10月12日、白川議員が一般質問に立ちました。
質問と答弁は以下の通りです。
私は県政は「県民の命と暮らしそして営業を守る」ためにあると思い続けています。そこで、一番大切な「命を守る」ことを主軸に一般質問を行ないます。
先月、2016年度「香川県県政世論調査」の調査結果が公表されました。その中で、県が取り組む「施策の重要度」を聞いた設問では、 トップに「安心できる医療・介護の充実確保」があげられ、同時にその満足度は24%と、大変低いことが浮き彫りになりました。
県民の期待の声とは裏腹に、国はそのベースとなる医療・介護などの給付削減案を来年の通常国会で提出しようとしています。このままでは自分も医療難民・介護難民になりうるのではないか。今、こうした不安を多くの県民の方が抱えています。また、若者の定住促進対策としても、雇用の確保と同時に、その地域に安心できる介護や医療・社会保障の制度が充実しているかどうかは極めて重要です。
そこで、県民の要望の強い医療と介護についてお尋ねいたします。
1)医療
まず医療についてお聞きします。
今議会に「香川県地域医療構想(案)」が議案として提案されています。病床機能報告と必要病床数の比較では、高度急性期では報告1196床に対し必要数1046床、急性期は6367床に対し3386床、慢性期は3611床に対し2284床であり、急性期は2981床、慢性期は1327床多く、回復期は2300床少ない、県全体では12270床から10112床と、その差は2158床になっています。つまりは香川県のベッド数は全体で2000床を超えて多いという事が言いたいようです。
「香川県地域医療構想(案)」には、H37年に向けて「どの機能の病床が不足しているか等を検討し、関係者が自主的な取り組みを行うとともに、医療機関相互の協議により、機能分化・連携について調整していく」「強制的に削減していくという主旨のものではない」との文言が明記されました。しかし、私も繰り返し指摘しているように、医療改革を「医療・介護分野の改革」として位置づけ、介護と一体的に見直すことを提起している真の狙いは、病床の削減と再編にあります。病床再編を進めるために「医療介護総合確保推進法」が持ち込んだのが、「病床機能報告制度」と「地域医療構想」の策定であることに照らせば、いくら「不足の検討」「強制的に削減していく主旨ではない」と言ってみても、その出口はベッド数の削減であることは火を見るより明らかです。
知事は代表質問の答弁でも「回復期病床への転換がより一層進むよう地域医療介護総合確保基金等を活用し、医療機関の取り組みを支援する」と答弁しています。病院から在宅や施設へとつなぐ回復期病床の役割は大変重要で、県内でもその需要は今後さらに高まってくることは間違いありません。しかし、回復期病床は病名や期間など入院の条件があり、急性期とはまるで機能が違う病床です。回復期をいくら増やしても、病気の時に最初の受け入れをする高度急性期や急性期の病床数が3000床以上も減ってしまったのでは、そもそも県民の命は救えません。今でも救急患者の救急車での搬送も、病院のベッドの空きがないことを理由に受け入れてもらえず、その対応が大変になっているではありませんか。
今度の病床削減は、実際に稼働している病床の削減です。医療機関の報告状況も、病床機能の変更はいずれの病床も数%にとどまり、圧倒的な医療機関が病床機能の変更を望んでいないことは明らかです。
そこで知事に伺います。ここ10年余りで3260床ものベッドを減らし、その上3千床もの急性期病床削減は県民の命をも奪いかねないと考えますがいかがですか。
また、「強制的に削減していく主旨ではない」この文言が「香川県地域医療構想(案)」に明記された意味を知事はどう受け止めているのかお答えください。
どの医療現場からも入院日数の制限に規制され、「納得いく医療ができない」という声が出ています。高度急性期や急性期の病院も入院期間の制限におわれ、入院した瞬間から次の病院を考えなければなりません。回復期も180日という日数で在宅に戻れるまでにリハビリを行うのは大変です。また、ひとくくりに回復期病床と言ってもさまざまなレベルの病床に分かれていて、一律にどの症状の患者さんでも受け入れられるものではありません。紹介されても受け入れができず病状が悪いまま状態でも自宅へ帰さざるを得ない、リハビリ中心の回復期であるにも関わらず、急性期からの退院があまりにも早いため医療を必要とする患者さんが多くなっているなど、関係者のストレスは相当なものです。
