3月15日、白川議員が一般質問に立ちました。
以下、質問の全文です。
東日本大震災と福島第一原発事故から1年がたちました。日本の社会と政治にとって、被災地域住民の現状に心を寄せ、救済と復興に取り組むことは最大の課題です。同時にどの自治体にも震災の教訓から学び、防災、安全対策、原発から自然エネルギーへの転換などをはじめとして、命と暮らしを守ることを行政の最重要の使命として正面に据えなおすことが切実に求められています。
そんな時に民主党政権・野田内閣は被災に追い打ちをかけるかのように、消費税を大増税し、あらゆる分野で社会保障を切り捨てる「一体改悪」に踏み出す最悪の予算案を衆院で通過させてしまいました。
まず知事の政治姿勢について、「社会保障と税の一体改革」に対する知事の見解を問います。野田内閣は2015年までに、消費税を10%に引き上げる方針を決めています。消費税が5%から10%に引き上げられると約13・5兆円の増税となり、単純計算しただけでも、本県への影響額は、940億円にも及びます。
日本共産党は今、様々な県内の団体を訪問させていただいていますが、「消費税が10%になったら廃業しかない」「消費税は麻薬のようなもの。今度値上げされれば死に至ることもある」などの悲痛な声が寄せられています。現在の経済状況で消費税を増税することは、暮らしも、経済も、財政も壊すことにつながります。
昨年、中小企業4団体が行った「中小企業における消費税の転嫁にかかる実態調査」によると「消費税が引き上げられた場合、販売価格に転嫁できない」という回答は、売上高1億円から2億円の中小企業で50%、売上高1000万円から1500万円の小規模企業では71%にもなっています。県内の中小・零細企業が消費税を販売価格に転嫁できない状況を知事はどう把握していますか。お答え下さい。
「一体改革」では社会保障もよくなりません。増税分のうち社会保障の充実に使われる分は1%、2.7兆円にすぎず、それをはるかに上回る切り捨てのメニューが目白押しとなっています。年金は「物価マイナス・スライド」と「マクロ経済スライド」を合わせて約2兆円を削減し、子ども手当の減額で4400億円。70歳から74歳の医療費窓口負担の1割から2割への引き上げで1900億円。介護保険の軽度の方の利用料1割から2割への引き上げで800億円など当面の削減だけで、年金削減と合わせて2・7兆円となります。これで差し引きゼロです。
さらに年金支給開始年齢引き上げが検討されていますが、68歳まで引き上げられたら、年金削減額は約6兆円。70歳への引き上げで約10兆円におよびます。増税と社会保障の切り捨て、これが「一体改革」の実態です。こうした「一体改革」は県民の暮らしに極めて深刻な影響を与えると懸念されますが、知事はどうお考えですか。お答え下さい。
日本共産党は2月7日、「消費税大増税ストップ! 社会保障充実、財政危機打開の提言」を発表しました。その柱は、社会保障の充実と、国民の所得を増やす経済改革を一体ですすめる点にあります。社会保障については、「構造改革」で切り捨てられた部分などの「再生」と、先進諸国なみの水準への「抜本的拡充」という2つの段階を、財源を確保しながら段階的にすすめ、財源は、税と社会保障の根本原則である「負担能力に応じた負担」に切り替えるもので、政党助成金や天下りの禁止、米軍への思いやり予算、効果がはっきりしない巨大開発などムダの削減とあわせて確保していきます。
政府やマスコミあげての「消費税増税にしか財源確保の道はない」という考えの押し付けをやめ、「消費税増税などしなくても財源はある」という、展望のある方向へと今こそ切り替える時です。浜田知事の消費税の増税についてのお考えをお答え下さい。
香川県の来年度予算案も、学校の耐震化の促進や、小学校3年生まで35人学級を拡大、新規就農や鳥獣害対策など様々な施策を前進させたことは大変評価しますが、内海ダムに14億円、椛川ダムに20億円、国際ターミナルに14億などをはじめ、大型開発には相変わらずの大盤振る舞いです。こうしたお金の使い方を切り替えれば、切実な県民要求を実現することもできます。この観点から以下質問いたします。
まずは、国民健康保険についてお尋ねいたします。
県内の4市が来年度から国民健康保険料を引き上げる方針です。なかでも高松市ではモデル世帯(40代の夫婦と子ども2人・所得306万円)で、年間の保険料が現行の41万7600円から平成24年度は47万3600円、25年度以降は50万200円に引き上げられます。
