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  • 9月議会 一般質問

    [2015.10.9] -[新着情報議会報告]

    10月7日に行われた白川議員の一般質問と知事答弁です。

     

    1.知事の政治姿勢
     知事の政治姿勢について3点お尋ねします。
    1)「安保法制」
     まず、「安保法制」についてです。
     憲法9条を破壊し、日本を「海外で戦争する国」につくり変える戦後最悪の違憲立法である戦争法が、安倍政権によって強行成立されました。私は安倍政権による空前の歴史的暴挙に満身の怒りを込めて抗議するものです。世論調査で6~7割に上る「今国会成立反対」の国民の声も、圧倒的多数の憲法学者、最高裁判所や内閣法制局の元長官らの「憲法違反」との指摘も全て無視し、戦争法の成立を強行した安倍政権の独裁政治を決して許すことはできません。国会で多数の議席を持つ政権党でも、憲法の枠は絶対に守らないといけないのが立憲主義です。
     国民の大多数が「憲法違反」と批判の声を上げ、8割が「政府は納得のいく説明をしていない」という法案を、数の暴力で強行することは、憲法9条に反するだけでなく、国民主権の大原則に反する暴挙です。そこで知事に伺いますが、そもそも知事は「安保法制」を「合憲」と考えていますか、それとも、「違憲」と考えていますか。所見を伺います。
     日本共産党は戦争法廃止の一点で一致し、立憲主義を取り戻す「国民連合政府」の樹立に向けて全力を尽くす決意です。

    (知事答弁)
     白川議員の御質問にお答えいたします。
     まず、私の政治姿勢のうち、安全保障関連法案の成立についてであります。
     「我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案」及び「国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律案」は、我が国及び国際社会の平和及び安全のための切れ目のない体制を整備するため、国民の代表である国会において審議した結果、成立したものと受け止めております。これらの法律については、憲法をはじめ現行法制との整合性について内閣法制局の審査を経て提案されたものと理解していますが、法律が憲法に適合するかしないかは、憲法第81条に従い、最高裁判所において判断すべきものと考えています。

     

    2)「アベノミクスの新3本の矢」
     次に「アベノミクスの新3本の矢」について所見を伺います。
     安倍首相は「アベノミクスの新3本の矢」として、強い経済、子育て支援、社会保障をアピールしました。経済では国内総生産(GDP)600兆円の達成、子育て支援では現在1・4に落ち込んでいる出生率を1・8までに回復、社会保障では直近の調査で10万人を超えた介護離職者をゼロにするなどと説明。「アベノミクスは第2ステージに移る。1億総活躍社会をめざす」と述べました。しかし、「経済最優先」と打ち出した路線は、中国などの新興国の減速で、その足元からつまずく結果となりました。市場関係者からは、国内総生産(GDP)成長率が「2期連続でマイナスになり不況入りだ」との指摘が出ています。
     安倍政権下で大企業は利益をあげ内部留保を増やしましたが、労働者の実質賃金は上がらず、その上、介護保険や保育制度の改悪などで社会保障や子育て制度を後退させてきました。これらの路線への反省もなく、アベノミクスの転換がなければ、「1億総活躍社会」の実現など望めるはずもありません。
     一方で首相は、消費税10%増税は「予定通り実施する」と明言し、今以上に国民の懐を冷え込ませ、経済に深刻な打撃を与える政策に固執する態度です。そこで知事に伺います。知事は「アベノミクスの新3本の矢」をどう考えるか、特に出生率1.8や、介護離職者ゼロなどの目標値が達成できるとお考えかお答えください。

    (知事答弁)
     次に、政府の経済政策いわゆるアベノミクスの新たな方向性についてであります。
     先月24日の自由民主党両院議員総会後の記者会見で、安倍総裁は、経済成長の推進力となる政府の経済政策、いわゆるアベノミクスの新三本の矢として、「希望を生み出す強い経済」、「夢をつむぐ子育て支援」、「安心につながる社会保障」を掲げ、それぞれの目標値も示されたところであります。
     現時点では、目標値の達成に向けたプロセスや具体的な政策が明らかになっておらず、それらが示されるのを待ちたいと思いますが、私といたしましては、引き続き適切な財政規律に留意した上で、中長期的に持続可能な経済成長が図られるともに、結婚・出産・子育ての希望の実現や安定した社会保障制度が構築され、示された目標値が達成できるよう、今後とも、強い決意とあらゆる政策を総動員して取り組んでいただきたいと思っております。