また、回復期病棟を退院後、在宅へ帰る条件が整わない方は施設か病院を選択されますが、特養などの施設はどこもいっぱいです。更に「香川県地域医療構想(案)」で慢性期病床も1327床もの削減の計画です。H29年度末で介護療養病床も廃止の方向ではこうした現状はさらに悪化します。このような状態に見合う在宅の受け皿を作る事は、そう易々と進むはずがありません。
知事は、各医療現場で働く皆さんの「目の前の命を何とかしたい」という声、「このままでは適切な医療すら受けられなくなる」という県民の不安にどうこたえるでしょうか。お答えください。
私は県がまるで国の手先のようになって県民医療を束縛・監視するやり方はやめるべきだと強く主張します。国保の都道府県化、地域医療構想、医療費適正化といった制度改悪で、国保の監督、病床削減、給付費管理の権限を全て県に集中し、地方自治体を「医療費削減」に駆り立てる国のやり方に対して、県民の命を守る立場からキッパリと異議を申し立てるべきと考えますがいかがですか。知事の所見を問います。
(知事答弁)
白川議員の御質問にお答えいたします。
まず、医療・介護の充実確保のうち、地域医療構想等についてであります。
地域医療構想における急性期機能の必要病床数は、平成25年のレセプトデータ等を用いて、平成37年の推計人口に置き直した医療需要を基に算出したものであるため、必要な急性期医療を提供することができる病床数は確保されているものと考えております。
また、地域医療構想は、稼働している病床を強制的に削減するものではなく、医療機関の自主的な取組みや、医療機関相互の協議による調整を基本に、病床機能の分化・連携を推進していくものであり、御指摘の文言は、その趣旨を明記したものであります。
今後は、構想区域ごとの地域医療構想調整会議において、医療機関をはじめとする関係者が、平成37年に向けて、どの機能の病床が不足しているかなどの認識を共有し、丁寧に調整を進めていくこととなります。さらに、県民や医療従事者の皆様が不安を抱かれることがないよう、地域医療構想の趣旨に加え、症状に応じた医療機能や医療機関の選択の重要性について理解を深めていただくため、広報誌やポスター、ホームページ等を通じて周知啓発を十分に行ってまいります。
私といたしましては、地域医療構想の実現に向けた取組みとあわせて、国保の都道府県単位化と医療費の適正化を適切に進めることは、医療ニーズが変化し、医療資源が限られている中で、持続可能な形で良質な医療が提供されるために必要であると考えており、県民の皆様が各地域でそれぞれの状態に応じた、適切な医療を受けられる体制の構築に向けて取り組んでまいります。
2)介護
次は介護、とりわけ介護保険についてです。
介護保険はこれまでもヘルパーの利用時間制限をはじめ、給付削減が繰り返えされてきました。しかし、安倍政権下ではそれに留まらず、160万人を超える「要支援者」を保険給付の枠外に追い出し、更に「軽度者」を特養の対象外にするなど、大量の被保険者を丸ごと保険サービスから外すという、重大な制度の変更を強行しました。
今後、更なる「軽度者」はずしの上に、現在1割の介護サービス利用料を原則2割に引き上げる、「要介護1、2」の方の車いすやベッドなどの福祉用具レンタルも原則自己負担にしていくなど、容赦ない給付削減が進められようとしています。日本福祉用具供給協会が行った今年3月の調査結果では、「用具利用以前は半数以上が転倒を経験」し、用具が使えなくなると訪問介護を利用するなどで、「低くても年間1370億円のコスト増になり、介護人材も新たに10万人以上必要」となると試算を示し、まとめでは「福祉用具貸与サービスは、軽度の要介護者にとってローコストながら居宅での生活や地域社会とのかかわりなど高いQOLも維持できる、効果の高いサービスであることが確認された。」としています。
年金天引きという手法まで使って、すべての高齢者から保険料を徴収しながら、認定者の65%の方をサービスから切り外すのは「国家的詐欺」と言えます。軽度者に対する生活援助サービス・福祉用具貸与等やその他の給付への見直しは老後の生活への不安を高め、介護保険制度への信頼が揺らぎかねないゆゆしき事態と考えますが、知事の所見を問います。
