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  • 白川議員 一般質問・答弁

    [2013.3.21] -[政策と実績議会報告]

     3月15日に行われた一般質問と答弁は以下の通りです。

     

      東日本大震災と原発事故から2年が経過しました。あらためて犠牲になられた方々と、そのご家族、関係者に深い哀悼の気持ちを表明するとともに、すべての被災者のみなさんに心からのお見舞いを申し上げます。被災地の早期復興を願うとともに、香川県でも大型ダムや国際ターミナルなど大型公共事業中心の予算ではなく、命と暮らし営業を守る予算を組み、県民生活を守り抜く予算に切り替えることを求めつつ、質問に入ります。

     

    1 知事の政治姿勢について
     まず、知事の政治姿勢についてお尋ねいたします。

    (1) 環太平洋経済連携協定について
      一つ目はTPP問題についてです。 
     安倍首相は今日にもTPP交渉への参加を表明しようとしていますが、国会論戦では、参加の論拠がすべて崩れ去り、その危険性が浮き彫りになりました。首相が交渉参加に突き進む唯一のよりどころが「聖域なき関税撤廃が前提でないことが明確になった」という日米首脳会談ですが、この会談で発表された共同声明は「すべての物品が交渉の対象」であり、関税・非関税障壁の撤廃を原則とする「TPPのアウトライン」を確認すると宣言しました。これまで聖域としてきた農林水産品までも関税を撤廃することにほかなりません。
      コメや麦、乳製品など、関税を撤廃したことがない940品目をはじめ、約9000にのぼる全関税品目が交渉の対象になり、仮に「例外」が認められても10年以内に関税の撤廃が求められることになります。国民皆保険制度や食の安全安心を守るなど、自民党が総選挙で掲げた「関税」以外の5項目の公約についても、日米首脳会談で一方的に説明しただけにすぎず、何の保障もありません。
      また、TPP交渉に後から参加する国が極めて不利・不当な条件をのませられる問題も重大です。その条件とは、(1)先行交渉9カ国が合意した条文はすべて受け入れ、9カ国が合意しない限り、再協議は行わない(2)将来、ある交渉分野について9カ国が合意した場合、拒否権を有さず、その合意に従う(3)交渉を打ち切る権利は9カ国にあり、遅れて交渉入りした国には認められないというものです。
      自民党の総選挙公約は、「聖域なき関税撤廃が前提の場合にはTPP交渉に反対する」「関税以外の5項目でも日本の国益を守る」というものだったはずです。安倍首相と自民党は総選挙での国民への公約を守り、いまからでもTPP交渉参加を断念すべきです。農業、医療、食の安全、国民生活を土台から壊し、経済主権をアメリカに売り渡すTPP参加に断固反対する立場を知事に求めるものですがいかがですか。ご答弁下さい。

    (知事答弁)
     白川議員の御質問にお答えいたします。
     まず、いわゆるTPPについてであります。
     私といたしましては、拙速に参加することに反対の立場は変わりませんが、今後とも、国に対しまして、徹底した情報開示と、明確な説明を行い、国民の納得が得られるよう、最大限の努力を求めるとともに、仮に交渉に参加することになる場合は、自国の国益を最大限に実現するよう、各国の主張に対し、我が国として、「攻めるべきものは攻め、守るべきものは守る」という姿勢で臨み、特に、農業をはじめ、地方の経済に犠牲を求めるようなものとすべきではないと考えております。

     