平成24年度は5万6000円(13.4%)、25年度以降は8万2600円(19.8%)の負担増になります。介護保険料も2割以上引き上げられることも考慮し、24年度は引き上げ額をおさえたようですが、国保料を2割も引き上げることは全国的にも例を見ないほどの上げ幅だと言われています。これでは「保険料を払えば手元にお金が残らず、病院にかかるお金さえもない」こうした県民生活の実態がますますひどくなります。
高松市で取り組んだ「国保料を上げないで」という署名は1万筆を超え、私たちが街頭で署名をお願いすると、「これ以上の負担は死ねというのと同じこと」という声や、「こんな署名に取り組んでくれて本当にありがとうとうございます」との言葉を何人もの方からいただきました。それほど国保料の問題は市民にとって深刻なものなのです。
高松市内でおこった国保に関わる深刻な事例をまとめた「事例集」にも、「20年前に乳がんを手術した女性は、抗がん治療や再発防止の定期検査など、毎年多額の医療費を払っている。今の国保料でも高くて払いきるのがやっとだが、保険証が無くなったら病院に行けなくなるという恐怖からなんとか国保料を払ってきた。この上値上げされたら「死」を覚悟しなければならない。」と語っています。
ある病院の患者さんは「6~7年前に糖尿病と診断され、インシュリン治療をしていたが、3年くらい前から治療に来なくなった。理由は生活困窮で、治療費が払えないため治療を中断したとのこと。その後、ちょっとした傷から化膿し、入院となった時にはすでに両下肢に血流がたまり足の親指が腐り、糖尿病が原因の「閉塞性動脈硬化症」と診断された。足の指は切断したものの、組織がつぶれていて断片が治癒しないため、大動脈から下肢の血流を再建するバイパス手術をし、現在も治療中。」など、国保に加入していても保険料が払えず保険証を交付してもらえない方や、保険証があっても医療費を払えず、治療を中断し手遅れになり重症化した方など、深刻で悲惨な実態が数多くあげられています。国保は人の命を守る制度でありながら、住民を苦しめ、命や暮らしを脅かす引き金になっている現状は本末転倒です。
そこで知事にお尋ねいたします。国民健康保険法の第1条には、国保は「社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とする。」と明記されていますが、国保は社会保障だということをお認めになっていますか。お尋ねいたします。
高松市長は引き上げ後の国保料を「払えない額ではない」とお答えになっていますが、高松市でも、国保加入者の8割が所得200万円以下です。所得200万円の方は保険料が平成24年度は36万4500円と4万1200円の増、25年度は38万3400円と6万100円の増となります。知事は所得の2割近くにもなるこうした国保料について、県民が難なく払える額だとお考えですか。お答えください。
そもそも国保財政の困難の原因は、国が国保への国庫負担を大幅に削減してきたことにあります。そこを元に戻すことがなんとしても必要です。知事は国が国保への国庫負担を大幅に削減してきたことについてどのような認識をお持ちですか。同時に知事はこれまでも、私や樫議員の質問に対して「国保制度を将来にわたり持続可能なものとなるよう抜本的な見直しが必要」と答弁していますが、知事の言う「抜本的な見直し」とはどのようなものかお答えください。
国保法第四条では、都道府県にも国保事業を健全に運営するため必要な指導を行う義務を課しています。法に基づき、都道府県も住民の健康について責任があるという立場から、香川県でも法定外の独自支出金で、県民負担を軽くする努力を再開すべきではないでしょうか。知事はこれまでも「県費に単純に転嫁することは適当でない」という答弁を繰り返していますが、命にかかわる問題であり、待ったなしの状況だと思いますがいかがでしょうか。お答え下さい。
今求められているのは、「誰もが払える国保料」にすることです。しかし、その思いをあざ笑うかのように、民主党政権は小泉構造改革の時に決めた国保の広域化を進めています。
2012年度地方財政計画の策定段階で取りまとめられた「四大臣合意」に基づき、国民健康保険制度の都道府県単位化が強力に推進されようとしています。「四大臣合意」では①「都道府県単位の共同事業について全ての医療費に拡大する」②市町村への「財政安定化支援事業」を「見直す」としています。都道府県単位の共同安定化事業は、レセプト1件当たり30万円以上の医療費について、市町村国保からの拠出分で対応しています。共同安定化事業を全ての医療費に拡大すると、国保財政を事実上都道府県単位でプール制にすることに大きくつながってきます。すでに埼玉県では10万円以上に拡大し、14年度からは5万円超に拡大する計画です。厚労省は「埼玉に続け」と号令をかけているようですが、国保の都道府県単位化は、市町の一般会計からの繰り入れの廃止や、各種健康事業の縮小などが懸念され、更なる保険料の引き上げや、命と健康をおびやかすことになると考えますが、知事はこの点をどうお考えでしょうか。