「介護難民」「老老介護」「介護離職」「孤独死」が社会問題になる中、高齢者の介護を巡る不安は、いまや現役世代を含めた国民的な大問題になっています。これ以上の介護保険の改悪は県民にとってまさに死活問題です。介護が必要と認定された高齢者が、これからも住み慣れた地域での生活を実現し、働く人も含めて介護家族の負担が今以上に重くならないように、県として介護保険への積極的関わりを持つことが必要です。
また、介護報酬の切り下げ、サービス利用の制限は、介護事業者にとっても深刻な影響をもたらし、東京商工リサーチの統計でも介護関係の倒産は過去最高を更新しています。事業所がなくなれば介護を受けることさえできません。介護分野は、マクロ経済の視点で見ればほとんどが人件費ですが、そうであるがゆえに雇用を生み出し、その賃金が生活費として支出され、ほとんどが国内・地域内で循環します。何より地域で住む人々の社会参加や安心を築き、大きな経済効果を生み出します。香川県の経済・雇用対策としても、県内の介護事業者を守っていくことも必要です。
以上の申し述べました内容をふまえ、県民の強い介護充実の要求に応えるため、知事はどういう対応をしていこうとしているのかお尋ねいたします。
(知事答弁)
次に、介護保険制度についてであります。
介護保険制度は、介護が必要になった高齢者や、その家族を社会全体で支えていく仕組みであります。
軽度者に対する生活援助サービスや福祉用具貸与等の給付の見直しについては、現在、国の社会保障審議会・介護保険部会において、議論がなされているところであります。
部会の委員からは、「要介護の状況が悪化したり、要介護者が増えることのないよう慎重に扱ってほしい」、「利用者の負担を増やすのは反対である」など、様々な意見が出されておりますが、今後、年内に議論が取りまとめられる予定と伺っており、引き続き、国の議論の動向を注視し、情報収集に努めてまいります。
いずれにいたしましても、今回の見直しにあたっては、介護保険制度の持続可能性を確保しつつ、高齢者の自立を支援し、介護の重度化を防ぐといった介護保険の理念に沿って検討されるべきであると考えております。
また、介護保険制度の運用については、県民の皆様をはじめ、各市町や介護事業者への影響が大きいことから、様々な機会を捉えて、各市町や介護事業者、サービス利用者等の意見を聞くなど、常に介護現場の状況把握に努めているところであります。
私といたしましては、これまでも国に対し、次期介護保険制度改正にあたっては、地方の意見を十分に反映するよう、要望を行ってきたところであり、今後とも、全国知事会等とも連携しながら、国に対し、働きかけてまいりたいと考えております。
2.国立療養所大島青松園
大きな質問の2つ目は、国立療養所大島青松園についてです。
今年は、ハンセン病患者の強制隔離を違憲であったと断じた熊本地裁判決から15年、「らい」予防法廃止から20年という節目の年です。約90年の長きにわたり続けられたハンセン病患者に対する強制隔離政策は、筆舌に尽くしがたいものでした。人間の尊厳を踏みにじる強制隔離や、無らい県運動、療養所での低劣な生活と治療、強制労働、断種・堕胎、監禁や重監房送り、そしてこの政策自体が生み出したハンセン病に対する差別と偏見は、元患者やその家族を苦しめ続けてきました。
現在、高齢化の進む療養所では入所者数は減少をし続け、大島青松園でも、9月1日現在で、入所者は63人、平均年齢は83歳になっています。「療養所の最後の一人まで面倒を見る」と当時の厚労大臣が約束したことを目の前の問題として実践していく事が必要な時となりました。「最後の一人にはなりたくない」こんなことを入所者に言わせるのではなく、入所者が安心して平穏に在園するためにも大島青松園の「将来構想」を確立することが必要です。そこで以下2点質問します。
1)大島青松園の職員確保
1点目は大島青松園の職員確保についてです。
今年8月4日付けの全国紙に大島青松園の島外移転に関する記事が掲載され、この件について大島青松園のホームページには異例の「おわび」が掲載されました。入所者や関係者にとっては青天の霹靂でした。このようなハンセン病の歴史を無視した勝手な言動は決してゆるされるものではありませんが、この発言の根底には医師不足、看護・介護・福祉そして大島の場合は官用船の船員不足といったマンパワー不足があることも事実です。