    (2)オスプレイの低空飛行訓練について
      二つ目はオスプレイの四国の空での低空飛行訓練についてです。
     防衛省は今月5日、米海兵隊普天間基地所属のオスプレイ3機が、6日から8日まで岩国基地を拠点に、四国から和歌山県にかけて設定されている「オレンジルート」で低空飛行訓練を行うと急きょ関係自治体に通知しました。昨年10月の配備以来、初の本土での訓練であり、四国上空での夜間訓練も行われ、訓練ルート下の自治体首長や住民からは、「容認できない」「納得できない」などの抗議・批判が噴出しました。日本側にくわしい飛行計画も知らせず、日本国民の命さえかえりみない米軍の横暴さに腹立たしい思いでいっぱいです。
      オスプレイが沖縄に配備されてから5カ月がたちますが、人口密集地や学校上空は飛ばないなどとした日米合意もふみにじって、まさに傍若無人な飛行を繰り返しています。沖縄県民は怒りを強め、県議会と県下すべての自治体はオスプレイの配備撤回の意見書・決議をあげています。本土での飛行訓練も住民の安全を守る保証がないことは明白であり、飛行ルート直下の100を超える自治体がオスプレイの飛行訓練に反対し、沖縄配備の撤回を求める意見書や決議をあげているのは当然です。にもかかわらず、米軍は沖縄配備のオスプレイを今夏12機追加し24機にする計画です。そうなれば沖縄県内での傍若無人な飛行が激増するだけでなく、本土での飛行もさらに増え、日本国民全体がいっそう墜落の危険にさらされることになります。この間、全国に広がる自衛隊専用空域を米軍機が自由勝手に使用して訓練を行っている実態が明らかになっていますが、米軍はこれらの空域を使用するにあたり、日米安保条約に基づく正式な手続きを取っていません。法的根拠がないにもかかわらず、米軍はほぼ連日、訓練で独占的に使用しています。日本政府もこれを容認しており、異常な主権放棄といえます。こうした実態を見るにつけ、今後、オスプレイがこれらの自衛隊空域を使用することや、ルートなどお構いなしに飛び回ることも容易に予測されます。
      浜田知事以外の四国3県の知事は、四国での飛行訓練や突然の訓練ルート変更に遺憾の意を表していますが、浜田知事は今回オスプレイが四国の空で飛行訓練を行ったことに対してどのような思いをお持ちなのか、また、今後のオスプレイの低空飛行訓練の中止を求めるお考えはないのかお尋ねいたします。

     

    (知事答弁)
     オスプレイの低空飛行訓練については、過去に四国内において、数度にわたり米軍機が墜落事故を起こしていることや低空飛行によるさまざまな影響が懸念されていることから、これまで、国に対して、オスプレイの安全性や訓練の具体的内容等について、関係自治体に詳細に説明し、責任ある対応をとるよう、全国知事会を通じて、強く求めてきたところであります。
     こうした中、今回、十分な説明もなく、開始1日前に訓練ルートが突然変更され、四国上空で訓練が実施されたことは、直接、本県上空がルートとなっていないとはいえ、遺憾であります。
     私としましては、我が国の安全保障の重要性は認識しており、あわせて沖縄県の負担軽減を実現させていかなければならないことも承知しておりますが、一方で、住民生活の安全・安心を確保することも、国や地方自治体の最大の使命であると認識しております。
     県では、オスプレイに関連する情報について、本県上空における飛行ルートの有無に関わらず、中国四国防衛局に対して、逐一情報提供を求め、状況を把握するとともに、市町と連携した目撃情報の収集体制を整えているところであります。
     今後も引き続き、情報収集に努めるとともに、飛行高度や区域等に関する日米合同委員会の合意事項が遵守され、県民の皆様が不安や懸念を抱くことがないよう、関係機関とも連携しながら対応してまいりたいと考えております。

     

