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  • 2月議会 一般質問と答弁(その1)

    [2016.3.18] -[インフォメーション新着情報議会報告]

     3月17日(木)、白川議員が一般質問に立ちました。
     質問項目は以下の通りです。
     1.知事の政治姿勢 
      1)明文改憲
      2)選択制夫婦別姓
     2.待機児童解消対策
     3.子どもの貧困対策
     4.中山間地域の再生
      1)林業振興
      2)薬用作物生産の振興

     質問と答弁を掲載します。(前半1、2項目)

     

    1.知事の政治姿勢
     1) 明文改憲
     はじめに知事の政治姿勢についてお尋ねいたします。
     まず明文改憲についてです。
     安倍首相は、明文改憲を「在任中に成し遂げたい」と明言しました。
     憲法99条は、首相をはじめ閣僚、国会議員、裁判官その他の公務員に対して、憲法を尊重し擁護する義務を課しています。なぜなら、憲法は「最高法規」であり、すべての国家権力を制限する法として、憲法違反の国家行為は「無効」だからです。それに加え99条は、公務員は憲法を積極的に支持・擁護し、その理念の実現のために行動する義務を負うことを定めています。公務員が憲法を無視して改憲を主張することは、憲法99条に反し、その資格に関わる問題です。国民の代表機関として、改憲の発議権が与えられる国会の構成員である国会議員には、改憲の主張が認められることがありますが、内閣の一員たる閣僚にはその権限はありません。安倍首相が繰り返す明文改憲発言は、立憲主義の規定を踏みにじるものです。戦争法が今月末に「施行」されようとする中、明文改憲を繰りかえし主張する姿勢は99条への挑戦ともいえるものです。
     知事は99条の重みをどう感じていらっしゃるのか、また安倍首相が繰り返す明文改憲発言についてどうお考えになるのかお答えください。

    (知事答弁)
     白川議員の御質問にお答えいたします。
     まず、私の政治姿勢のうち、日本国憲法についてであります。
     私は、日本国憲法は国の最高法規であり、議員御指摘の憲法第九十九条に定める「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員」が憲法を尊重し、擁護することは申し上げるまでもなく、当然のことと考えております。
    また、憲法改正につきましては、憲法第九十六条において衆参両院の三分の二以上の賛成と国民投票によると定められているとおり、極めて重要な問題であることから、国会の場での議論を含め、国民的な議論が十分になされることが必要であると考えております。

     

      2) 選択制夫婦別姓
      次に選択制夫婦別姓についてです。
      最高裁は、民法の夫婦同姓の強制について合憲とする判決をくだしました。世界で夫婦同姓を義務づけている国は日本だけであり、国連女性差別撤廃委員会からは法律に残る女性への差別条項としてその撤廃を強く求められてきました。日本の司法の見識が問われる判決といわなければなりません。
      あるお母さんは娘さんから「なんでママはパパに名字を譲ってあげたの?」と質問され、答えられなかったと言います。氏名は個人を識別するものでなく、名は体を表すと言われるように、人格と一体となりその人を表すものです。この世に生を受けた時から使い続けてきた名前を自分の一生そのものとして、使い続けたいと考えるのはごく当たり前のことです。
      氏名は「個人の人格の象徴であって、人格権の一内容を構成する」。1988年の最高裁の見解です。ここまで認めながら、なお、民法750条が合憲だとする今回の判決の理由の一つは「旧姓使用」にあります。法律でもない旧姓使用が合憲の根拠になること自体がおかしいと言わざるをえません。私と同年代の方は「旧姓使用」、いわゆる「通称使用」を選択された方もたくさんいますが、仕事上の不利益や、子どもの出産や進学過程など、様々なわずらわしさから同姓へと向かわざるをえない現実があります。     
      私は政府に対し、民法改正を求める国民や女性たちの願いを真摯にうけとめ、憲法と国際法にたった改正に着手し、その責任を果たすことを求めるものですが、知事は選択制夫婦別姓について、またこれに対する最高裁判決についてどうお考えかご所見をお尋ねいたします。

     

     

    (知事答弁)
     次に、選択的夫婦別姓についてであります。
    選択的夫婦別氏制度、いわゆる選択的夫婦別姓制度につきましては、平成8年に法務大臣の諮問機関である法制審議会から選択的夫婦別姓制度の導入を含む「民法の一部を改正する法律案要綱」が答申されましたが、各方面から様々な意見が提出されたことなどから、同要綱に基づく法案の国会への提出は見送られ、現在も政府において検討中であると認識しております。この問題は、我が国の家族の在り方に深く関わる問題であり、国民の理解を得ながら検討を進める必要があると考えております。
     また、夫婦別姓に関する昨年の最高裁判決につきましては、現行の夫婦同氏制が憲法に違反するものではないとしたうえで、この種の制度の在り方は、国会で論ぜられ、判断されるべき事柄にほかならないというべきであるとされており、私としては、これを尊重すべきものと考えております。

     