この問題の根幹を知るには、ハンセン病療養所の歴史の特徴すなわち「患者作業」と称した実質強制労働を知ることが不可欠です。患者作業は強制収容政策として、ハンセン病の後遺障害から目や手足が不自由な方が多い入所者に対し、入所者同士の看護や介護、食事の調理、食材調達のための畑仕事、理髪や大工作業はじめ、し尿処理や亡くなった入所者の火葬までもが押し付けられました。こうした事に従わない者には「草津送り」などと言って、陽も当たらない重監房棟へ押し込め、布団まで凍る状況の中、品疎な食事しか与えず餓死・凍死させるほどのものでした。こうして「患者作業」でまかなってきたものを患者協議会などの人権の尊重をかけた闘いで1960年度から計画的に職員増を行うことになりましたが、その多くは「賃金職員」と呼ばれる常勤的非常勤職員であり、その一部は「期間業務職員」という不安定な身分で今も働いています。入所者の皆さんに安心して療養生活を送っていただくには、こうした現状の解決が必要不可欠です。
特に大島青松園は多くの職員を鹿児島県の奄美和光園から受け入れて必要人員を確保してきた歴史があります。こうした職員からの紹介で入職するケースが多いのも特徴です。しかし、職員は「この療養所があと何年存続するのか」「療養所がなくなる前に次の職場を探しておきたい」などの思いもあり、「これでは知人には紹介できない」という声も聞かれます。「ハンセン病問題の解決の促進に関する法律」の第十一条 は「国は、医師、看護師及び介護員の確保等国立ハンセン病療養所における医療及び介護に関する体制の整備のために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。」と職員確保の責務が国にあることと同時に、2項で「地方公共団体は、前項の国の施策に協力するよう努めるものとする。」と県の責務もうたっています。県として医師、看護師、介護士、官用船の船員など、専門性を問われる大島青松園の職員確保にどう取り組むのかについて、知事にお尋ねいたします。
2)大島青松園の「将来構想」
2つ目は大島青松園の「将来構想」についてです。
入所者が少人数になっても医療・看護・介護・福祉を維持し、人権教育の場としても国の誤った政策の歴史を残す、隔離施設から真に社会に開放され社会とつながった施設とすることためには、大島青松園の「将来構想」が必要です。
「ハンセン病問題の解決の促進に関する法律」の第十二条は、「国は、入所者の生活環境が地域社会から孤立することのないようにする等入所者の良好な生活環境の確保を図るため、国立ハンセン病療養所の土地、建物、設備等を地方公共団体又は地域住民等の利用に供する等必要な措置を講ずることができる。」と、良好な生活環境の確保のための措置等を規定しています。これによって療養所の地域開放が可能になりました。
沖縄愛楽園、宮古南静園が一般の入院患者に対してベッドを確保したのを皮切りに、現在全国13園中9園で一般入院が可能になっています。奄美群島の唯一の皮膚科医専門医が在職している奄美和光園では年間4000人もの外来診療を実施し一般入院も受け入れています。また、東京の多摩全生園や熊本の菊池恵風園では園内に保育園を作り、岡山の邑久光明園に社会福祉法人の特別養護老人ホームが開設しました。私も全国各地のハンセン病療養所を訪問させて頂いていますが、各地の療養所で県や市が積極的に関与しながら、地域性を生かした「将来構想」がつくられていることに大変学ばされています。
もちろん、各療養所の「将来」を決めるのは入所者です。しかし、高齢化と大島青松園独特の「離島である」という足かせが、「将来構想」設定の大きな壁になっています。これはそうした場所に施設を作り、強制隔離を行った国の大きな責任です。国は法律に従って入所者の意思を尊重しつつ、大島青松園をどうしていくのか「将来構想」確立に真摯に向き合っていかなければなりません。そしてこのことが入所者の最後の一人まで安全・安心に暮らせ、また職員が安心して働き続けられる療養所にしていける希望の光です。大島青松園の「将来構想」策定について知事の所見をお尋ねいたします。
(知事答弁)
