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  • 6月議会一般質問と答弁

    [2017.7.12] -[新着情報議会報告]

    7月10日、かし議員が一般質問に立ちました。
    以下、質問と答弁です。

     

     一般質問を行います。まず初めに知事の政治姿勢について3点おたずねします。

     第1は、核兵器廃絶についてです。
     ニューヨークの国連本部で「核兵器禁止条約の締結に向けた交渉会議」第2会期が開かれ、最終日の7月7日、核兵器を法的に禁止する「核兵器禁止条約」が採択されました。広島・長崎への原爆投下から72年、人類は歴史の大きな転換点を迎えました。この交渉会議の第1会期には115を超える国々と、被爆者をはじめ220人を超える市民社会の代表が参加しましたが、核保有国や同盟国、そして被爆国日本の政府も参加しませんでした。しかし核保有国が不参加だから条約に意味がないことはありません。「核兵器は違法」、これが国際ルールになれば他の大量破壊兵器と同じように、廃絶へのプロセスが始まることになるのです。
     被爆者が呼びかけた核兵器廃絶署名は全国から296万筆が集まり国連提出され、条約前文に「ヒバクシャの苦しみ」「ヒバクシャによる廃絶の訴え」の文言が入る大きな力になりました。
     もはや、今の世界は、核大国の思い通りになるものではありません。私は核兵器禁止の実現は、人類を絶滅の危機から救うだけでなくより良い生活を世界のすべての人にもたらす、平和で公正な世界への扉を開くものであると思いますが、知事のご所見をお示し下さい。
    安倍政権が、禁止条約交渉に反対した理由として北朝鮮の核・ミサイル実験を強調していますが、そこには核の脅威に対抗するには、核大国アメリカの「核のカサ」で守ってもらうしかないという立場の表明でしかありません。問題なのは、米、ロ、英、仏、中の5か国が核兵器を独占する世界の構造の中で、ただ核や軍事同盟の力で威嚇すれば、新たな国の核開発、核拡散を防ぐことができるのかということです。それができないことは、戦後の歴史が証明しています。
     いま日本が、世界で唯一、原爆の惨禍を体験した国として、核兵器禁止に踏み切り、他のアジア諸国と協力したなら、北朝鮮にも核・ミサイル開発をやめさせ、朝鮮半島と北東アジアに非核化の新たな道を開く可能性があると思います。私は、そうした平和外交こそ行うべきと考えますが、知事のご所見をお示しください。

     

    (知事答弁)
     樫議員の御質問にお答えいたします。
     まず、私の政治姿勢のうち、核兵器のない世界の実現についてであります。
     核兵器のない世界の実現は、恒久平和の実現に繋がるものであり、人類共通の課題であると認識しております。
     我が国は、世界で唯一の被爆国という立場から、核兵器のない世界の実現に向けて訴えていくことが重要であり、私といたしましては、その実現には、我が国をはじめ各国の外交努力の積み重ねが必要であることから、国際社会の中で議論を尽くしていただきたいと考えております。

     

     

     第2は、改正組織犯罪処罰法、いわゆる「共謀罪」法についてです。
    「共謀罪」法は、6月15日朝、参院本会議で、自民・公明と日本維新の会の多数で強行可決されました。国民の世論を無視し、野党の反対を押し切り、法務委員会の採決を抜きにした「中間報告」という国会ルール無視の「禁じ手」まで使うという暴挙は断じて許せません。「共謀罪」は、犯罪が実際に起こっていない段階でも2人以上で「計画」し、その内の1人が「実行準備行為」をしたと捜査機関がみなせば、全員を処罰できるのです。日本の刑法は「既遂処罰」が原則です。犯罪の具体的行為があって初めて処罰されるという刑法体系の原則を大転換させるものであり、実行されてもない犯罪を「処罰」するとなると国民の「心の中」に踏み込んだ捜査は避けられません。「話し合い」も監視の対象にされ、盗聴捜査などにお墨付きを与えます。憲法が保障する「思想・良心の自由」はもちろん、信教や表現の自由、通信の秘密を侵害する違憲性は明らかです。まさに戦前の「治安維持法」の復活だといわなければなりません。
     また、「テロ対策」とか「国際組織犯罪防止条約」締結のためという口実は完全に崩れています。だいたい国連の人権理事会が任命した特別報告者から、日本の「共謀罪」は、プライバシーや表現の自由が侵害されるという警告の書簡が政府に届いているのに、それを無視する安倍政権の姿勢は、全く異常だと思いますがいかがでしょうか。「共謀罪」法に対するご所見をお示しください。
     国民が解明を強く求める「加計」「森友」疑惑は、説明を避け、国民が「おかしい」と声を上げている「共謀罪」法は押し通す、安倍政権の民意を無視した強権政治、国政を私物化する政治について知事のご所見をおたずねします。

