協議が始められていますが、地域住民にはまだ内容が示されてはおらず、まさに「寝耳に水」で、どうなっているのかという声も上がっています。
     自治体病院の「広域的な再編・ネットワーク化」については、全国のモデルといわれている山形県置賜地域の事例があります。この「置賜モデル」では、県と2市2町が2000年に既存の3病院1診療所を再編して新たに1つの基幹病院を設置、既存の4施設はサテライト病院・診療所として病床の縮小や病床のない診療所などにしました。
     ここでは山形大学の特別な協力の下に基幹病院の医師は確保され、全体として医師数は増えましたが、他大学系の医師が減少するとともに、サテライト側は医師が不足して経営も悪化、患者は基幹病院に集中する結果となったといわれています。
     またさらに、各自治体の財政負担は再編前約5億5000万円から再編後、年度によって違いがありますが約16億~23億円となっており、県の積極的な財政支援(約11億~17億円)がなければ各自治体の持ち出しは大幅な増加になっていたと思われます。
     病院の統合・再編問題では、その病院に働く医師の思いや医師を派遣する大学側の意向などを慎重に考慮し、医師の流出を防ぐ対策を講じることなく拙速に再編・統合を進めれば、それを契機に医師の退職・転職・引き上げなどがいっそう加速する危険性があると指摘されています。また、サテライト病院に配属された医師のモチベーションの低下も心配されます。
     私は再編によってさらなる医師不足を引き起こしたり、地域医療のバランスを大きく崩してしまいかねないという点で、再編・統合には慎重な対応が必要だと思いますがいかがでしょうか。
     今、必要なことは「統合・再編ありき」ではなく、地域の医療機関が相互に協力・連携を強め、地域医療の水準低下を食い止めるとともに、改善・充実を図れるよう県が具体的支援を行うことではないでしょうか。知事のご所見をお示し下さい。

     次に障害者制度改革についておたずねします。
     去る10月28日、東京・日比谷で1万人を超える参加者がつどった「創ろうみんなの障害者総合福祉法10.28JDF大フォーラム」が開催されました。昨年までは三団体の呼びかけでしたが、今年は日本のほとんどの障害者団体が加盟するJDF(日本障害フォーラム)が呼びかけたことで、障害者運動の歴史に新しいページが開かれました。
     これに呼応して、「香川障害フォーラム」から県議会に「障害者総合福祉法の制定に関する意見書の提出について」並びに「障害者差別禁止条例の制定について」の2つの陳情書が提出されています。
     障害者総合福祉法の制定については、障がい者制度改革推進会議総合福祉部会がまとめた「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言」が出されております。この提言は「2つの指針」「6つのめざすもの」「10項目の総合福祉法の骨格」からなっており、「こういう法をつくってほしい」という障害者側からの提案です。
     まず「2つの指針」とは国連の「障害者権利条約」と全国14地裁に提訴された障害者自立支援法違憲訴訟原告団と国との「基本合意文書」すなわち応益負担をなくし、新たな総合的な福祉法制を実施するという国との約束であります。
     「6つのめざすもの」とは①障害のない市民との平等と公平②谷間や空白の解消③格差の是正④放置できない社会問題の解決⑤本人のニーズにあった支援サービス⑥安定した予算の確保であり、これらはすべて「二つの指針」から導き出すことができるものです。これらの実現に向って歩み出すならば、国際水準からみてはずかしくない障害者施策が日本で実施されることになります。
     「10項目の総合福祉法の骨格」は法の理念・目的・範囲、障害(者)の範囲、選択と決定(支給決定)、支援(サービス)体系、地域移行、地域生活の資源整備、利用者負担、相談支援、権利擁護、報酬と人材確保であります。
     以上の内容の「提言」をふまえ、特に利用者負担の課題、地域での暮らしのための支援、財政のあり方等について障害者の立場に立って十分な検討がなされ、一刻も早く「障害者総合福祉法」の制定を願うものでありますが、知事の基本的なご所見をお示し下さい。
     また「障害者差別禁止条例」の制定につきましては、すでに北海道、千葉、岩手、熊本の各県、さいたま市などで制定されており、全国に広がろうとしています。本県としても、国連の「障害者権利条約」の理念に基づいた「障害者差別禁止条例」を制定すべきと考えますが、知事の決意をお伺い致します。

     次に、侵略戦争の正当化と大日本帝国憲法賛美、原発推進の育鵬社教科書の採択撤回についておたずねします。
     私は、6月議会の最終日に提出された、発議案第1号「教育基本法・学習指導要領の目標を達成するため最も適した教科書の採択を求める決議」(案)に反対討論を行いました。しかし、自民党議員会などの多数で、これが可決され、県教委はそれに呼応するかのように8月31日、非公開の場で育鵬社の教科書を採択しました。このことによって、来春から4年間、県立高松北中学校で使用する歴史と公民の授業に育鵬社の教科書が使用されることになりました。
     そこで、教育委員長におたずねしますが、これ程重要な案件にもかかわらずなぜ非公開としたのでしょうか。県民にかくれてまでコソコソしなければならない理由があったのですか。私は教科書採択など教育にとって最重要な案件はすべて県民の前に公開すべきと考えますが、ご所見をお示し下さい。
     私は、県教委の8月臨時会会議録をみてみましたところ、教育長が「全ての教科書を読み比べたが、歴史の大きな流れが分かりやすく・・・・育鵬社が優れている」「公民の分野においては・・・・育鵬社が優れているように思える」と歴史も公民も教育長が育鵬社採択への誘導発言をしています。教育長はどういうおつもりでこういう発言をされたのでしょうか、お答え下さい。
     育鵬社の教科書は、大きくいって3点問題があると思います。1つは、歴史教科書は、アジア太平洋戦争を「大東亜戦争」と記述して、アジア解放の戦争として描くなど侵略戦争と植民地支配を正当化しています。2つ目は、公民教科書は「人権を大事にしたよい憲法」などと大日本帝国憲法を賛美する一方、日本国憲法を「連合国軍」による押しつけと描き、さらに、権利よりも「公共の福祉」や「義務」をことさら強調しています。3つ目には、原子力の「安全神話」が崩れているこのときに、原発推進を押し出している教科書が採択されることは、あってはならないことです。
     以上3点について、私は、こんな教育を受けた子供たちは将来どんな人間になるのだろうと思うと本当に恐ろしくなります。NHKの朝の連続ドラマ「おひさま」で女教師の陽子が、終戦後、教室で教科書に墨を塗りながら泣いており、子供たちが「先生はぼくたちにウソを教えたんだ」というシーンがありましたが、今まさにそういう教育を県教委が現場の教師にさせようとしているのではないでしょうか。この点について、教育委員長、教育長のご所見をお示し下さい。また、今回の採択は撤回以外にないと思いますが、併せて答弁を求めます。