次は、国立療養所大島青松園についてであります。
大島青松園には、県として、平成8年から、毎年、「らい予防法による被害者の名誉回復及び追悼の日」に合わせて、激励訪問をしており、その中で、昨年6月の訪問時、官用船の船員については、専門職でありながら、海事職俸給表の適用がされていないことから、その確保が難しいとの話をお聞きしましたので、昨年7月、国への政策提案の場で、私から厚生労働省の担当局長に意見を述べたところ、今年度から、海事職俸給表への適用が認められております。
今後とも、大島青松園の職員確保については、国において適切な措置がなされるよう働きかけを行うなど、県としても、支援に努めてまいります。
また、将来構想については、入所者と施設管理者において、検討することとされており、大島青松園では、平成20年11月に大島青松園将来構想検討委員会を設置して、検討を開始し、同年12月には、現状のハンセン病療養所単独での体制を維持継続することなどを内容とする基本方針が決定されましたが、現時点では、将来構想の策定には至っていないと聞いております。
このような中、大島青松園からは、現在も入所者自治会と施設管理者で協議を進めているとお聞きしており、県といたしましては、協議の動向を踏まえつつ、関係自治体として、将来構想の策定について、高松市と連携・協力してまいりたいと考えております。
3.ゆきとどいた障害児教育
最後にゆきとどいた障害児教育についてお尋ねいたします。
障害者権利条約には、それぞれの障害者にとって必要な「合理的配慮」をしないことは差別になると規定されています。障害のある子にもそうでない子にも、一人一人のニーズに合わせて教育環境を整えていくことが、条約の求める真のインクルーシブ教育だと考えます。私は、「選択肢がたくさんある。」このこと抜きにインクルーシブ教育は語れないと考えています。これをふまえ以下、3点質問します。
1)中部養護学校の現状と特別支援学校の新設
まず1点目は、中部養護学校の現状と特別支援学校の新設についてです。
「このまま子どもたちが詰め込まれた状態が続く事をどうにかしないといけない。」香川県の障害児教育の現状を変えたいと、先月19日、全県の保護者や関係者が集い、「ゆきとどいた障害児教育を求める香川の会」が発足しました。会長を務めることになったお母さんはあいさつの中で「息子は12年間の養護学校生活にピリオドを打ち、中部養護学校を無事卒業させていただいた。息子が入学したころ、子どもたちの数は260人余りでした。それが、354人をMaxに、ここのところ350人を切ることがありません。」と話されました。
中部養護学校では2005年に255人だった全校生徒が今年度始めには360人に膨れ上がっています。新校舎増築は教室不足解決のために必要ですが、その場しのぎの建設で運動場は狭くなり、3回に分けて行うしかできなくなった体育祭・運動会。保護者駐車場も運動場とともに狭くなり、行事の時はもちろん毎日の送迎時も混雑を極めています。毎年全体開催が危ぶまれる学校祭。そして体育館に入りきらないという理由から3回に分けて行われるようになった卒業式と修了式。幼稚部から高等部まで一貫的な育みができるはずの学校でありながら、物理的にその実行が困難になってきています。平成33年には中部養護学校の創立60周年を迎え建物に関しては何らかの対応が必要になってきますが、この時を節目に中部養護学校のマンモス化についてしっかりと議論されなくてはならないと考えます。
緊急事態とも言える中部養護学校の幼児・児童・生徒数の増加は東部養護学校などにも生徒数の増加の影響を与えています。こうした問題の根本的対応策として、新しい知的養護学校の建設が求められています。また、他県でも次々と新設されている高等特別支援学校の新設を求める声も大きくなってきました。
節目の年を目前に中部養護学校の現状をどううけとめていらっしゃいますか。教育長にお尋ねいたします。また、この問題に対する対応策として知的養護学校や高等特別支援学校の新設をどうお考えかもあわせてお尋ねいたします。
2)「学校設置基準」
こうした問題は中部養護学校だけが抱える問題ではありません。この間、県内の多くの保護者や特別支援学校に通う子どもたちは、特別支援学校の変化を目の当たりにしてきました。養護学校なのに生活訓練室がなくなる。歩行学習・宿泊学習・校外での宿泊キャンプなど、学校でしか経験できない特別な学習の機会が減る。譲りあうのも限界の特別教室。給食場に入りきれず教室で食べる給食となり、3階まで運び上げなければならない学年もあります。
