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  • 2月議会 一般質問と答弁(その2)

    [2016.3.18] -[インフォメーション新着情報議会報告]

     3月17日(木)、白川議員が一般質問に立ちました。
     質問と答弁(3、4項目)を掲載します。

     

    3.子どもの貧困対策
     次に、子どもの貧困対策についてお聞きします。
     2013年6月、「子どもの貧困対策の推進に関する法律」が国会の全会一致で成立し、わが県でも昨年8月、「香川県子どもの貧困対策推進計画」が策定されました。「子育て県かがわ」を名乗る本県でこそ、「子どもの数を増やすだけでなく、幸せな子どもの数を増やすことを目標とする政策」が実行されるべきです。
     日本の子どもの相対的貧困率は上昇を続け、6人に1人が貧困ライン以下で、母子家庭など一人親家庭の貧困率は54・6%と突出した高さを示し、OECD加盟34カ国で最悪となっています。それなのに、対策法成立2か月後の8月から生活保護の扶助費の引き下げを行い、4か月後の10月には老齢・障害・遺族年金を1%引き下げ3年間で2.5%の減額。母子世帯などに支給される児童扶養手当や障害のある子どもへの手当なども3年間で1.7%の減額です。生活保護基準の引き下げ額は3年間で最大10%となっており、子どものいる世帯でも大きな影響があります。さらに問題なのは、引き下げに連動して就学援助が打ち切られる子どもが出てくることです。これでは子どもの貧困対策をするといいながら、やっていることはあべこべになっているではありませんか。
     「香川県子どもの貧困対策推進計画」の基本目標である、「子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることなく、すべての子どもたちが夢と希望を持って成長できるかがわづくり」から照らしても、矛盾している税制度や社会保障、福祉施策の正常化を図ることは必須であると思いますが、知事はどう認識されていますか。お尋ねいたします。
     
     「子どもの貧困対策推進法」は、第2条から4条で、貧困の世代間の連鎖の防止を含め、子どもの貧困対策を推進するために、貧困状況にある子どもに対する経済的支援の実施を国と地方公共団体の責務として明記し求めています。2014年8月に実施された「香川県ひとり親家庭等実態調査」では、母子世帯の年収は「100万円から150万円未満」が18.3%で最も多く、「200万円未満」の世帯が全体の58.3%を占めています。失業や家族の病気に直面するとたちまち追いつめられてしまいます。そういう状況下で子育てを支える児童扶養手当はとても重要な制度です。しかし、それに付与されている所得制限は、親子2人で年間所得57万円というわずかな額を超えれば徐々に手当が減額され、必死に働いて所得が230万円を超えれば手当はゼロになってしまいます。
     国に対し児童扶養手当の低すぎる所得制限の引き上げを求めるとともに、子どもの貧困問題を直視し、貧困の連鎖を断ち切るという県の責務を果たす上で、県独自の児童扶養手当制度を創設することが必要と思いますが、知事の所見をお聞きします

     また、県内でも貧困の連鎖を断ち切ることができず、ゴミ屋敷の中に埋もれて暮らす子どもたちや、まともな食事もとれず病気や発達障害を残す子どもたちを私は目の当たりにしてきました。貧困が理由で不適切な環境で暮らす子どもたちが増えています。一日一食でもいいから、たわいもない会話をしながら暖かい環境の中で、栄養価のある食事を取ることができれば、彼・彼女らの未来には、少しでも今の現実とは違うものが見えてくるのかもしれません。
     こうした問題に対応するためにも、例えば「子ども食堂」など、今後各市町や地域ネットワークで子どもの貧困対策を行う際にも役に立つ、具体的な調査内容とすることが求められています。
     そもそも、貧困解消というのであるならば、どういった現状・生活実態であるのか基準となる指標をしっかり設定し把握することが土台となります。沖縄県は「子どもの貧困対策推進計画検討体制の推進会議」を設定し、まず実態調査をそうそうたる学識者5人の調査特別研究チームに委託し、調査結果を発表しています。大阪市が行った大阪こども調査を比較対象とできる事も念頭に置き、就学援助率や物質的剥奪率を図るものとして食料を買えなかった経験や物品所有状況、地域におけるネットワーク参加率、相対的貧困率、それとの比較ができる再分配前の子どもの貧困率も指標として示しています。わが県でも補正予算で実態調査の予算が付きましたが、こうした観点からの実態調査を求めます。知事の所見を問います。