     

     (知事答弁)
     次に、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の改正についてであります。
     「テロ等準備罪」を新設する、いわゆる組織犯罪処罰法の改正については、国際社会の一員として、テロを含む組織犯罪を未然に防止し、これと戦うための枠組みである、国際組織犯罪防止条約(TOC条約)を締結して、国民の生命・安全を守るため、提案されたものと理解しております。
     3年後に迫った東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を控える中、国内外の組織犯罪情勢等を考慮すると、テロを含む組織犯罪の未然防止に、万全の態勢を整えることは必要であると考えております。
     政府においては、国民に理解をいただけるよう引き続き努力していただくとともに、捜査にあたっては、厳格、適正な法の運用を求めたいと考えております。
     内閣の政権運営につきましては、国内外の諸課題について、様々な観点から検討して判断され、行われているものと理解していますが、私といたしましては、活力ある安全・安心な社会の実現に向けて、謙虚に、丁寧に、全力で取り組んでいただきたいと考えております。

     

     

     第3は、憲法改悪についてです。
     安倍政権は、2013年、国民の目と耳と口をふさぐ言論規制の秘密保護法を制定、2015年、自衛隊が海外で武力行使をすることを可能にした安保法制=戦争法の強行、そして今回の「内心」を処罰する「共謀罪」法の強行。加えて5月の憲法記念日に、安倍首相は自衛隊の存在を憲法に明記する改憲を2020年に施行することを明言しました。私は、この発言は首相としての憲法尊重擁護義務(第99条)違反だと思いますが、知事のご所見をお示し下さい。
     安倍首相が言うように、9条に自衛隊の「意義と役割」を書き込めば「戦争の放棄、戦力の不保持、交戦権否認」などを定めた、現行の1項、2項は全く空文化し、それこそ際限のない武力行使に道が開かれることになります。また高等教育を含む教育の無償化は、現憲法下でやれることであり何の支障もありません。
     東京都議選では自民党が歴史的大惨敗を喫しました。これは、国民の民意に反する暴挙を重ねる傲慢極まる安倍政権に、都民が怒りを爆発させた結果にほかなりません。私は、安倍首相は、首都・東京の審判の結果を受け止め、9条に自衛隊を書き込む自民党改憲案づくりを断念すべきです。そして、ただちに臨時国会を召集し自らの疑惑を明かにし、解散・総選挙で国民の信を問うべきと思いますが、知事のご所見をお伺い致します。

     

      (知事答弁)
     次に、日本国憲法についてであります。
     御指摘の安倍氏の発言は、自由民主党総裁として述べられたものと理解しています。
     私は、日本国憲法は国の最高法規であり、議員御指摘の、憲法第九十九条に定める「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員」が憲法を尊重し、擁護することは、当然のことと考えておりますが、憲法第九十六条においては、憲法改正について定められているところであり、明治憲法のような「不磨の大典」とすることなく、現行憲法について議論することは重要であると考えております。
     いずれにいたしましても、憲法改正につきましては、衆参両院の三分の二以上の賛成と国民投票によると定められているとおり、極めて重要な問題であることから、国会の場での議論を含め、国民的な議論が十分になされることが必要であると考えております。
     総理の政治姿勢については、知事として議会で所見を申し上げる立場にありませんが、私といたしましては、先ほども申し上げたように、政府として、引き続き、活力ある安全・安心な社会の実現に向けて、謙虚に、丁寧に、全力で取り組んでいただきたいと考えております。

     

     