    (3)原子力発電について
      三つ目は原発再稼働と四国電力の値上げ計画についてです。
     福島原発事故の被害は、2年が経過してもなお拡大し、特別の困難と複雑さをもっています。福島県のまとめによると、今も県内外に避難している人は15万人を超え、家族がバラバラの生活を余儀なくされ、避難先で命を落とす方も少なくありません。
      暮らしと生業の復興はまだまだ遠く、当時の政府が一昨年の12月に行った原発事故の「収束宣言」が、その大きな障害になっています。3月9日に、日本共産党の調査団が福島第1原発の事故現場を調査しましたが、その実態は「収束」どころか、壊れた原子炉の冷却のために大量に発生し続ける高濃度汚染水をはじめ、放射能汚染とのたたかいが長期にわたって続く危機的な状況であり、なお事故の真っただ中という状況です。安倍首相は衆院予算委員会の場で収束宣言の事実上の撤回を答弁したようですが、そうであるならなおさら原発再稼働など論外だと思いますが、知事は現時点で原発事故の状況をどうみているのかお尋ねいたします。
      このような中、四国電力は今年7月1日から、家庭向け電気料金を平均10・94%値上げすることを政府に申請しました。国の認可が必要ない企業向けも17・50%引き上げる方針です。電力会社は、地域独占を認められた特別な企業であり、住民の暮らしや経済に責任を負っています。電気代は一般の商品価格とは違い、費用に適切な利益を保証するという「総括原価方式」がとられ、電力会社は損をしない仕組みになっています。
      そもそも原発は高コストであり、電源開発促進税や政府の補助金、バックエンドコストを全て合わせると割高で、市場ルールでは存在しえないビジネスモデルです。一旦事故を起こすと莫大な被害と処理費用が掛かる極めて高くつく電力であり、電力会社では事故処理の責任も持てない発電方式です。そうした原発を次々に稼働させてきた四国電力と歴代政府の責任は重大です。
      にもかかわらず、四国電力がお客様向けに電気料金の値上げ申請について説明のために配布した資料には、伊方発電所の運転再開が明記され、「元の料金水準に戻るか?」との質問に対し「伊方発電所の1~3号機すべてが稼働すれば収支の安定が見込まれる」と書かれてあります。福島の現状を見るにつけ、あまりにも無責任な姿勢ではないでしょうか。原発に固執しているからこそ電気料金の値上げをしなくてはならなくなるのです。廃炉を決断すれば電気代に含まれている新基準のための投資も巨額の原発の固定費の負担がなくなります。廃炉費用はこの間積み立ててきた「廃炉引当金」で処理しますので電気代には影響しないのではないでしょうか。
      知事は「今回の値上げ申請については、電力の安定供給において、やむを得ずなされたものと理解していますが、電気料金の値上げは、県経済や県民生活に多大な影響を及ぼす懸念があります。」とコメントしていますが、今、電気料金の値上げを回避するためにも、伊方原発の廃炉を決断することが最も合理的だと考えますがいかがですか。知事のご所見をお尋ねいたします。

     

    (知事答弁)
     次に、原子力発電についてであります。
     東京電力福島第一原子力発電所においては、事故後の安全性を確保するため、これまで、国や東京電力などがさまざまな対策を講じてきたところでありますが、原子炉の冷却水の汚染など、未だに残された多くの課題があり、引き続き、このような課題に全力で対応していかなければならない状況にあると認識しております。
     また、事故の影響により、未だに避難生活を強いられている多くの方々をはじめ、被害を被った方々に対し、国と東京電力の責任において、あらゆる対策を講じ、安全で安心な生活が取り戻されなければならないと考えております。
     私は、今後、再生可能エネルギーや省エネルギーを推進していくことで、原発依存度や化石燃料依存度を下げることが大きな方向性として是とし得るものと考えておりますが、原子力発電のあり方を含め、エネルギー政策については、安全・安心の確保、電力の円滑かつ安定的な供給、省資源・環境への配慮の観点が重要であり、これらを踏まえて国の責任において判断されるべきものと考えております。
     今般の四国電力の値上げ申請については、人件費の削減等の経営全般にわたる合理化・効率化を推進した上で、火力燃料費の増加等の事情により電力の安定供給に支障をきたしかねない事態となり、やむを得ずなされたものと聞いておりますが、その前提となる原価の内容については、中立的・客観的かつ専門的な観点から、料金査定方針等の検討を行う「総合資源エネルギー調査会総合部会電気料金審査専門委員会」において、利用者、県民の理解が得られるよう十分精査し、審査していただきたいと考えております。
     いずれにしましても、個々の原子力発電については、国全体としてのエネルギー政策の検討結果を踏まえ、原子力規制委員会等の専門家による徹底的な安全性の検証や十分なチェックがなされ、地元の理解を得た上で、国の責任において判断されるべきことと考えております。

     