     今、子どもの貧困だけでなく、「下流老人」の言葉の通り、高齢者や若年層、女性や母子家庭、また働く世代の貧困も顕著に増加しています。「下流老人」の著者はこう綴っています。「多くの専門家も指摘している通り、若者の貧困、子どもの貧困は、その後の世代においても格差を固定します。そしてこれは低年金や無年金問題、無保険問題の要因となり、将来の「下流老人」を生み出すことになります。」
     貧困の引き金となるのは多くの場合、病気や事故であり、医療費負担はあらゆる世代で不安の種となっています。経済的理由で子どもの医療機関の受診を控える貧困世帯は、そうでない世帯と比べ4・4倍という調査結果もあります。直島町では来年度予算で子どもの医療費無料化の対象年齢を高校生まで拡大する方針ですが、全県どこで住んでいても窓口無料化を実現できるのは県の制度でしかありえません。貧困へつながる全てのきっかけを断ち切る意味でも、子どもの医療費無料化の対象年齢の拡大と窓口無料化は大変有効な制度だと考えますが、県の制度の拡大・充実について知事の所見を問います。

     (知事答弁)
     次は、子どもの貧困対策についてであります。
     現在の税制度、社会保障、福祉施策につきましては、それらにより所得の再分配によるジニ係数の改善度が上昇していることなどを考慮すると、「香川県子どもの貧困対策推進計画」の基本目標に照らして、矛盾しているとは必ずしも考えておりません。
     生活扶助基準の見直しにつきましては、制度内のゆがみの調整や物価動向の勘案といった合理的な考え方に基づき、制度の適正化を図るものであることから、やむを得ないものであると考えております。
     また、老齢・障害・遺族の各年金、児童扶養手当や障害のある子どもへの手当につきましては、本来の手当額より高い特例水準を計画的に解消したものであり、生活扶助基準の引き下げに関する就学援助への影響については、制度の趣旨や目的、実態を十分考慮しながら、できる限りその影響が及ばないよう、国の対応方針に照らし、各市町において適切に対応しているところであると承知しております。
     児童扶養手当の所得制限につきましては、制度の目的が離婚等による稼得能力の低下を補うというものであり、国において、生別母子世帯の母の平均的な所得水準などを考慮して、設定されたものと承知しており、既に国の施策として実施されている児童扶養手当制度について、県独自に同様の制度を創設することは考えておりません。
     また、先般、補正予算で御議決をいただいた「地域子供の未来応援交付金」を活用して実施する子どもの貧困に関する実態調査につきましては、県内の貧困の状況にある子どもや家庭の実態把握や支援ニーズについて調査・分析等を行う予定であり、この結果を踏まえ、子どもの貧困対策をより効果的に実施できるよう、その詳細については、現在検討を進めております。
     子どもの医療費無料化の拡充等につきましては、本県の子育て施策と医療関係施策全体の中で、様々な問題について検討し、現行の助成制度を継続した上で、各市町が地域ごとのニーズに応じて創意工夫をこらした事業を実施できるようにする方が子育て関連施策全体として効果が上がると考え、本県独自の「かがわ健やか子ども基金事業」を創設し、市町の取組みを支援しているところであります。
     私としましては、本県における子どもの貧困対策につきましては、「香川県子どもの貧困対策推進計画」に基づき、本県の実情に応じた対策を総合的に推進し、全ての子どもたちが夢と希望を持って成長していける社会の実現を目指してまいります。

     

    4.中山間地域の再生
     最後に中山間地域の再生についてお尋ねいたします。
     「学校もなくなり、地域から子どもの姿が消えた」、「集落営農に取り組んでいるが、米麦主体では疲弊する。後継者もおらず何とかしなければこの先が見えない」、「お茶も一生懸命手間をかけて作っていたが、作れなくなると2mを超える木になり、後をどうしようもできない。山も荒れ放題」。私はこの間、中山間地で一生懸命生きる方の声をたくさんお聞きしました。
     人口の減少や高齢化が著しく進行し、今後30年で全国の人口減少率が15%を超えると推計される中、中山間地域ではそれを上回るスピードで過疎化、高齢化が進行し、中山間地域の基幹産業である農業や林業が衰退してきています。このままでは、これまで日本の豊かさを支えてきた中山間地域の存続自体が危ぶまれる事態になりかねません。
     周辺の地域資源を活かした地場産業である農業や林業は、持続的な生産活動を通じて、国土保全や水源の涵養、景観の保持などに大きく貢献していますが、集落機能の低下、地域資源の保全や地域活力の低下も危惧されています。
     そこで知事にお尋ねしますが、県内の中山間地域で暮らす皆さんは、高齢化、過疎化、後継者不足など多くの問題を抱えており、中山間地域の活性化に取り組んでほしいと言う切なる願いをもっています。この願いにどうお応えになるのかお尋ねいたします。