また、国保への財政安定化支援事業は、保険料の抑制のために市町村へ財政措置されるものです。「四大臣合意」では「社会保障と税の一体改革による財政基盤の強化及び財政運営の都道府県単位化を踏まえ、所要の見直しを行う」としています。要するに、消費税増税で市や町も税収が増えるんだから、都道府県単位化した国保の支援分の地方交付税措置は「打ち切る」ということです。さすがに「打ち切り」とは書けずに「所要の見直し」との表現ですが、狙いは見え透いているのではないでしょうか。政府は関連法案をこの通常国会に提出するとしています。 今、県として為すべきことは国に対して国民医療を守る責任を果たすよう求めることであり、県民と一体となって国保への国庫負担を増やすよう強く求めることです。国に対して国保の都道府県化をやめよとの発言を強めるべきと考えますが知事の所見を問います。
次に国保の地単カットについてお尋ねします。
国は、子どもや障害者、高齢者、ひとり親家庭への医療費助成などを合わせて、自治体の被保険者の1%を超える現物給付がされれば、国保の国庫負担を減額する地単カットというペナルティーを長年課してしています。同じ医療費助成制度でも償還払いだとペナルティーはありません。
来年度から、高松市は小卒まで、丸亀市は中卒まで、子どもの医療費を入院に限って無料化しようとしていますが、どちらも償還払いです。県内でも地単カットが自治体の前向きな取り組みを阻害する大きな要因ともなっています。
知事はH22年9月定例県議会での私の質問に対して、「地方単独医療費助成制度を現物給付で実施することによる国庫負担の減額措置につきましても、国保財政の運営や福祉医療施策の推進に影響がありますことから、国に対しその廃止を求めてまいります。」と答弁しながら、今まで香川県におけるペナルティー額の把握すらしていないではありませんか。この場で市町国保へのペナルティー(地単カット)の額をハッキリお示しください。
このような道理の無いペナルティーに対して、県が国にものを言っていくことと同時に、市町に財政支援をすることが必要ではないでしょうか。市町国保がうけたぺナルティー分を補てんする法定外の独自支出を行うことが必要と思いますが、改めて知事の所見を問います。
次に豊島廃棄物等処理事業についてお尋ねいたします。
豊島の汚染土壌を大津市内で水洗浄処理する計画について、処理施設周辺の住民らが、公害紛争処理法に基づく公害調停を滋賀県公害審査会に申し立てるに及んでいます。ここまで話がこじれてしまっては大津市の住民の理解が得られないまま、強引に汚染土壌を搬入することはできないのではないでしょうか。
大津市は「農漁業、生活環境、琵琶湖の水質への影響を不安視する声が後を絶たない」と指摘し、「近隣住民らから搬入中止の申し入れも届いている。現時点で搬入すると混乱は避けられない」と述べています。
これに対し香川県側は、「住民に追加対策を説明し理解を得る努力は続けるが、住民理解は搬入の条件ではない」と強気の姿勢であったようです。しかし、豊島住民会議の皆さんも期日内に終わらせたいという思いを持ちながらも、被害者である豊島住民が、処理の段階で加害者になることはできないとの一貫した思いもお持ちです。大津市での処理に当たっては地元住民の合意なしに強行的に進めるのはやめるべきと思いますがいかがですか。知事にお尋ねいたします。
また、住民会議との調停条項で定められた処理期限までに全量処理を終わらせるには、延長されるであろう産廃特措法を最大限活用することが必要です。そのためには国を納得させるだけの確固たる計画が必要になります。来年度は大事な仕事を成し遂げる年になると思います。廃棄物対策課の人事配置も手厚いものとし、一丸となって作業に取り組めるよう人員の強化を図るべきと考えますが、知事の所見をお尋ねいたします。
次に個人県民税の引き上げについてお尋ねします。
東日本大震災を受け、昨年11月に成立した復興財源確保法により、地域の緊急の防災対策に充てられるため、2014年度から10年間、個人県民税を500円引き上げることが、議案第23号でも提案されています。
香川県では10年間で約23億円の増収となり、県有施設の耐震化の前倒しや、ため池の耐震診断・改修などに使われるとのことで、使い道は同意できるものです。しかし、個人県民税・個人市町民税で合わせて、現行4000円の均等割の上に、個人市町民税も含め1000円の増税になります。
しかも所得の多少にかかわらず同じ額を収める均等割での増税です。扶養親族等がいらっしゃらない年収100万円程度の人からも取り立てることになり、あまりにも低所得者の負担が重過ぎます。