    2 経済・雇用対策について
      大きな質問の2番目は賃上げと雇用拡大についてです。
      働く人の賃金の低下と労働条件の悪化に歯止めがかかりません。昨年の勤労者の平均賃金は、1990年以降で最低となり、ピーク時の1997年より年収で約70万円も減っています。香川県でも過去10年間の現金給与総額を見ると、ピーク時のH18年と24年との差は年間で447,348円も減少しています。
      正規雇用は労働者の3人に1人、若者と女性では2人に1人にまで広がり、年収200万円にも満たない労働者が全国的に1000万人を超えています。低賃金で不安定な働き方の非正規雇用の拡大は、正規雇用の労働者の賃金と労働条件の低下、長時間労働に拍車をかけています。更に「無制限の金融緩和」宣言を機に、急激な円安で輸入食料品、灯油、ガソリンなどが値上がりし悲鳴があがっています。こんなやり方で「2%の物価上昇」をめざすとすれば、生活必需品の高騰は必至となります。賃金が上がらないのに物価だけが上がる最悪の事態を招きかねません。
     賃上げと安定した雇用の拡大は、労働者の切実な願いであるとともに、デフレ不況打開のための最大のカギとなっています。大企業は260兆円もの内部留保をため込み、その1%程度を取り崩すだけで、8割の大企業が月額1万円の賃上げを実施できる力をもっています。月額5000円以上であれば9割以上の企業で可能です。例えばトヨタ自動車の連結内部留保は13兆円を超え、そのわずか0.2%を活用するだけで、月額1万円の賃上げができます。
     日本共産党の国会での追及に押され、安倍総理は経済3団体首脳と会談し、従業員の報酬引き上げを要請しました。知事、香川県でも中小企業への大規模な支援とセットに最低賃金引き上げに大胆に取り組むべきです。そして知事自身が「内部留保の一部を賃上げに活用せよ」と堂々と正面から香川県の経済界に要請すべきと考えますがいかがですか。お答え下さい。

     

    (知事答弁)
     県としては、現在策定中の「香川県産業成長戦略」に基づき、地域の強みを生かした成長産業の育成・集積や、独自の強みを持つ企業の競争力強化等に積極的に取り組み、生産性や付加価値を高めるための企業活動を、より活発化させることにより、県内企業の持続的成長を促進し、その成長が新たな雇用や賃金の増加につながる好循環が生まれるよう努めてまいりたいと考えており、県内企業においても、このような循環の中で、業績が改善していけば、自らの判断により雇用や賃金を増やしていただければありがたいと考えております。
     なお、各都道府県の最低賃金額は、地方最低賃金審議会において、地域の実情を踏まえた審議・答申がなされ、労働局長が最終的に決定するものでありますが、こうした好循環が生まれることにより、最低賃金の引き上げにつながるものと考えております。

     

    3 地方公務員給与の削減等について 
      次に公務員の給与と退職金カットについてお尋ねいたします。
      いま政府自身が、賃下げを促進し、デフレ不況を加速させるような政策は絶対にとるべきではありません。安倍首相も経済団体に賃上げ要請しながら、同時並行で国や地方公務員に対しては賃下げを迫るというのではやっていることが逆向きではないでしょうか。国・地方の公務員の人件費削減額はあわせて2兆円にのぼるとの試算もあり、公務員に準拠する民間労働者を含めると600万人以上が影響を受けます。公務員賃金の削減は民間賃金の削減の引き金となります。賃下げスパイラルを加速させ、そのまま消費の落ち込みにつながり、不況脱却どころではなくなります。知事は県職員の給与カットが及ぼす民間労働者や地域経済への影響をどう把握されていますか。お答えください。
      また、地方6団体は今年1月27日に「平成25年度地方財政対策・地方公務員給与についての共同声明」を出しました。今回の地方公務員給与の取り扱いについては極めて遺憾と表現し、「国家公務員の給与減額支給措置に準じて地方公務員の給与の削減を求めるとともに、それを反映して地方交付税を削減したことは、財政力の弱い団体ほどその影響を大きく受けるものである。」「国が地方公務員の給与削減を強制することは、地方自治の根幹に関わる問題である。ましてや、地方交付税を国の政策目的を達成するための手段として用いることは、地方の固有財源という性格を否定するものであり、断じて行うべきではない。」と、強く主張しています。交付税を削減して問答無用に賃下げを強制するのは賃金決定のルールを無視した地方自治の破壊だと思いますが、知事はどのように思われますか。お答えください。
      また、今議会で提案されている退職金の減額は、一人当たり平均でおよそ400万円となります。長引く賃下げの上に退職金のカットでは生活設計も大きく狂い、その上、市町や県関係団体、民間などへの影響も大きく、疲弊している地域経済にも深刻な打撃となってしまいます。このような退職金の減額はやめるべきです。知事の見解を問います。