     

    3)伊方原発の再稼働
     次に伊方原発の再稼働についてお尋ねします。
     政府が国民に節電への協力を呼びかけたこの夏の電力需給対策が9月末で終わりました。全国的なピーク時の8月7日でも電力需要に対する電力会社の供給力の余裕(予備率)は約12%と予想を大幅に上回り、電力不足どころか、大幅に余裕を持って夏を乗り切ったことになりました。原発を再稼働させる根拠がないのは明らかであり、原発は停止したまま「ゼロ」へ進むべきです。
     東日本大震災以降、電力10社の販売電力量は毎年減り続け、原発を稼働させなければ電力が足りなくなるというのは全く根拠がありません。7月から8月にかけ記録的な猛暑が続いたこの夏も、四国電力を含む各社別の予備率で、「必要最低限」といわれる「3%」どころか、「きびしい」といわれる「5%」を割り込む日もゼロでした。政府は8月には関西電力や九州電力で予備率が3%になるかもしれないといって原発の再稼働を急ぎましたが、すべての電力会社が大幅な余裕です。
     安全性の保証がなく、運転を再開すればそれだけで危険な使用済みの核燃料がたまり続け、地震や津波による事故の危険も高くなる原発は再稼働させるべきではありません。安倍政権は原子力規制委の審査に合格した原発は再稼働させるとして、川内原発1号機に続き、四国電力伊方原発などの再稼働を急いでいます。原発は再稼働させず、停止したまま「ゼロ」にすることが、安心して住み続けられる四国をつくるために不可欠と考えますが、伊方原発の再稼働について知事の所見をお尋ねします。

     (知事答弁)
     次に、伊方原発の再稼働についてであります。
     伊方原発を含め、個々の原子力発電所の再稼働の是非については、新規制基準に基づき、原子力規制委員会等の専門家による徹底的な安全性の検証や十分なチェックがなされ、基本的には、国の責任において判断されるべきことであり、その際には、安全性を最優先としなければならないと考えております。
     また、国は、その判断について、国民の理解が得られるよう、十分な情報開示と明確かつ責任ある説明を行う必要があると考えております。
     私といたしましては、今後とも、伊方原発の安全対策に万全を期すよう、国や四国電力に対し、意見を述べるなど、県民の安全・安心を確保する観点に立って対応してまいりたいと考えております。

     

    2.地方創生
    1)地方衰退の原因
     大きな質問の2つ目は地方創生についてです。
     これまで、大企業の経済成長最優先で農林漁業や中小企業、地方経済を衰退させ、庶民増税と社会保障の削減、非正規雇用の拡大などで人口減少と国民生活の困難に拍車をかけてきたのが、歴代の自民党政府の政治でした。安倍内閣は、これまでの政治の反省や見直しをすることなく、消費税増税と社会保障削減を中心とした財政再建策と大企業の経済成長戦略をさらに推進しようとしています。
     それを地方で進めるのが、地方創生戦略と言わなければなりません。その特徴は、公共施設等の集約化や拠点都市、コンパクトシティへの集約化、企業拠点の誘致競争など選択と集中、特定企業の成長を進めることが中心であり、このような政策方向では、県民生活と地方経済の困難を解決できるとは思えません。
     政府の地方創生論の決定的な問題は、地域経済がなぜここまで衰退し、地方消滅ともいわれるほどの危機的状態が生まれているのかについて、何の反省もないところにあります。地域衰退の最大の原因は、地域と国民生活を切り捨て、多国籍大企業の利益を増やすための構造改革、そして、市町村合併、三位一体改革などの推進にあったのではないでしょうか。
     知事は、地方が衰退した原因はどこにあると考えていますか。地方創生をすすめるにあたって、地方衰退の原因を解明・検証することなく、間違った戦略・処方箋では、地方再生などあり得ません。知事の所見を伺います。