     次に教育問題についておたずねします。

     この度、小中学校の学習指導要領が改訂され、小学校は2020年度から本格実施されることになりました。内容をみてみますと、小学校6年の社会科で東郷平八郎や陸奥宗光など42人の人物が例示されています。さらに小学校5年の社会科では領土問題の学習が入っていますが、領土問題は近隣諸国との国際紛争を引き起こしており、歴史的経緯の説明や当事者国の見解の相違などを扱う必要がありますが、学習指導要領には政府見解のみの記載で教育する立場が貫かれています。中学校保健体育の「武道」に「銃剣道」が加えられました。銃剣術は旧日本軍の戦闘訓練で行われていたものであり、平和憲法下でのスポーツ教育とは言えません。私は、今回の学習指導要領は安倍政権の「戦争する国づくり」の教育観が大きく取り入られてきたのではないかと危惧するものでありますが、教育長のご所見をお示し下さい。

     さて、「道徳」の授業が来年度から小学校で、再来年度から中学校で正式教科になります。子どもの心のあり方が評価されることになります。評価基準となるのは、学習指導要領に示す内容項目=徳目です。この項目は、学年ごとに19~22項目列記されていますが、その中には「愛国心」や「家族愛」などに関わるものもあります。教科書の題材となっている話は、父母や祖父母がいることが前提となっており、一人親家庭などさまざまな家庭の子がいます。家族のあり方をなぜ国が決めるのかという批判の声も上がっています。道徳は、内心の自由に関わる問題であり、個人の価値観や内面を教科書でコントロールし、評価することに反対や不安の声が上がっています。安倍政権は、道徳を正式教科にし、特定の価値観を押しつけようとしていますが、教育長のご所見をお示しください。

     今年度採択される小学校の道徳を除き、小学校は平成30年度、中学校は平成31年度が、教科書採択の年です。県民は、香川の子どもたちが、世界中の人々と仲よく力をあわせて、平和な未来に生きてほしいと願っています。そのためには、日本国憲法の原則である国民主権・基本的人権の尊重・平和主義に基づく教科書を子どもたちに手渡すことが大切です。また、教科書採択にあたっては、子どもたちに向きあい子どもたちの多様な実態を熟知している教員の意見が最大限に尊重されることが重要です。しかし、一部の政治勢力・団体が、日本の侵略戦争・植民地支配を美化する不適切な教科書の採択を押しつける政治的圧力が強まっています。独立した教育行政機関である県教委が、そうした圧力に屈することなく、香川の未来を担う子どもたちに手渡す、ふさわしい教科書を採択されるよう願うものでありますが、教育長の決意をお示し下さい。

     安倍政権は、通常国会で、教育勅語の学校での使用を容認する答弁を行いました。教育勅語使用容認は「戦争する国づくり」の一環です。教育勅語は戦前、日本国民の道徳と教育を支配して人びとを戦争にかりたてたものです。
     教育勅語は315文字の短文で、3つの部分からできています。第1段は、天皇が国も道徳もつくった。天皇の忠誠にこそ教育の基礎があるとし、第2段は、いざとなれば天皇国家に身を捧げよというもので、よく引き合いに出される「父母ニ孝ニ」「夫婦相和シ」のような徳目もすべて「皇運ヲ扶翼」するためのものと位置づけられています。第3段は、勅語の徳目は皇祖皇宗の遺訓だからよく守るようにと書かれています。教育勅語の道徳律はどの部分をとっても、現在の主権在民の社会と相いれません。だからこそ、1948年6月19日、衆議院本会議において「教育勅語等排除に関する決議」、参議院において「教育勅語等の失効確認に関する決議」がなされたのです。当時の文部省は、同年6月25日「教育勅語等に関する取扱いについて」の通達を出し、排除・失効決議の徹底を都道府県に求めています。
     それ以来、政府は「教育勅語を朗読しないこと、学校教育において使わないこと」(1983年5月11日瀬戸山文部大臣答弁)としてきましたが、今回の安倍政権の「学校での教育勅語使用容認」答弁は、その一線を越える重大なものです。私は、以上の立場から県教委に対し、教育勅語排除・失効の国会決議に基づき、教育勅語は基本的人権、憲法と相容れないという認識で、今後の教育行政を行うよう求めるものでありますが、教育長の決意をお示し下さい。

     