     私は中山間地域再生に関連して、2つの提案をさせていただきます。
     1)林業振興
     まず一つ目は林業振興です。中山間地域の森林率は8割を超えています。日本は国土の約7割が森林であり、これは先進国ではフィンランドに次ぐ高さです。これに対して本県の森林面積は8万8千haであり、森林率は47%と全国37番目です。とはいえ、県土の約半分を森林が占め、植林活動で造成された豊富な森林資源は、他県とは少し時期をずらして利用期を迎えようとしています。面積ポテンシャルは森林が圧倒しているのに対し、この大面積を有する森林の活用策が乏しいことは極めて残念なことではないでしょうか。森林資源を有効に活用し、林業を活性化することは中山間地域のみならず、地域創生、環境、土砂災害防止、水資源、エネルギーなど様々な政策上も重要な観点です。
     そこで、森林整備の主要な担い手である森林組合などの担い手育成支援を強めることとともに、自伐林業や自伐型林業の取り組みを香川でも広げてみてはどうでしょう。委託施業では50~60年で皆伐し、再造林する手法が一般的ですが、この場合平均的な皆伐収入は1ha当たり50万円に対し、再造林費用は1ha当たり100万円と言われています。この時点で既に大きな赤字となり、下草刈りなどの費用を加えると造林育林費用は200万円を超えます。再造林費用は補助金で賄わないと無理な状況で、産業としては成り立ちません。こうして委託施業では経営が成り立ちにくく、小規模な山林所有者ほど経営意欲がなくなります。これに対して自伐林業や自伐型林業は山の所有者や地域住民らが他人に任せるのではなく、自ら山林を手入れし収入を得られる山づくりを目指します。環境に配慮し、大型機械なども使わないので支出も最小限で済み収入が得やすい仕組みです。参入のハードルが低く小規模経営から始められます。
     私は、高知県四万十市で自伐型林業に取り組む青年と交流してきました。シマントモリモリ団の一員で、東京出身の27歳の女性はチェーンソーやパワーショベルを使いこなし、山に作業道をドンドン完成させていきます。大学で林業を学び何度も四万十市を訪れる中で自伐型林業に取り組む仲間と出会い、「女性でもできる林業があり、それが収入にもなることを知り、ここでずっと生きていこうと決めた」と語っていました。彼女は夏場はカヌーのインストラクターをし、秋からは林業家になります。自伐型林業は若い世代を中心に広がり、農山村への移住者が地域で暮らすための雇用の受け皿の役割も果たしています。
     女性や青年層などが様々な形態で林業にかかわってくることは、林業従事者のすそ野を広げ、森林組合などの担い手を広げることにもつながってくるのではないでしょうか。香川県でこうした自伐林業や自伐型林業の取り組みを進めていく事について、知事の所見をお尋ねいたします。

     2)薬用作物生産の振興
     二つ目は薬用作物生産の振興についてです。来年度予算案で新規事業として、中山間地域等の農山村の活性化を図るため、薬用作物の生産拡大推進の事業が提案されています。先駆的生産者の方々の努力により、県内の中山間地域で薬用作物栽培を手掛ける方が徐々に増えています。生産者の皆さんは中山間地域で葉タバコやお茶を作っていらっしゃった方も多く、これまでの猫の目農政に散々振り回されてきました。こうした農業からの脱却を目指し、中山間地域の活性化や、農業で若い方に希望を持ってもらうためにも、県内での生産地や生産量をもっと増やしたいと普及推進に取り組んでいます。現在、県内で栽培されている主な薬用作物はミシマサイコですが、1反当たり最高で40~50万円の収入になる半面、発芽や除草対策が難しく、自己努力だけでは生産拡大にも限界があります。
     私はこうしたお話をお聞きし、薬用作物生産の先進地でもある高知県で、その取り組みをお聞きしました。高知ではH25年度から薬用作物の振興を「産業振興計画」の中に位置づけ、製薬会社からのニーズが大きく、軽労働で価格も安定しているミシマサイコの生産拡大への取り組みを開始しています。現在、県として「産地拡大」や「安定栽培技術の確立」、「次なる有望品目の探索と適応性評価」の3本柱で取り組みを進めています。大学や牧野植物園との連携で栽培のための研究を進め、園芸作物などとともに薬用作物を担当している農業技術職員は5名もいらっしゃって生産者が気軽に相談できる関係が築かれています。
     そこで知事にお尋ねいたします。本県での薬用作物の生産拡大推進は緒に就いたばかりですが、生産者の皆さんは今後もっと生産量や生産者を増やしていくためにも、日常的に相談できる専門の担当者の設置を求めています。薬用作物の生産拡大だけでなく、中山間地域の活性化にもつながると考えますが、いかがでしょうか。私は自伐型林業と薬草栽培や農業との兼業スタイルは、地元住民のみならず、UIJターンの移住者の就業を作るなど、中山間地域再生の新しいモデルともなりうると考えます。知事の所見をお聞きいたしまして質問を終わります。