香川県内の就業者数は48万8千人。個人住民税均等割の納税義務者数が47万4千人ですから、差し引きを非納税者数とすると1万4千人と、2.9%にしかすぎません。これでは圧倒的多数に課税することになり、所得税も課税されない低所得者層に負担を求めることになるのではないかと危惧します。
法律の名称が「復興財源確保法」であることから、被災地の復興財源に充てられるのかと思いきや、被災地には1円たりともいかないものです。その上、被災された皆さんにも同額を課税するというむごい増税です。所得の高い人も低い人も一律に負担させる均等割での課税はやめるべきと思いますがいかがですか。知事の所見を問います。
最後に、特別支援学校について知事に問います。
善通寺や香川中部養護、高松養護、そして盲・聾学校など、浜田知事が特別支援学校の増・改築や耐震化に大きく足を踏み出したことを大変評価しています。
しかし、これまで後回しにしてきた「ツケ」が大きく影響し、改善策が現場の状況や思いに追い付いていないのが現状です。
香川東部養護学校もすでに県が予測しているピーク時の生徒数に達しています。深刻な教室不足で、高等部の一部のクラスでは、1つの教室を2クラス6名の生徒が使用することになります。高松からの交通の便が良いことも影響していますが、130人の全校生徒数のうち、高松市内からの通学が30人を超えています。香川東部養護学校のこうした現状を見るにつけ、香川中部養護学校の教室不足に対しいくら増築をしても、マンモス化は解消されず、周辺の支援学校にも影響を及ぼしている問題は大きく残ります。私はこれまでも提案していますが、高松市内にもう一校特別支援学校を新設すべきだと考えます。そうすれば子どもたちを取り巻く状況は大きく変化すると痛感します。
お隣の岡山県では2009年の岡山瀬戸高等支援学校の新設をはじめ、2010年には倉敷琴浦高等支援学校、そしてこの春から誕生寺支援学校に職業コースが、さらに2014年度には県立倉敷地域特別支援学校が誕生します。
わが県では、特別支援学校の生徒数が急増しているにもかかわらず、香川丸亀養護学校が新設されて以来27年間、1校たりとも特別支援学校が新設されていない状況を知事はどう認識されているのでしょうか。道の一本を後回しにしてでもこの問題を優先的に解決するべきでないのかと思いますが、知事の所見を問います。
H22年10月に出された「特別支援学校における教育推進検討委員会」の報告書にも「児童生徒数が増加している背景には特別支援学校の教育内容に対する保育者等の理解が深まったことが考えられるが、それだけに保護者にとっては、特別支援学校への期待が高まってきている。」とあります。特に高等部は就労による社会自立を期待して、進学を希望することが多く、今後もその傾向は高まると予測されます。
先に述べさせていただきました岡山瀬戸高等支援学校は職業教育に重点を置いた教育課程を編成し、就労支援機関や産業現場等との連携を図りながら、就労による社会自立を目指す、中四国で初の高等部単独の特別支援学校となりました。比較的軽度の知的障害のある生徒を対象とし、第一学年の募集定員は40人で、全学年で生徒数120人規模の学校です。
倉敷琴浦高等支援学校も高等部単独校であり、誕生寺支援学校も比較的軽度の知的障害があるお子さんが通える高等部となります。香川中部養護学校のように幼稚部から高等部まで一貫した教育体制を持つ学校は、香川の宝物として大切に発展させつつ、比較的軽度の知的障害があるお子さんが通える高等部の新設を検討し、高まる特別支援学校への期待に応えてはいかがでしょうか。知事のお考えを問います。
先日視察させていただいた香川東部養護学校の校長先生は「将来に向けて社会に出るための技術を習得するうえでも、特別支援学校にとって特別教室は不可欠なもの。」と語っていらっしゃいます。東部養護学校の作業棟は老朽化がひどく、その上、毎日フル回転で使用されています。作業室の中も狭く、危険すら感じるほどです。先の文教厚生委員会での私の質問に細松教育長も「老朽化がすすんでおり、改修の必要性は私も認めています。しかし予算が付きません。」と、答弁されました。教育長も必要と認めている大事な作業棟の改修に知事はなぜ予算をつけないのでしょうか。お答えください。
学校現場は、壊れている作業棟のエアコンを変えてほしいというささやかな要望さえ、「他にもお願いせないかんことがあるから」と我慢をしていました。学校現場からの切実な要望にはすぐにでも応える。この立場が浜田知事の教育に対する基本的なスタンスであることを信じてやみません。すぐにでも行動に移されるよう明快なご答弁をお願いして質問を終わります。