    (教育長答弁)
     樫議員の教育行政についての御質問にお答えいたします。
     このたびの小・中学校学習指導要領の改訂は、子どもたちが未来社会を切り拓くため必要な資質や能力を一層確実に育成するため、主体的、対話的で深い学びの実現を図るとともに、言語能力や情報活用能力の育成、理数教育、外国語教育、道徳教育の充実等の観点から、改善が図られたものと承知しております。
     そのうち、道徳については、答えが一つではない課題を、一人ひとりの児童生徒が、多面的、多角的に考え、自己の生き方についての考えを深める学習を行うものであり、評価については、他の児童生徒との比較ではなく、児童生徒がいかに成長したかを積極的に受け止めて認め、励ましていく評価として、数値によらず、記述により行うこととされております。
     教科書の採択については、教科書が授業における主たる教材として子どもたちの成長のために重要な役割を担っていることから、適正かつ公正な採択の確保の徹底を図る必要があると考えており、すべての教科書について等しく調査研究や審議を行ったうえで、各採択権者において、 その権限と責任のもと、適切な採択が行われるよう努めてまいります。
     教育に関する勅語については、日本国憲法及び教育基本法の制定等をもって、法制上の効力が喪失したものと認識しており、教育行政を進めるにあたっては、教育基本法が示す、「人格の完成」と「国家、社会の形成者として心身ともに健康な国民の育成」という教育の目的の実現に向けて、教育に関する法令に従い、取り組んでいくものと考えております。

     

     


     次に、国保の都道府県単位化についておたずねします。

     来年度から、都道府県が国保の「保険者」となり、市町村の国保行政を統括・監督する仕組みが導入されようとしています。
     新制度が始まると、①都道府県が、国保事業に必要な費用を市町村に「納付金」として割当て、②市町村は、住民に保険料を賦課・徴収し、集めた保険料を都道府県に「納付」する、③都道府県は、保険給付に必要な財源を「交付金」として市町村に拠出するという仕組みです。市町村の「納付金」は、各市町村の「医療費水準」「被保険者の所得水準」「被保険者数」を指標に、都道府県が算定。「医療費水準」は高齢者数などによって大きく変わるため、市町村ごとの「年齢調整後の医療費水準」を明示し、それを「納付金」の負担額に反映させるとしています。 これは、医療給付費が高ければ、保険料負担も増えるということでしょうか、おたずねします。
     なお、市町村は、「納付金」の100%完納が義務づけられており、滞納者が増えて保険料の収納率が下がった場合、市町村は、新設される「財政安定化基金」から「貸付」を受けて完納するよう「指導」されることになっています。平成28年6月1日現在の本県の滞納世帯数は19,446世帯、滞納率は13.7%ですが、この仕組みでは、滞納者への差し押さえや保険証の取り上げなど、「収納対策の強化」に市町村を駆り立てることになると危惧するものですがいかがでしょうか。
     新制度では、都道府県が各市町村に「納付金」の負担額を提示する際、同時に市町村ごとの「標準保険料率」を公表することになっています。今のところ四国で公表している県はありませんが、中国地方では鳥取、島根、広島の3県が公表しています。本県としても試算を早く公表すべきではないでしょうか。
     鳥取県の試算は、納付金の算定方法や激変緩和措置等について、予め市町村と協議する際の参考とするため、島根県の試算は、2018年度の算定を確実にするための必要な分析のために行ったもので、広島県は、全県統一保険料の提案を行っているとのことです。本県でも試算が検討されておりますが、現時点での検討状況と試算公表の時期についてお答えください。

     さて、いま国保は、加入者は貧困なのに保険料は高いという「国保の構造的矛盾」が深刻になっています。国民皆保険のスタート当初、1960年代は国保世帯主の多数派は「農林水産業」と「自営業」でしたが、現在では、年金生活者などの「無職」と非正規労働者などの「被用者」が、国保世帯主の8割近くを占めるようになり、加入者の平均所得は減り続け、今や130万円台まで落ち込んでいます。
     その一方、1人当たりの保険料は高く、負担感は重くなるばかりです。平成27年度国民健康保険事業年報によると、介護納付金分を除く1人当たりの保険料は、全国で84,156円、本県で83,770円になっております。
     今般の「国保改革」に際し、安倍政権は、2015年度から実施している「低所得者対策」の1,700億円に加え、「子どもの被保険者が多い自治体への支援」「財政安定化基金造成」「保険者努力支援制度の創設」などに1,700億円、合わせて「3,400億円の公費支援」を行うとしています。しかし、それと引き換えに、市町村の独自繰入、約3,000億円は「削減・解消」させる方針を打ち出しています。
     私は、高すぎる保険料の負担軽減策として市町が独自に行っている一般会計からの繰入を、県が国のいいなりに「繰入解消」を求めることは、やるべきでないと思いますが、お答え下さい。
     なお、5月17日、全国知事会、市長会、町村会が連名で、国保の普通調整交付金の見直しは容認できないとする「社会保障制度改革に関する緊急要請」を政府に行っていますが、国保の普通調整交付金の見直しについても併せてお答え下さい。