     

     (知事答弁)
     次は、中山間地域の再生についてであります。
     中山間地域の再生につきましては、これまでも、それぞれの立地条件に即した農業生産基盤と生活環境基盤の総合的な整備を図るとともに、魅力あふれる自然環境や農林水産物などの地域資源を活用した、都市との交流を促進し、中山間地域の活性化に取り組んできたところであります。
     林業振興につきましては、本県では、かつては森林所有者が自ら、植林、伐採等を行う林業経営が中心でしたが、木材価格の下落や木材需要量の減少に伴って、森林整備が滞るようになったこと、また、ヒノキ人工林が成熟し、伐採等を行う際に、特殊な技能や高性能林業機械などが必要になってきたことから、森林組合を担い手として、施業の集約化を図り、森林整備を推進しているところであります。
     一方で、森林所有者から、自伐林業を行うため、林業機械や施設等の整備の要望があった場合には、林業・木材産業改善資金などを活用するほか、林業普及事業を通して経営支援を行っており、議員御指摘の自伐型林業の取組みに対しましても、こうした支援をしてまいりたいと考えております。
     また、薬用作物につきましては、中山間地域の活性化につながる有望な作物であると考えており、28年度においては、「実証ほ」の設置などによる技術確立に努めるとともに、生産に必要な摘芯機や洗浄機などの導入を支援するほか、新たな薬用作物の情報収集などにも努めてまいります。
     お尋ねの薬用作物の担当者の設置につきましては、既に、本庁においては農業革新支援専門員を、農業改良普及センターにおいては普及指導員を配置しており、生産者への情報提供や現場での栽培指導を行ってまいりたいと考えております。
     今後とも、自伐型林業への支援や薬用作物の生産拡大など、中山間地域における農林業の振興と地域の活性化に努めてまいります。

     

    (再質問)
     子どもの貧困対策も、待機児童対策も、ダム事業に来年度も50億円もかけるのであれば、子どもたちの現状は変えられることをまずもって申し上げておきます。
     その上で待機児童解消対策について知事に再質問をいたします。
      待機児童の問題は、産休・育休明けの共働きの親が「保育所の入所を申し込んだが入れない」のですから、保育を確保できないために親が仕事を辞めざるをえないという事態も起こりえます。
      毎日、一時保育に「他も全ていっぱいで断られた。」と、泣きながら電話をかけてくる保護者の気持ちが、知事にはわかりますか。
      私は、もっと知事が「非常事態」だという認識をもって、緊急対策に乗り出すべきだと強く思います。
     そこで、一つはすぐに必要な緊急対策として、使われていない公共施設を洗い出し活用するなど、「自治体による緊急保育の実施」を市町といっしょに進めるべきではありませんか?
      また、保育所が見つからず育児休業をとる母親の雇い止めや、解雇が生じないよう、企業に呼びかけや周知を行うべきと考えますが、いかがですか。この2点を知事に再質問いたします。

     

    (知事答弁)
      白川議員の待機児童対策についての再質問にお答えいたします。
      先程も申し上げたとおり、待機児童対策は、この「子育て県かがわ」を推進していく中で特に重要かつ喫緊の課題であると認識しており、様々な施策を展開してきており、さらにこれからも推進してまいりたいと考えております。
      これまで国も政府においても全力を挙げて取り組んでおるところであります けれども、私はかつて看護師さんについて、同様の不足問題があったものが現在、地域ごとあるいは病院ごとには差はありますものの、全体としては現在の保育士さんのような状況からは脱しているのではないか、こういったことについての取組みも参考にしながら、これからの国、県、市町についてさらに取り組んでいくべきことについても検討してまいりたいと、そのように考えております。