    2.待機児童解消対策
     大きな質問の2つ目に、待機児童解消対策についてお尋ねいたします。
     今、匿名のブログをきっかけに、保育園に子どもを入れることができない親たちの怒りが広がっています。待機児童問題についての本質的認識を欠いている首相答弁に「私が当事者です」と抗議する緊急スタンディングも行われました。「待機児童を減らす」ことを柱にすえた「子ども・子育て新制度」が始まり、かえって待機児童が増えるという、逆行した事態に「少子化なのになぜ?」という疑問がわき起こっています。
     香川県でも昨年10月1日に公表された、香川県内の年度途中の保育所待機児童数は、全県で407人と、前年同期の34人と比べ373人も増加しています。高松市は保育所整備も追い付かず、待機児童数は今年1月には501人、来年度初めの4月時点で300人を超す見通しを示しています。全国でも2004年には1万2358園あった公立の認可保育園が、14年には9791園に減っており、根本的には政府が運営費や整備費を一般財源化し、国の責任を地方に転嫁してきたことが、待機児童の増加につながっています。
     「年度途中で保育園に入るのは絶対と言っていいほど無理」、「一時保育をハシゴする毎日。保育所だけでなく一時保育すら空いていません。」、「居住地も職場も旧市内なのに、塩江なら空きがありますよと言われて本当に悲しくなった。」どの親ごさんにお聞きしても、こうした厳しい「保活」の現状が語られます。
     昨年10月に育休が明けた高松市内のあるお母さんは、「市に保育所の入所を申し込んだが、空きがなく無理と言われ、年度末まで職場復帰はかないませんでした。やっと4月からの入所が内定しましたが、この半年間は不安で夜も眠れない日々が続いた」と言います。こうした親ごさんたちは、子どもを生み育てることを素直に喜べない現実を突き付けられたと感じています。
     表現の仕方はどうであれ、「保育所落ちた」「一億総活躍社会じゃねえのかよ」というブログが、これだけ共感をもってシェアされるのは、同じ思いの当事者や経験者、これから同じ立場になるであろう事に不安を感じている方々がそれだけいらっしゃるという事です。「子育て県かがわ」を名乗る本県で、このような思いの父母や待機児童はゼロにしなければなりません。来年度、新規で着工する保育園もありますが、現在の待機児童数解消には間に合いません。
     私は繰り返し求めていますが、子どもを安心して預けられる安全な認可保育園を増やすことが必要です。緊急の待機児童対策でも公立保育所の役割が大変重要になっており、民間任せにせず、公立保育所の大幅増による認可保育所の増設が急務になっています。同時に、現段階では緊急の対策として小規模保育園や院内保育など、ありとあらゆる手段を駆使して待機児童を解消させることが必要です。
     そこで知事にお尋ねいたします。知事は県内でも大きな問題になっている待機児童の問題をどう受け止めていらっしゃいますか。また香川県内で予想される新年度の待機児童数と、それを解消するための喫緊の手立てをお聞きします。

     国会前に駆け付けたお母さんたちが自分のこととあわせて訴えているのが、保育士の処遇改善です。とりわけ、保育士の平均年収は、全産業の平均年収より166万円も低く、抜本的増額が緊急の課題となっています。国家資格が必要な専門職でありながら、命を預かる責任の重さにふさわしい賃金水準ではありません。潜在的な保育士はたくさんいます。根本的問題として、保育士の確保のためには処遇改善が不可欠です。
     平成23年度から26年度までの4年間で香川県内の保育士登録数は1827人ふえているのに、保育所で働く保育士数は309人しかふえていません。養成数はふえても、保育士として働き続ける人がふえなければ、現状は変わりません。
     沖縄県は来年度予算で「保育士ベースアップ支援事業」として、保育士の給与体系全般の見直しや経営改善を図る事業所に対して、保育士1人当たり月額数千円から一万円程度のベースアップと賞与額分を援助します。一億四千万円の事業ですが、沖縄県は「保育士確保には処遇改善が最も大きな課題であり、この他にも正規雇用化や宿舎借り上げなども含めて多様な事業を強化する。」と決意を述べています。
     本県でも保育士確保のための根本的対策として、保育士の賃金を引き上げるための新たな補助制度を創設することを求めますが、いかがですか。知事にお尋ねいたします。

     

    (知事答弁)
      次は、待機児童対策についてであります。
      次代を担う子どもたちを安心して生み、健やかに育てることができる「子育て県かがわ」を実現するため、結婚から妊娠・出産を経て、子育てまで切れ目ない支援を総合的に推進していく中で、待機児童対策は、特に重要かつ喫緊の課題であると認識しており、これまでも、保育士人材バンクによる就職支援をはじめ各種対策を講じてきたところであります。
     しかしながら、新年度においても、待機児童の定義に「保護者の求職中」が含まれたこと、御指摘のように、入所希望者が増加していることなどにより、なお待機児童は多く発生すると見込まれることから、一層の対策強化が必要であると考えております。
    具体的には、小規模保育施設などによる受入体制の拡大を行いながら、来年度、新たに、求人開拓コーディネーターを配置し、保育士人材バンクと連携して就職を支援するほか、事業所内保育施設を含め、保育所等の定員を増加するための保育士の採用又はフルタイム化等に取り組む市町に補助するなど、人材確保対策を強化するとともに、保育所に対して保育補助者を雇用するための費用を貸し付ける事業などにより、職場環境の改善を図り、離職防止にも努めたいと考えております。
     また、保育士の処遇改善、賃金引上げにつきましては、子ども・子育て支援新制度により、私立保育所等への施設型給付費において、職員の平均勤続年数等に応じた人件費の加算が行われたほか、平成27年人事院勧告に伴う増額がなされたところであります。
     私といたしましては、賃金については、まずは、これらの施設型給付費の増額が、適正に保育士の処遇に反映されるよう保育所等を指導するとともに、県独自の人材確保対策等を行いながら、市町や関係機関等と連携・協力して、待機児童対策に積極的に取り組んでまいります。