     

    (知事答弁)
     次は、国民健康保険の都道府県単位化についてであります。
     新制度においては、市町村ごとの納付金を算定する際に、市町村ごとの年齢調整後の医療費水準と所得水準を考慮することが原則とされており、年齢調整後の医療費水準が高い市町村は、納付金の配分が増えることとなりますが、追加の財政支援などの効果も期待されるため、現状と比べて保険料額が必ずしも高くなるものではないと考えております。
     市町の収納対策については、被保険者間の負担の公平を図る観点から、適正に行われるべきものでありますが、滞納が発生した場合、滞納者に対して、直ちに差押えや保険証の取上げを行うものではなく、まずは、短期被保険者証を発行することで、納付相談等の機会を設け、生活の実態を十分に把握するなど、きめ細かな対応を行うよう、市町に対し、引き続き必要な指導を行ってまいります。
     納付金及び標準保険料率については、現在、今年度に新制度が施行された場合の納付金等について、市町への配分のあり方等を、市町とともに検討しており、今後、国のガイドラインの内容などを踏まえ、来月末を目途に公表できるよう努めてまいります。
     なお、来年度の納付金や標準保険料率については、国から算定に必要なデータが本年12月末に提供される予定であるため、最終的な納付金等の確定は来年1月以降になる見込みです。
     一般会計から国民健康保険特別会計への繰入については、県としては、決算補てん等を目的とする繰入は「解消又は削減すべき対象」であると考えておりますが、保険料水準が急激に変化することのないよう、市町とも十分に議論をしていきたいと考えております。
     普通調整交付金の見直しについては、普通調整交付金が担う、自治体間の所得調整機能を維持し、新制度への円滑な移行に配慮したものであるべきであると考えております。

     

     


     次に農業問題についておたずねします。

     米国がTPPを離脱する中、安倍政権は署名した11カ国で米国抜きでも発効する新たな枠組みをつくり、アジア太平洋地域を米国中心の経済圏にしていくとしています。またさらに、日米FTAや日欧EPAの2国間協定にも前のめりになっています。
     東京大学の鈴木宣弘教授の研究グループの試算によりますと、日米FTAによって、日本は8億2,400万ドル、米国は36億2,500万ドルの経済的利益を得られるが、世界の他の国々の損失額は、46億4,500万ドルと推定されています。この試算結果について鈴木教授は「日米のように経済規模の大きい2国がFTAを結ぶと、世界の他の国々が被る損失額が巨額になりその弊害は深刻である」と述べ、日欧EPAでも同様に23億1,600万ドルの被害が出ると指摘しています。多国籍企業など巨大企業や投資家には巨額の富をもたらす一方で、被害を受けるのは、日本の農業者や中小業者、労働者、さらには世界の他の国々にも大きな被害を与えることが明らかにされました。
     こうした中、去る6月24日、JA香川県は「日EU・EPA交渉における国会決議の実現に向けた特別決議」を採択し、「生産現場では大きな戸惑いと不安」が広がっており、政府は「国会決議」に基づき「強い姿勢で交渉に臨み」「情報開示」を行うよう求めていますが、知事のお考えをお示し下さい。

     さて、安倍政権は、TPPを前提に、「攻めの農政」「農業の産業化」の名のもとに、農業競争力強化支援法など農業関連8法を国会で成立させました。
     農業競争力強化支援法は、農業を市場経済に投げ込んで、国際市場で競争させる。そのために農家と農業団体に努力義務を課して、政府が上から押しつけようとしています。安倍首相は、「全農改革は農業の構造改革の試金石」「全農が生まれかわるつもりで、その事業方式、組織体制を刷新してほしい」と述べていますが、これは、協同組合としての共同購入、共同販売を否定し、全農を解体・縮小させ民間事業者を参入させることにあり、ねらいは農協組織全体の購買事業つぶしだと言わなければなりません。知事のご所見をお示しください。