    2)「かがわ創生総合戦略」 
     政府は地方自治体に5カ年計画の「地方版総合戦略」を早期策定するよう迫っています。策定費用を「新交付金」で措置するだけでなく、今年10月30日までに策定すれば上乗せ支給もあることなどからも、「かがわ創生総合戦略」を急ぎ策定しようとする気持ちもわかりますが、今後5年間とその後の香川県を大きく左右する内容です。現在、「香川県次期総合計画及びかがわ創生総合戦略策定懇談会」で審議されていますが、県民のほとんどは「かがわ創生総合戦略(案)」の中味を知りません。国も規定しているように、広く地域住民の意見が反映できるものとなるよう、十分な審議が必要です。拙速にならず県民の声を集約すべきと考えますが、知事の見解を問います。
     同時に「かがわ創生総合戦略」をもとに、来年度から具体的な事業を本格的に推進する段階に入ります。現に解決が迫られている県内の課題や、県民からの切実な要求を実現する大きなチャンスでもあります。その立場で以下、3点質問します。

    ①「子育て県かがわ」
     一点目は「子育て県かがわ」についてです。
     「かがわ創生総合戦略」や「かがわ人口ビジョン」でも「人口の自然減を抑制するため、安心して出産・子育てができる環境づくり」が大きな柱の一つとなっていますが、知事も「子育て県かがわ」を名乗るのであれば、その名に恥じない政策が必要です。
     平成26 年度「香川県民意識調査」の結果をみると、「若者が安心して子どもを生み、育てることができるために重要なこと」として、「働きながら子育てをしやすい保育の充実」が最も多く(50.4%)、次いで「若者の就業支援」(44.9%)、「子育てに伴う経済的負担の軽減(44.4%)」、「働きながら子育てしやすい労働環境の整備」(40.7%)の順になっています。県民の願いはハッキリしているではありませんか。
     安倍政権は3本の矢で「子育て支援」を打ち出しながら、厚労省が先に発表した保育所の待機児童数は、4月1日時点で前年比1796人増の2万3167人にのぼりました。4月からの「こども子育て支援新制度」に伴い「待機児童」の定義を改悪したものの、減るどころか5年ぶりの増加となりました。子育てしやすい社会をつくる国の責任も果たさず、「子どもを産んで国家に貢献せよ」の発言などもってのほかです。
     何よりもまず、認可保育園の抜本的増設、保育や教育、医療にかかる費用などの軽減策、学童保育などの充実など、安心して子どもを産み育てられる施策を早期に整えていく事が求められています。知事、「子育て県かがわ」を名実ともに実現するために、こうした香川県オリジナルの子育て支援に関する様々な施策の充実を「かがわ創生総合戦略」にも盛り込み、実行すべきと考えますがいかがですか。お答えください。

    ②非正規労働者の正規雇用化
     2点目は、非正規労働者の正規雇用化についてです。
     子育て世代を取り巻く環境は厳しく、職場では長時間過密労働や不安定な非正規労働、育児支援も不十分です。日本は労働者の働く環境や社会保障のあり方を見ると子どもを安心して産み育てる社会とは言えません。県民、特に若い方の非正規労働の正規化は待ったなしの課題です。
     総務省の「平成24年就業構造基本調査」によると、香川県の雇用者に占める非正規の職員・従業員の割合は35%を超えています。全国平均より低いとはいえ、平成19年年度からの伸び率は4.8%と、全国でもトップクラスです。通常国会で与党が強行可決した改悪労働者派遣法でこの数値は更にひどくなると予想されます。知事はこうした「働く人の3分の1が非正規」という状況をどう思われますか。このままでいいとお考えですか。率直にお答えください。
     私は今後の香川県経済の発展のためにも、この問題は非常に大事な中心的問題であり、「かがわ創生総合戦略」にも対策を盛り込むべきと考えます。安定した仕事に就きたいと望む非正規労働者の正規雇用化を促進するため、県として数値目標も掲げて、特に若い人たちが正規雇用で働く事によって豊さを感じられる香川県をつくるべきと考えますがいかがですか。知事に問います。
     非正規の方を正規雇用へと転換を進めるためには中小企業への支援が欠かせません。香川県として国とも連携し、中小企業への助成などを大幅に増やすべきです。具体的には例えば、東京都で今年度新規事業として予算も盛り込まれた「正規雇用転換促進助成金」です。東京都では非正規の方を正規雇用へと転換した場合に対象となる国のキャリアアップ助成金に都独自で同額を上乗せし、国と都で合計最高100万円を企業に支援しています。
     もう一つは若年非正規労働者を正規労働者として採用する「若者応援宣言」をした中小企業に対し支援する「若者応援宣言企業採用奨励金」です。これも東京都の施策ですが、一人当たり15万円を企業に奨励金として支給するものです。もちろん、東京とは財政規模の違いはありますが、香川でも知事の「本気度」が大きく問われる問題ではないでしょうか。この問題は若い人の雇用だけでなく、香川の中小企業を支援する道でもあり、中小企業がもつ技術を次の世代に継承していく事にもつながります。知事、こうした正規雇用転換を応援する制度を香川でもつくりませんか。ご所見をお聞きします。