     

    (知事答弁)
     次は、地方公務員給与の削減等についてであります。
     地方公務員も地域経済の中の一員であり、その給与が抑制されれば、地域経済への影響も懸念されますが、民間企業の賃金については、この春闘においてボーナス等に明るい動向も伝えられるなど、さまざまな要因が影響するものであり、こうした点を踏まえれば、公務員給与の抑制による影響等を具体的に計ることは難しいものと考えております。
     私としては、民間労働者の給与が上がることにより地方公務員の給与も上がることが望ましい姿だと考えております。
     今般、国が、国家公務員の給与減額措置に準じて地方公務員の給与の削減を要請し、それを反映した地方交付税の削減を決定したことは遺憾であり、「地域経済の再生なくして、日本経済の再生なし」との国と地方の共通認識からも問題であると考えます。
     県職員の退職手当の見直しについては、退職給付の官民比較結果を踏まえ行われた国家公務員退職手当法の改正に準じた改正を行いたいと考え、今定例会に私を含む特別職の退職手当に関する条例とともに香川県職員退職手当条例の改正案を提案し、ご審議をお願いしているものであります。

     

    4 生活保護行政について
      次に生活保護基準の引き下げについてお尋ねいたします。
      安倍内閣が打ち出した生活保護基準の引き下げは、憲法25条の「生存権」とそれを保障する国の責任を放棄するもので、決して許されるものではありません。そして生活保護基準の引き下げは、生活保護受給者の生活を直撃するばかりでなく、ナショナル・ミニマムの要として、最低賃金や年金、介護、国保、就学援助や保育など、国民生活を支える各種制度に深刻な影響を及ぼします。県として生活保護基準が波及する支援や減免制度は一体どれだけあると捉えているのでしょうか。お答えください。また、県民生活を守るためには、保護基準の引き下げに反対するべきだと考えますが、合わせて知事にお尋ねいたします。
      国は自らが切り捨てようとしながら大変身勝手だと感じますが、生活扶助基準の見直しに伴い他制度に生じる影響の対応方針を打ち出し、市町の対応を求めています。知事は9月議会の私の生活保護関連の質問に対して「生活保護制度については、生活に困窮し真に保護を必要とする方の最後のセーフティーネットであることから、国民全体の信頼が得られるよう適切な運用が行われることが重要でありますが、個々の事例の取扱いについては、慎重であるべきと考えております。」とご答弁されました。「最後のセーフティーネットである」とお認めであるならば、見直しに伴い生じるセーフティーネットの切り捨てに対して、市町が積極的に対応できるよう、県としても措置を講じるべきではないでしょうか。知事の所見を問います。

     

    (知事答弁)
     次は、生活保護行政についてであります。
     生活扶助基準の見直しに伴い影響を受ける制度は、国の取りまとめによれば、保育料の免除に係る階層区分や養護老人ホームへの入所措置など、国の制度が34事業、並びに高等学校等奨学金事業など、地方単独事業等が4事業となっております、
     今回の生活扶助基準等の見直しは、制度内の歪みの調整や物価動向の勘案といった合理的な考え方に基づき、制度の適正化を図るものであることから、やむを得ないものであると考えております。
     これらの他制度への影響については、それぞれの制度の趣旨や目的、実態を十分考慮しながら、できる限りその影響が及ばないよう、国において対応方針が取りまとめられておりますので、各市町においても、これに照らし、適切に判断されるよう、情報提供するとともに、要望書があれば、国に伝えてまいりたいと考えております。

     