     また、主要農作物種子法の廃止、これは食料自給に対する公的責任を外すことにつながり、認められません。安倍政権は、種子を「戦略物資」と位置づけ、種子の取り扱いを民間事業者に開放し、公的機関が持っている種子の技術やノウハウを民間に提供していくとしています。
     いま世界では、米国のモンサント社のような遺伝子組み換え作物を主流とする多国籍企業が種子市場の大半を占めており、多国籍企業が種子を独占するようになれば、価格つり上げで、消費者に大きなしわよせが及ぶことになります。また消費者などから種子法があったからこそ守られてきた「食の安全」に不安の声が上がっていますが、種子法廃止について、知事のご所見をお示しください。

     農水省は、来年度から、米の生産目標数量の配分を中止し、10a当り7,500円の直接支払い交付金を中止するとしています。農家からは「所得補償は農家にとって励みになる制度。子や孫に農業を継いでもらうためにもぜひ復活を」との声が高まっています。新潟県の米山知事は、今年度より、営農条件が不利な中山間地域でも、農業で他産業並みの所得が確保できるよう集落営農組織などに10a当り1万5,000円を上限に支給する「公的サポート」モデル事業を新規事業として実施しています。本県としても、ぜひ検討・実施すべきと考えますが知事のご所見をお伺いしまして、私の質問を終わります。

     

    (知事答弁)
     次は、農業施策についてであります。
     いわゆる日米FTA等については、先月13日の国への政策提案・要望において、私から、各国・地域との経済連携協定等の交渉にあたっては、地域の基幹産業である農林水産業が持続的に発展していくために必要な措置を確保することなどを強く働きかけたところであります。
     農業競争力強化支援法については、全農など農業生産関連事業者に係る事業環境の整備等により、良質かつ低廉な農業資材の供給と農産物流通等の合理化の実現を図り、農業者による農業の競争力強化の取組みを支援することが目的であると考えております。
     主要農作物種子法の廃止については、本県の主要農作物である米麦の生産振興を図る観点から、法廃止後も、これまでと同様に、県が中心となり、種子の安定供給体制を継続してまいります。
     米の直接支払交付金廃止については、「おいでまい」を核とした、売れる米づくりに一層積極的に取り組むとともに、麦や収益性の高い園芸品目などとの二毛作を推進することにより、農業所得の確保を図ってまいりたいと考えております。

     

     

    (再質問)
     1知事の政治姿勢について
    (3)日本国憲法について
     2点お尋ねをいたします。
     先ほどの知事の答弁を聞いておりますと、共謀罪法や憲法改悪について、なんかこの、政府見解の模範解答のような感じがいたしまして、私は、憲法を2020年に変えると明言をしたということは、これは明確にですね、99条に決められている「憲法を尊重し、擁護する義務を負う」という、これに違反するというふうに思うんですが、その点について、知事は「そうでない。」と言う、そんなことで、私は県民は絶対に納得することはないと思います。もう一度、きちっとした答弁をいただきたいと思います。

     

    (知事答弁)
     樫議員の再質問にお答え申し上げます。
     先ほども申し上げましたが、憲法自体に96条においてその改正の手続き、規定が定められているところでありますので、この憲法について、そもそも改正できないということではないわけであります。
    従いまして、それについていろいろな立場からの議論が行われるということを排除すると、かえって憲法の言論の自由を排するものではないかと考えられます。
     総理大臣としてではなく、自民党総裁として、おっしゃったと理解しておりますので、政権与党の人間が憲法について何も発言できないというのは私としましては、疑問であります。

     

     

    (再質問)
     2学習指導要領について
     銃剣道が正式なスポーツの教育の中に組み入れられたということでありますが、自衛隊が発足して以来2名の方が亡くなられています。昨年1年間だけで公務上災害を認定された件数が59件あります。
     銃剣道は相手の喉や左胸を突くということで、絶対学校で教えるものではないと自衛隊の方が言っていますが、このことについて教育長はどのように考えているのか伺います。

     

    (教育長答弁)
     樫議員の再質問にお答えいたします。
     学習指導要領の中に示された武道の例示として、空手道、なぎなた、弓道、合気道、少林寺拳法と一緒に銃剣道が含まれたことでございますが、この学習指導要領の意見公募手続きにおきまして、競技人口を考慮すべきである、銃剣道が国民体育大会の実施種目である、中学校学習指導要領の解説において、銃剣道を含めた9種目が記載されている等の意見があり、武道の内容の弾力化を一層図るということから例示に含まれたと認識してございます。