    ③公共交通ネットワークの充実
     3点目に公共交通ネットワークの充実についてお尋ねします。
     前出の平成26 年度「香川県民意識調査」では、「香川が四国における拠点性を確立するうえで重要なこと」という問いへの県民の答えは、鉄道、バス、フェリーなどが将来にわたって存続できるような公共交通体系の整備が 57.3%、鉄道とバスの乗り継ぎのしやすさなど、県全体の交通ネットワークの利便性向上が55.1%に対し、新幹線の導入などによる鉄道の高速化は28.0%しかありません。しかし「かがわ創生総合戦略(案)」の結論付けは、「交流人口の拡大や観光の振興による地域経済の活性化や災害被害に対する強靭化に加え、経営を安定化させ、現在の在来線ネットワークの維持が期待できる四国への新幹線の実現に向け、四国各県や経済界、事業者と連携し、国や関係機関への要望や気運醸成に取り組みます。」となっています。これでは何のために「香川県民意識調査」を行ったのかわかりません。ましてや新幹線の導入で「経営を安定化させ、現在の在来線ネットワークの維持が期待できる」などと初めから結論ありきで位置付けることは許されません。
     県民の声に応えて、四国新幹線の導入より、生活の足としての公共交通ネットワークの充実を重視するべきと考えますが、いかがですか。知事にお尋ねいたします。

    (知事答弁)
     次は、地方創生についてであります。
     我が国の人口は、平成20年をピークに減少を始め、とりわけ地方では、少子高齢化の進行や、若年層の都市部への流出に伴い、都市部に先駆けて人口減少が著しく進行し、地域経済の規模の縮小や活力の低下などにつながっていると考えており、私といたしましては、いかに人口減少に歯止めをかけ、地域の活力を高めるかが重要であると考えております。
     「かがわ創生総合戦略」は、本県の実情に応じた今後5か年の目標や施策の基本的方向、具体的な施策を示す重要なものであり、県議会をはじめ、有識者で構成する「かがわ創生総合戦略策定懇談会」、市町や金融機関への説明会、本県担当の地方創生コンシェルジュからの意見聴取などにより、幅広く御意見等をお聞きするとともに、県民意識調査や結婚と子育てに関するアンケート等の実施により県民の将来への希望等を本戦略に反映するよう努めているところであります。
     この戦略には、次代を担う子どもたちを安心して生み、健やかに育てることができる「子育て県かがわ」の実現に向け、保育の充実、地域における子ども・子育て支援の充実、子育てに伴う経済的負担の軽減、さらには、本県独自の「かがわ健やか子ども基金事業」などの子育て支援施策を盛り込み、総合的に推進してまいります。さらに、第3子以降保育料免除事業の拡充についても検討してまいりたいと考えております。
     また、若者が、安定した労働環境の中で、やりがいや充実感を感じながら働くことが、望ましい姿であると考えており、正規雇用の確保・拡大を図るため、正社員求人のマッチングや合同就職面接会などを実施しています。
    「かがわ創生総合戦略」では、数値目標は、掲げることとしていませんが、正規雇用支援策は、盛り込むこととしております。
     さらに、正規雇用転換を促進する助成制度は、効果的な施策の一つと考えますが、私といたしましては、正規雇用の確保・拡大に向けて、労働局等関係機関とも連携し、様々な施策を積極的に取り組んでまいります。
     公共交通ネットワークの充実については、四国の新幹線導入とともに、地域公共交通の確保・維持についても重要であると考えており、人口減少・少子高齢化への対応や集約型都市構造の実現などの観点から、「かがわ創生総合戦略」において、具体的な施策に位置づけることとしております。

