2月15日(木)、かし議員が一般質問に立ちました。
以下、質問と答弁を掲載します。
一般質問を行います。
浜田知事は、今議会冒頭の予算等の提案理由説明で、夏の知事選挙への3選出馬を表明されました。そこで、知事の政治姿勢を以下2点おたずねします。
1 知事の政治姿勢
(1)安倍政権がめざす危険な「国創り」
第1は、安倍政権がめざす危険な「国創り」についてです。
「森友」公文書改ざんを財務省がようやく認めました。これは、国権の最高機関である国会と国民を愚ろうするものです。前理財局長の佐川氏が国税庁長官を辞任しましたが、それで済む問題ではありません。安倍首相をはじめ、国会を欺いてきた内閣は総辞職するとともに、佐川氏だけでなく首相の妻・昭恵氏を証人喚問し、全容を解明すべきです。
①日本国憲法について
さて、その一方で、安倍首相は「50年、100年先の未来を見据えた国創りを行う」と述べ、憲法9条に自衛隊を明記する9条改憲を進めようとしており、重大なのは、「専守防衛」の建前をかなぐり捨てて、安倍政権が憲法の制約を覆す大軍拡に踏み出したことです。敵地攻撃が可能になる長距離巡航ミサイルの導入や自衛艦「いずも」を戦闘機が発着できる「空母」に改修するなど、これらは歴代の政府が「憲法上持てない」としてきた「他国に攻撃的な脅威を与える武器」そのものであり、憲法解釈をなし崩しに変えることは許されません。
国民の多数は9条改定を望んでいません。共同通信社が1月に実施した世論調査では、9条に自衛隊を明記する安倍首相の提案に「反対」が52.7%、安倍首相のもとでの改憲に「反対」が54.8%で過半数になっています。私は、安倍首相が、民意を無視して改憲発議を強引に進めることは、立憲主義を土台から破壊する暴挙と思いますが、知事のご所見をお示し下さい。
(知事答弁)
樫議員の御質問にお答えいたします。
まず、私の政治姿勢のうち、日本国憲法についてであります。
私は、今日の我が国の繁栄は、先の大戦における尊い犠牲の上に築かれたものであり、再び戦争の惨禍を繰り返すことのないよう、平和な国際社会を築いていくことが何より重要であり、日本国憲法の三大原則の一つとされている平和主義については、国民主権、基本的人権の尊重とともに、維持、尊重すべきであると考えております。
一方、憲法第九十六条においては、憲法改正について定められているところであり、明治憲法のような「不磨の大典」とすることなく、現行憲法について議論することは重要であると考えております。
いずれにいたしましても、憲法改正につきましては、衆参両院の三分の二以上の賛成と国民投票によると定められているとおり、極めて重要な問題であることから、国会の場での議論を含め、国民的な議論が十分になされることが必要であると考えております。
②核兵器のない世界の実現について
安倍首相は、米国に無批判に追従し、トランプ大統領に言われるまま高額の米国製武器を購入し、史上最大の軍事費が国民生活を圧迫しています。沖縄は、米軍機事故が続発する異常事態となっていますが、米軍は日米地位協定さえ無視して、基地外で日本の警察権の行使を拒否するなど無法の限りをつくしています。
北朝鮮の核・ミサイル問題では、先制攻撃をも「選択肢」に含む米国を、安倍首相は公然と支持しています。私は、戦争は絶対に起こしてはならず、この対応を根本から改めるべきだと思います。北朝鮮に核開発の放棄を迫る上で有効なのは、核兵器を法的に「禁止」し「廃絶」に進める核兵器禁止条約です。最も抜本的、現実的な道を示した歴史的条約への参加こそ、唯一の戦争被爆国の責務ではないでしょうか。私は、トランプ大統領に追随する態度を根本的に見直し、核兵器廃絶に向けて行動していくことこそ日本のとるべき平和外交の道だと思いますが、知事のご所見をお示し下さい。
(知事答弁)
次に、核兵器のない世界の実現についてで あります。
核兵器のない世界の実現は、恒久平和の実現に繋がる人類共通の課題であると認識しており、我が国は、世界で唯一の被爆国という立場から、その実現に向けて訴えていくことが重要であると考えております。
私といたしましては、核兵器のない世界の実現には、我が国をはじめ各国の外交努力の積み重ねが必要であり、現在の我が国周辺の安全保障に係る状況も踏まえ、国際社会の中で議論を尽くしていただきたいと考えております。
③脱原発と再生可能エネルギーへの転換について
また安倍首相は、「原発ゼロは責任あるエネルギー政策とはいえない」と言っていますが、昨年12月、広島高裁は四国電力伊方原発3号機の運転差し止めの仮処分の決定を下しました。福島原発事故から7年、未だに収束の目途もたっていません。