    5 医療費適正化計画について
      次に「第2期医療費適正化計画(素案)」についてお尋ねいたします。
      今、多くの県民の方から入院したらすぐに病院から退院や転院の日取りを示される。地域連携室で相談はできるようにはなったが、行く当てもなく本当に途方に暮れてしまうという嘆きの声であふれています。このような県民の不安の声に香川県の「第2期医療費適正化計画(素案)」は応えられる内容となっているでしょうか。
      そもそも医療費適正化計画は医療費の削減を目的とし、入院日数を減らす数字の目標をかかげて、国が都道府県に号令を掛けて競わせるものです。介護の受け入れ体制も足りない中で、こんな計画を進めることは医療にも介護にもかかれず行き場のない県民を増やすだけです。特に平均在院日数の短縮目標値をめぐっては、香川県は更なる短縮を目指して29.6日という数字を第2期計画で掲げようとしています。しかし、国は第1期計画では「必須事項」としていたこの平均在院日数を第2期計画では「任意的記載事項」とし、記載の有無を都道府県の判断に委ねるとしています。全国的には平均在院日数の目標値を掲げない方針を決めた都道府県が8に及び、更に未定も含めるとこの数は今後増える可能性もあると聞いていますが、これは適正化計画の効果を疑問視する声の表れだと思います。香川県でも適正化と銘打った医療費削減計画の目標値は掲げない方針を選択すべきだと考えますが、知事の見解を問います。

     

    (知事答弁)
     次は、医療費適正化計画については、少子高齢化や経済の低成長の中で、国民皆保険制度を堅持し続けていくため、県民の生活の質を確保・向上する形で、良質な医療の提供を目指すものであります。
     御指摘の平均在院日数については、任意的記載事項とされておりますが、患者の病態にふさわしい入院医療が確保され、早期の地域復帰や家庭復帰が図られることは、県民の希望にかない、医療の効率的な提供に資するものであることから、医療機関の機能分化と連携の推進、在宅医療の充実などの施策を通じて、平均在院日数の短縮を図ることは重要な取り組みと考えております。
     今後、医療費適正化計画の内容については、作成検討委員会における検討やパブリックコメントによる県民の意見聴取のほか、県議会で御審議いただき、検討してまいります。

     

    6 地域の元気臨時交付金の活用について
      最後に「地域の元気臨時交付金」の活用についてお尋ねします。
      今般、国は、13兆円にのぼる大規模な補正予算を可決・成立しました。県においても、国の緊急経済対策に呼応した補正予算127億円余を議決しましたが、その大部分約99億円は、公共事業関係の予算です。今回の補正による公共事業の追加は、25年度事業の前倒しと聞いています。また、その財源措置として、国は、地方に対して経済対策の同調を促すため、公共事業等の追加に伴う地方負担を補うことを目的に、「地域の元気臨時交付金」を創設しました。この交付金は、経済対策で追加される公共投資の地方負担が大規模であり、国の予算編成が遅れるといったまさに異例の状況の下、地方の資金調達に配慮しつつ、経済対策の迅速かつ円滑な実施を図るため、今回限りの特別の措置として交付されるものと聞いています。
      この交付金の交付は、25年度に入ってからとなるようですが、先の県の補正予算による公共事業等の地方負担部分の約8割は、この交付金で措置されると聞いております。そこで、まず、「地域の元気臨時交付金」の本県への交付見込額はどの程度になるのでしょうか。知事に伺います。
      次に、この交付金の使途について伺います。制度上、この交付金の使途は、建設地方債の対象になる地方単独事業などに充当することになっていることは承知しています。しかしながら、先の補正予算による公共事業は25年度の前倒しということであり、しかも、その財源のほとんどは国の交付金によって措置されることになっています。これを新たな公共事業の財源に充当し、公共事業をむやみに拡大するのではなく、福祉施策に活用できないでしょうか。本当の「地域の元気」を取り戻すためには、公共事業だけではなく命を守りくらしを支える制度の充実が不可欠です。私は交付金の活用などにより、以下5点にわたって県民の切実な要求を実現することを求めるものです。

     

    (知事答弁)
     次は、地域の元気臨時交付金の活用についてであります。
     地域の元気臨時交付金は、今般の国の経済対策で追加される公共事業等の地方負担額等に応じて配分されるものであり、国からは、その約8割を配分すると伺っております。
     当該交付金につきましては、現状では、詳細な算定対象事業などが、示されておりませんが、先般、御議決賜りました補正予算については、約46億円程度の地方負担と見込んでおりますので、その8割相当と考えますと、37億円程度が交付されるものと見込まれます。
     御指摘のように、この交付金は、地方の資金調達に配慮し経済対策の迅速かつ円滑な実施を図るため、今回限りの措置として創設されたものであり、実質的に、今回の経済対策による補正予算の財源に充てるべきものであります。
    来年度、この交付金が交付された際には、交付金が活用可能な既存事業の県債発行の減額などに活用したいと考えており、こうした交付金の性格上、御提案の福祉施策などへの当該交付金の直接の財源充当はできないものと考えております。