     

    3.「病床機能報告制度」と「地域医療構想」の策定
     私は、昨年の9月議会の一般質問でも、「医療・介護総合法と国保の都道府県単位化」について問い、「これまでも減らし続けてきたベッド数を医療・介護総合法のもとでますます切り捨てていくこの方向にストップを」と、質問をいたしました。
     とりわけ、「香川県ではこの十年余りで三千二百六十床ものベッドを減らし、これからも知事の言う『病院間の自主的な取り組み』によって、さらにベッドが減らされていけば、その先、行き場もない患者さんたちに一体どこへ行けと言うのか、在宅に戻る条件もない患者さんの行く先はどこなのか」と質問させていただきました。しかし、知事からの答弁は「国から示されるガイドラインを踏まえ、この各二次医療圏等にふさわしいバランスのとれた医療機能の分化、連携を適切に推進し、必要な医療の確保に努めてまいりたい。」とのかみ合わない答弁でした。
     繰り返し指摘しているように、医療改革を「医療・介護分野の改革」として位置づけ、介護と一体的に見直すことを提起している真の狙いは、医療の転換であり、具体的には病床の削減と再編です。病床再編を進めるために「医療・介護総合法」が持ち込んだのが、「病床機能報告制度」と「地域医療構想」の策定です。
     私は知事が答弁された「国から示されるガイドライン」自体に重大な限界があると考えます。「ガイドライン」は以下のような推計方法によって2025年における病床の区分ごとの医療需要を推計するとなっています。長いですがあえて述べます。
     まず高度急性期、急性期及び回復期については、2013年度のNDB(レセプト情報・特定健診等情報データベース)のレセプトデータ及びDPCデータ(すなわち、「急性期医療を対象とする診断群分類にもとづく一日あたり包括払い制度」であるDPCを導入している医療機関のレセプトデータの事ですが、)にもとづき、住所地別に患者を配分したうえで当該構想区域において性・年齢階級別の年間入院患者延べ数を365日で除して一日当り入院患者延べ数を求め、それを性・年齢階級別の人口で除して入院受療率とし、これを病床機能区分ごとに算定し、当該構想区域の2025年における性・年齢階級別人口を乗じたものを総和することによって、将来の医療需要を算定するとされています。また、慢性期の医療需要については、入院受療率の地域差が生じていることから、この差を一定の幅の中で縮小させる目標を設定することとされています。
     四つの病床機能区分は、患者に対しておこなわれた投薬、検査、処置などの診療行為について、診療報酬の出来高点数で換算し、医療資源の投入量の多寡をみておこなうとされています。そして、四つの医療機能ごとの入院需要を算出し、構想区域間の供給の増減を調整したうえで、病床稼働率で割り戻して必要病床数を算定します。
     「なるほど、この計算なら県民の命が守れる。」と納得がいった方が一体何人おいでになるでしょうか。こうした方法で算出された病床数は、医療現場の実態からかけ離れたものであり、このような机上の論理の計算式からはじき出された数値で香川県民の命の沙汰が決められたのではたまったものではありません。知事が「踏まえる」と答弁された「国から示されるガイドライン」をそもそものところから、本当にそのやり方でいいのか検証する必要があると考えますが、いかがですか。知事の所見をお尋ねいたします。
     次に具体的な数字を見てみます。香川県の「病床機能報告制度における機能別病床数の報告状況」によると、2014年7月時点での香川県内の医療機関から報告のあった病床数が約1万2千床に対して、2025年の必要病床数は約1万床と、県内全域が過剰病床地域となります。  特に急性期病床は全県で現在の約半分の病床に減らさなければならなくなります。稼働病床は現実に患者さんが入院しています。2千床を超える病床数の削減は県民の不安をあおるばかりか、命をも奪いかねません。医療機関の報告状況も、現時点から6年経過後の病床機能の変更はいずれの病床も数%にとどまり、圧倒的な医療機関が病床機能の変更を望んでいないことは明らかです。
     知事には県民の命を守る大きな責任があります。地域の実態も踏まえず削減ありきの方向を、国が示すままに実施はしないという強い決意が必要と考えますがいかがですか。お答えください。
     私は、改めて地域の医療実態を把握し、それをふまえて県民にとって本当に必要な医療計画としての「地域医療構想」を策定していく事が必要と考えますが、知事の所見をお聞きいたします。