原発は、3つの大きな問題があります。第1は、どの世論調査でも再稼働反対は5~6割で、今や「国民的合意」になっていること。第2は、再稼働すれば6年で使用済み核燃料の貯蔵プールが満杯となり「核のゴミ」を処理する見通しもないこと。第3は、原発処理費用は21.5兆円に達し、廃炉や「核のゴミ」処理など子々孫々まで巨額の費用を押し付ける究極の高コストが原発であるということです。
3月10日、野党4党共同で、国会史上初めて、原発ゼロ基本法案が提出されました。原発ゼロの流れは党派を超えて増々大きな流れとなっています。私は原発をなくし、2050年までに全電力を再生可能エネルギーでまかなえるようにすべきと考えますが、知事のご所見をお示し下さい。
(知事答弁)
次に、脱原発と再生可能エネルギーへの転換についてであります。
私は、今後、再生可能エネルギーや省エネルギーを推進していくことで、原発依存度や 化石燃料依存度を下げることが、大きな方向性として是とし得るものと考えておりますが、原子力発電のあり方を含めエネルギー政策については、現在、我が国の中長期的なエネルギー政策の方針を定めた「エネルギー基本計画」の改定作業が進められており、安全・安心の確保、電力の円滑かつ安定的な供給、省資源、環境への配慮の観点を踏まえて、国の責任において判断されるべきであると考えております。
(2)県民のいのちとくらしを守る県政の実現
第2は、県民のいのちとくらしを守る県政の実現についてです。
2018年度の国家予算案は、一言でいって、「格差と貧困」をひろげ、大軍拡を進める予算案です。安倍政権の5年間が暮らしに何をもたらしたのでしょうか。それは格差拡大と貧困の悪化です。
大企業は、史上空前の利益を上げ400兆円を超える内部留保をため込み、超富裕層の資産は3倍にもなる一方、働く人の実質賃金は年額で15万円も減り、実質消費支出は20万円減少しています。安倍首相は、相対的貧困率が下がったとして貧困悪化という指摘は当たらないと主張しています。しかし、相対的貧困率の低下は、貧困の改善を意味しません。なぜなら、一般国民の所得が下がると「貧困ライン」も下がります。そうなると、これまで「貧困ライン」以下とされた人が、収入が同じでも「貧困ライン」の上にされてしまい貧困でないと数えられます。それが相対的貧困率の内実です。
実際、日本の「貧困ライン」は1999年の156万円から2014年の132万円へと下がり続けています。安倍首相は、こうした深刻な実態を見ようとせず、今年10月から生活保護で食費や光熱費にあたる生活扶助費を最大5%引き下げる方針です。生活保護制度の利用世帯の67%が減額されます。
生活保護は、憲法25条に明記された国民の生存権を保障する最後のセーフティーネットであり、それを削減することは、住民税、保育料、介護保険料、就学援助、最低賃金などに大きな影響を与え、低所得世帯の生活悪化に連動します。私は、在日米軍への「思いやり予算」増額分195億円をあてれば、生活保護削減をやめることができると思いますが、知事はどのようにお考えでしょうか。
生活保護を利用する資格のある人のうち、実際に利用している人の割合(捕捉率)が2割程度と国際的に極めて低い水準にあることが大きな問題になっています。日本共産党は、全ての国民に生存権が保障され、使いやすい生活保護にするため「生活保障法」への名称変更と国民への周知の義務づけなど緊急の法改正を求めていますが、知事のご所見をお示し下さい。
またさらに、安倍首相は「人づくり革命」と称して、50万人分の介護の受け皿、32万人分の待機児童の受け皿、幼児教育の無償化を実施すると言いました。いずれも2019年10月の消費税10%への増税を財源とするため、実施は20年度以降です。安倍首相は、「全世代型社会保障」に転換すると言っていますが、実際には、1300億円の自然増部分を削減し、75才以上の窓口2割負担や診療報酬全体で1%超の引き下げ、介護では中重度者を在宅に戻し、軽度者の介護外しが提案されています。これでは、県民のいのちとくらしを守ることはできません。私は、安倍政権の、国民いじめの政治をやめさせ、県民のいのちとくらしを守る県政に転換させることが、今こそ重要と考えますが、知事のご所見をお示し下さい。
(知事答弁)
次に、生活保護行政等についてであります。
今回の生活保護基準の見直しは、生活扶助基準について、一般低所得世帯の消費実態との均衡を図るため、年齢・世帯人員・居住地域別にそれぞれ増減されるとともに、子どもの健全育成のため、児童養育加算の対象を「中学生まで」から「高校生まで」へ拡大するなどとされています。