その1番の原因はやはり、子どもたちの増加による学校の過密化にあります。全国的に特別支援学校の児童・生徒数の増加が進み、2015年の文科省の調査によると在籍者数はこの10年間で3万6千人増え、3600を超える教室不足がおこっています。こうした問題の根幹には幼稚園から小中学校、高等学校、大学、専門学校にはある「学校設置基準」が特別支援学校だけにはないことにあります。小学校の「設置基準」は12~18学級が「標準」ですが、特別支援学校はその基準がなく、中部のように80学級あっても、狭い敷地に子どもたちが押し込められてしまいます。国に対して特別支援学校にも「学校設置基準」を設けるよう要望すべきと思いますが、教育長の所見を問います。
3)「資格面積」
また、今すぐ手をつけられる事として、「資格面積」があります。14年度に試算した、障害区分ごとに在籍する生徒数と学級数に応じて算出される特別支援学校の「国庫補助基準の必要面積」と「現有の保有校舎面積」を比較したデータをみますと、香川県の県立特別支援学校の平均では、小中学部は57%、高等部で52%の充足率でしかありません。学校ごとに算出される必要面積と保有面積のこの差を「資格面積」といいますが、つまり、自治体が国に建設費の補助を申請すれば財政上措置できる資格面積は香川県の特別支援学校の場合、学校によっては十分あると言う事です。これを活用して県内の特別支援学校の大規模化・過密化の改善を求めますが、いかがですか教育長にお尋ねいたしまして私の一般質問を終わります。
(教育長答弁)
白川議員の特別支援学校の整備についての御質問にお答えいたします。
香川中部養護学校については、知的障害の特別支援学校における児童生徒数の増加に伴う対応策として平成22年度に検討した報告書に基づいて、平成25年度に現有地で校舎を増築整備したところであります。
児童生徒数は、想定どおり増加を続けておりますが、高等部も含め、校舎の増築にあたって推計した児童生徒数の範囲内で推移してきている状況でありますので、現在、増築後の校舎で対応できるものと考えております。
なお、高等部への受入れは、障害の程度に該当する希望者は原則として受け入れるよう柔軟に定員を設定しており、これまでの就職等の実態から見て、学校としては、独立した高等部より、小学部から高等部まで一貫して教育を行う方が効果的であると考えております。
また、特別支援学校の学校設置基準を設けることについては、全国都道府県教育長・教育委員協議会でも要望しておらず、在籍する児童生徒等の障害の状態に応じ、必要となる施設や設備が様々であること等から、その施設や設備について全国一律の基準を設けることが、本県にとって有益かどうかよく考えてまいりたいと思います。
最後に、資格面積はあくまで国の補助金の対象面積として算定されるものでありまして、特別支援学校の増改築については、今後とも児童生徒数の状況等を踏まえて、今年度行っている香川丸亀養護学校の校舎増築のように、教育上の支障が生じないよう、適切に対応してまいりたいと考えております。
(1)地域医療構想等について
医療について再質問いたします。
知事は、必要病床数は確保している、こうお答えになりました。しかし、質問でも行いましたように、急性期病床は現在の約半分になります。今後十年間でますます高齢化も進み、急性期病床の削減は、まさに県民の命の沙汰を決めることになります。
知事は本当に、この半分への急性期の削減で、県民の命を守れるとお考えなのでしょうか。県民の命を守る立場に立っていますか。そのことについて、知事に再度明確にお答えいただきますように再質問を行います。
(知事答弁)
白川議員の医療についての再質問にお答えいたします。
私も、県民の命を守る立場は、全く同じでございます。
ただいまご指摘の点につきましては、平成37年のデータを用いた推計を行ったわけでありまして、必要な病床数であるということを申し上げているわけであります。
いずれにいたしましても、県民の生命・財産を守るという立場は、全く変わりないものでありますので、ご理解賜りたいと思います。