    (知事答弁)
     次は、「病床機能報告制度」と「地域医療構想」の策定についてであります。
     地域医療構想の策定に当たり、国からガイドラインで示された将来の必要病床数の算定方法は、2013年のレセプトデータ等を用いて、2025年の推計人口に置きなおして算出した医療需要を基に、地域の実情に応じた調整を加えるものであり、患者の状態や診療の実態を勘案した客観的な算定方法と考えており、検証が必要なものとは受けとめておりません。
     また、地域医療構想は、2025年に向けて、将来の医療需要の変化を医療機関等の関係者が共有し、需要に応じた適切な医療提供体制、病床数となっていくことを目指して取り組んでいくものであります。
     構想の実現に当たっては、医療機関の自主的な取組みや、医療機関相互の協議による調整を基本に、病床機能の分化・連携を推進していくものであり、稼働している病床を強制的に削減するものではありません。
     私といたしましては、県民が各地域でそれぞれの状態に応じた適切な医療を受けられるよう、地域医療構想策定検討会や、構想区域ごとに設置する地域医療構想調整会議で幅広い立場から地域の実態を踏まえた御意見を伺い、県議会で御議論いただきながら、目指すべき医療提供体制の構築に向けて、地域医療構想の策定を進めてまいります。

     

    4.マイナンバー制度
     次にマイナンバー制度についてお尋ねします。
     日本に住む人に一人残らず番号を割り振り、国が情報管理するマイナンバー制度の本格的運用がはじまりましたが、内閣府の最新の世論調査ではマイナンバーの内容を知らない人が半数以上、情報保護に不安を感じる人も増えています。また、地方自治体や企業の対策も遅れています。こんな状態で厳重な保管が必要な番号の通知を始めることは個人情報を危険にさらします。私はこのまま実施に突き進むのは無謀だと考えます。
     行政側からすれば、国民の所得、社会保障給付の状況を効率よく把握できる半面、国民にとっては、分散していた個人情報の収集を容易にするマイナンバーがひとたび外部に漏れ出せば、悪用され、個人のプライバシーが侵害される危険は飛躍的に大きくなります。
     マイナンバー情報が流出した場合、被害の大きさと深刻さは計り知れません。従業員や家族のマイナンバーを集め、罰則付きで厳格に管理することが求められている民間企業の対応も立ち遅れています。中小企業は業務の煩雑さや出費の重さなどに頭を抱えている状況です、企業がこうした安全管理を実行するといくら負担することになるのかを調べたある調査では、「従業員百人で、支店が数か所」という企業を想定して試算すると、初期費用で1000万円、毎年のランニングコストで400万円という数字が出ていました。こうしたマイナンバーに対応するための費用負担は、圧倒的多数の事業者、特に中小企業にとって、事実上の「マイナンバー増税」になります。
     一方で、政府答弁では「マイナンバー導入にかかる初期費用はおおよそ3000億円」、「ランニングコストは導入費用の10~15%」という事ですが、さらに民間の費用負担がかかり、まさに巨大プロジェクトです。これだけの税金と負担を強いておきながら、国民にも企業にもマイナンバーの恩恵はほとんどありません。それはマイナンバーのそもそもの目的が、「国民の利便性向上」ではなく、国が国民の所得・資産を効率的に掌握し、徴税を強化すると同時に、「過剰な社会保障給付」を受けていないかなどをチェックするためのものだからです。富裕層の資産隠しの「逃げ道」を追跡する仕組みは整っておらず、監視対象はもっぱら一般の国民です。「3兆円市場」といわれるマイナンバー普及に沸き立つのは財界・大企業ばかりというのが実態です。
     知事は代表質問のご答弁で情報連携で「行政の効率化が図られることが期待される」とお答えになりました。国会の議論でも「行政効果」について「税収増2400億円」と説明しています。しかし、これはマイナンバー導入で「手の空いた」職員1900人が徴収に回り、一人当たり1.3億円も徴収額が増えるという机上の試算にすぎません。
     そこで知事にお尋ねいたしますが、巨額の支出に見合うマイナンバーの便益はどういったものですか。香川県におけるその費用対効果をお示しください。また、マイナンバーを延期すれば県民に何か大きな不利益が生じますか。あればその中身をお答えください。今からでもマイナンバーは実施中止の決断をするべきと考えますがいかがですか。知事の所見を問い質問を終わります。