     

     

    7 医療・福祉行政について
    (1)乳幼児医療費支給事業について
      その第1は子どもの医療費無料化の年齢の引き上げです。
      今、全国的に中学校卒業まで無料化を進める自治体が増え、県内でも7つの自治体が外来や入院などで中学校卒業まで無料化を進めています。子どもを持つ親だけでなく、多くの国民がせめて子どもが病気にかかった時くらいは安心して医者にかかれる制度の充実を求めています。香川県でも中学校卒業まで無料化へと前進させませんか。知事にお尋ねいたします。

     

    (知事答弁)
     次は、医療・福祉行政のうち、乳幼児医療費支給事業についてであります。
     御提案のように中学校卒業までを対象とすると、県費だけでも毎年度さらに約9億円を要するとともに、中学校卒業までを対象としていない市町にも新たな負担が生じることから、子育て支援の観点も重要と考えておりますが、対象年齢の中学校卒業までの引き上げについては、市町の御意見も伺いながら、慎重に検討する必要があると考えております。

     

    (2)国民健康保険制度について
      第2は高くて払いきれない国保料(税)の引き下げについてです。
      今年度から高松市でも国保料が引き上げられ、来年度と合わせて2割もの引き上げとなります。昨年、7人の方が高松市に対して「国保料の減免申請」を出しましたが全員「不承認」の扱いとなり、香川県の国民健康保険審査会に審査請求をし、1月25日に香川県では初めての口頭意見陳述が行われました。 国保料が県民の暮らしにどれだけの負担になっているのかが陳述でも明らかになりましたが、国保法第四条に基づき、香川県でも法定外の独自支出金で、県民負担を軽くする努力を再開すべきではないでしょうか。知事にお尋ねいたします。

     

    (知事答弁)
     次は、国民健康保険制度についてであります。
     国保料(税)の負担軽減については、本来財政責任を果たすべき国において、財源負担を検討すべきものであり、県としては、これまでも財政調整交付金、保険基盤安定負担金、高額医療費共同事業負担金などの財政支援を行っており、引き続き適切に対応するとともに、国民健康保険法第4条に基づき、健全な運営が行われるよう必要な指導を行ってまいりたいと考えております。

     

    (3)子育て支援施策について
      第3は認可保育所の増設です。
     「香川県の年度初めの待機児童数はゼロという報道を見るにつけ、自分や周りの実態とは全く違っている。」「保育所事情は本当に厳しいです。待機児童数のみにとらわれず、実際の厳しい状況を改善していただきたい。」というご意見がよく寄せられます。正確な待機児童数の把握に努めることと同時に、認可保育園の増設が切実に求められています。保育園の認可化支援を積極的に進めている県もありますが、こうした抜本的対策を求めるものです。知事の所見を問います。
      また、「子ども子育て支援法」が新しく制定され、子育て支援策は住民に一番身近な市町が実施責任を持ち、国と県が重層的に支援していく仕組みになります。「地方版子ども子育て会議」を香川県でも設置し、親や保育・学童保育などを含む関係者など幅広いメンバーで、香川県の実態を共通の認識としながら施策充実を検討していける場を求めますがいかがですか。知事にお尋ねいたします。

     

    (知事答弁)
     次は、子育て支援施策についてであります。
    待機児童数の把握については、保育所入所申込みの窓口である市町において、入所申込者の状況を入所申込書の内容や面談等により確認しており、保護者が特定の保育所を希望していることなどによる待機は含めておりませんが、正確な数字であると考えております。
     また、認可保育所の増設については、子育て支援対策臨時特例交付金を活用し、新設・増築などの施設整備を支援しているところであり、認可外保育所の認可化についてもこの制度が利用可能であることを、保育の実施主体である市町に対して積極的に周知してまいります。
    さらに、御提案の地方版子ども・子育て会議の設置については、子ども・子育て支援法において努力義務とされておりますことから、今後、県議会の御意見等を伺いながら検討してまいります。

     