    (知事答弁)
      次は、社会保障・税番号いわゆるマイナンバー制度についてであります。
      マイナンバー制度は、複数の機関に存在する個人の情報を、同一人の情報であるという確認を行うための基盤であり、社会保障・税制度の効率性・透明性を高め、国民にとって利便性の高い公平・公正な社会を実現するための社会基盤として法律により導入されるものであります。
      これまで県としても、様々な機会をとらえて広く周知してきたところであり、今月から全住民にマイナンバーが通知されます。
      国においては、現在、情報提供ネットワークシステムの整備を進めているところであり、平成29年7月からは、地方公共団体を含めた全ての行政機関等において、電子データによる情報連携が開始される予定となっております。
      これにより、住民票等の添付書類の削減など行政手続が簡素化されるほか、情報の照合、転記、入力などに要している時間や労力が大幅に削減されるとともに、作業の重複などの無駄が削減され、行政の効率化が図られることが期待されており、その効果については、マイナンバー制度の運用に並行して、現れてくるものと考えております。
      私といたしましては、今後とも、国や市町と連携し、引き続きマイナンバー制度の円滑な導入について積極的に取り組むとともに、導入効果が十分に発揮できるよう万全な体制づくりに努めてまいります。

     

    (再質問)
    1.知事の政治姿勢について
    (1)安全保障関連法案について
     まず1点目は安保法制についてでございます。
     私は、そもそも知事が合憲と考えているのか、それとも違憲と考えているのか知事の所見を問いました。どこが判断をするのか問うたのではありません。再度、知事の考え、はっきりと合憲か違憲かその一択でお答えください。

    (知事答弁)
     白川議員の再質問にお答えいたします。
     まず、安全保障関連法案の成立についてであります。
     私は、現行憲法における国民主権、基本的人権の尊重、平和主義という基本原理は、維持、尊重すべきものと考えておりますが、自衛権を含む安全保障法制については、自分たちの国は、自分たちで守ることが基本であり、その上で国際情勢の変化も踏まえ、自衛のために必要なことについて法整備すべきであると考えております。
     いずれにせよ、政府におきましては、今回の法整備に対する国民の理解が十分に深まるよう努めるとともに、運用に当たっても、平和主義の理念に基づき、国民の安全の確保に努めていただきたいと考えております。

     

    (再質問)
    3 「病床機能報告制度」と「地域医療構想」の策定について
     もう一つの質問は地域医療構想について、特に地域医療構想についてでございます。
     知事に再質問をいたします。
     お隣の徳島県では、本県と同じように県下全域で過剰病床となりますが、稼働病床については現実に患者がいるので、それを急にハンドルを切って県民が不安にならないようにするという主旨ですとか、病床数の具体的な削減計画はつくらない予定だというのが徳島県の基本的な姿勢のようです。
     質問でも述べましたが、県民の命のかかった計画であります。香川で行われている地域医療構想策定検討会でも削減計画はつくらない、こういう選択肢を知事からも提案すべきと考えますが、知事の考えをお示し下さい。

    (知事答弁)
     次に病床機能報告制度と地域医療構想の策定についてお答えいたします。
     先ほども部長から答弁いたしましたように、構想の実現にあたっては医療機関の自主的な取組みや、医療機関相互の協議による調整を基本に、病床機能の分化・連携を推進していくものであり、稼働している病床を強制的に削減するものではありません。
     私といたしましては、県民の皆さまが各地域でそれぞれの状態に応じた適切な医療を受けられるよう、地域医療構想策定検討会や、構想区域ごとに設置する地域医療構想調整会議で幅広い立場から地域の実態を踏まえた御意見を伺い、県議会で御議論いただきながら、目指すべき医療提供体制の構築に向けて、地域医療構想の策定を進めてまいりたいと考えております。