    8 民間住宅の耐震対策について
     第4は民間住宅耐震対策支援事業の充実についてです。
     来年度予算案では補助率や補助限度額の引き上げなど新規重点施策としてこの事業を前進させたことを大きく評価いたします。更に使いやすく県民の命を守る制度として充実させることが必要ではないでしょうか。例えば他県でも行われている寝室だけを耐震シェルター化するとか、「耐震ふすま」なども耐震改修の補助対象にするなど、命を守るための柔軟な取り組みが必要ではないでしょうか。従来から提案しているリフォーム助成とのセットも含め、新たな取り組みを求めるものですがいかがですか。知事にお尋ねいたします。

    (知事答弁)
     次は、民間住宅の耐震対策についてであります。
     議員御提案の耐震シェルターについては、今回の事業の見直しに当たり、検討を重ねましたが、身体を守る一定の効果はあっても、住宅の耐震性は向上せず、倒壊して、他の住宅、道路等への影響を減らせない恐れがあること、また、耐震ふすまなどを用いた部分的な補強についても、建物全体として耐震性が不足する場合は、以前として倒壊の恐れがあることから、現時点では、補助対象とすることは難しいと考えております。
     また、幅広くリフォーム全般を対象に補助制度を設けることも、限られた財源を有効に活用する観点から、現状では、難しいと考えております。
     一方、住宅の耐震化支援全体については、来年度から耐震診断や耐震改修の補助限度額等を引き上げることとしており、さらに多くの県民の皆様に補助制度を活用いただけるよう周知・啓発を積極的に行い、市町や事業者とも十分に連携し、全力で取り組んでまいりたいと考えております。

     

    9 35人学級について
      第5は35人学級のすべての学年での実施についてです。
      安倍政権は教育再生を掲げながら、文科省が13年度から5年間で小中学校全学年の35人学級をめざしていた教職員定数改善計画の実施を見送りました。香川県が県民の声にこたえ、現行の小学3年生までに加え、4年生も35人学級に前進させることを予算案に盛り込んだことを大きく評価するものです。更なる少人数学級の実施を求めつつ、当面、小中学校全学年で35人学級を確実に実施していく展望について教育長にお尋ねいたしまして質問を終わります。

     

    (教育長答弁)
     白川義胃の35人学級についての御質問にお答えいたします。
     35人以下学級については、生徒指導面や学習面での効果を踏まえ、来年度において、小学校4年生でも35人以下学級が実現できるよう平成25年度当初予算案に所要経費を計上したところであります。
     今後の35人以下学級の拡大については、国に対して、少人数学級の推進など計画的な教職員定数の改善について強く要望していくとともに、国の動向を注視しながら、本県の教育課題の解決に向けて、より効果的な指導体制が実現できるように努めてまいりたいと考えております。

     

    (再質問)
    1 知事の政治姿勢について
    (1) 環太平洋経済連携協定について
     政府は、今日の午後にもTPPへの交渉参加を表明すると聞いています。県民生活を守るため、TPPへの交渉参加に反対すべきと思うが、どのように考えているのか。知事のお考えを伺います。

    (知事答弁)
     白川議員の再質問にお答え申し上げます。
     TPPにつきましては、関税の原則撤廃のほか、幅広い分野の高い自由化を目標とする協定であり、我が国の経済や国民生活に大きな影響を及ぼす可能性があることから、依然として、このTPP交渉参加に対して慎重な対応を求める声が上がっていることはよく承知しております。
     したがいまして、国においては、この交渉について、この地方議会等における議論や地域の声を受け止め、明確な方針を示しながら、国民の納得が得られるように対処していただきたいと考えております。

    6 地域の元気臨時交付金の活用について
     元気交付金として交付される部分は、中学校卒業までの医療費の拡充や子どもの糖尿病対策など生活習慣病の予防対策に充当できないことは承知していますが、財源としてはあるので、それらの分野に活用すべきと思うが、知事のお考えを伺います。

    (知事答弁)
     地域の元気臨時交付金の活用についてでありますけども、この活用がこの補正予算等においてできていないことにより、基金の取崩しあるいは起債が多くなっているということでありまして、いわば、今の形のずれが来年度において交付されることによって正常な姿に戻るということであり、余裕が生まれているのものではないということについて、ご理解賜りたいと思います。