また、貧困の連鎖を防ぎ自立を促進するため、生活保護世帯の子どもの大学等への進学を支援する給付金を創設することとされており、国の社会保障審議会の部会において専門的・科学的見地から検証した結果等を反映したものであると考えております。
また、御提案の法改正につきましては、広く国民の理解が得られるよう、国会の場において、十分に議論していただくべきものであると考えております。
いずれにいたしましても、私といたしましては、引き続き、「新・せとうち田園都市創造計画」に掲げる施策を推進し、誰もが住みなれた地域で支え合いながら、いきいきと安心して暮らせる香川の実現に向けて取り組んでまいります。
2 格差と貧困から子どもを守り、貧困の連鎖を断ち切る施策の実施
次に、格差と貧困から子どもを守り、貧困の連鎖を断ち切る施策の実施について3点おたずねします。
(1)子どもの医療費を中学卒業まで無料に
第1は、子どもの医療費を中学卒業まで無料にすることです。
所得、雇用形態などの社会的要因によって、食生活やストレスなどに差異が生じ、低所得者や不安定雇用の人ほど疾病、死亡のリスクが高まる「健康格差」が問題になっています。生活困窮世帯の子どもが、ぜんそくを発症するリスクは、それ以外の世帯の子どもの1.3倍、「5本以上の虫歯」になる割合も、生活困窮世帯の子どもと、そうでない子どもでは2倍の格差があるといわれています。
高松市では、子どもの医療費は入院した場合は中学卒業まで無料ですが、通院は小学校卒業までとなっているため、中学生になって、アレルギー疾患の子どもや発達障害の子どもなどが治療を中断するケースが出ています。この点について、昨年の私の質問に対し、健康福祉部長は「経済的理由による受診抑制があることは承知している」と答弁されました。しかし、このようなことは、あってはならないことであり、それをおこさせないことが行政の責任だと私は思いますが、知事どうですか、お答え下さい。
県は、未就学児の医療費の無料化のみで、各市町が独自の上のせで、入院・通院とも直島町が満18歳に達する年度末まで、高松市以外の市町が中学卒業まで無料化しています。しかし、私は、県が責任を持って中学卒業まで実施すべきと考えます。全国の状況をみてみますと、中学卒業までの入院・通院の実施が秋田、群馬、東京、静岡、京都、兵庫、奈良の7都府県、入院のみ中学卒業までの実施が大分など8県、そして、小学校卒業などを含めると47都道府県中25都府県で、本県を上回る実施となっています。他県に学び、中学卒業までの実施を強く求めますが、お答え下さい。
(知事答弁)
次は、子育て支援のうち、医療費の無償化についてであります。
県では、医療費助成をはじめ、子育てに係る経済的支援が重要であるとの認識のもと、 独自に「乳幼児医療費支給事業」を設け、平成23年8月には、その対象年齢を就学前までに引き上げるなど、制度の拡充に努めてきたところであります。
また、子どもの貧困の問題については、関係機関を含め行政全体として、困難な状況にある子どもたちを、医療費への助成、生活福祉資金の貸付けなど経済的支援や、生活の支援などに適切につなぎ、それぞれの課題が解決するよう取り組んでいるところです。
御指摘の医療費の無償化に係る対象年齢の引上げにつきましては、様々な観点から検討した結果、現行の制度を継続したうえで、平成26年度に本県独自の「かがわ健やか子ども基金事業」を創設したところであり、各市町が、この基金を活用していただくことにより、少子化対策や子育て支援施策の一層の幅広い展開が可能になるものと考えております。
また、子育て家庭の経済的支援の充実を図るため、医療費については、全国一律の制度とする必要があると考えており、機会を捉えて、国において制度化を検討するよう要望しているところであります
(2)就学援助の入学準備金の入学前支給
第2は、就学援助の「新入学児童生徒学用品費等」、いわゆる入学準備金の入学前支給についてです。
この問題については、文教厚生委員会で何度か質問してきましたが、県下6市7町で小学校、中学校入学の児童生徒に、高松市と善通寺市は、中学入学のみ、入学前の3月に支給されるということになり、生活困窮世帯にとって一歩前進となりました。
ところが、話をよく聞いてみますと、入学前の学校説明会はだいたい1月中旬頃に開かれ、説明会の時に、小学校の算数セットや絵の具セットなどはその場で、現金前払いで申し込みすることになっているようです。
また、神奈川県大和市のように、中学校入学予定の児童に対し12月に支給を実施しているところもあります。
県として、各市町に対し、入学説明会の前に支給するよう指導・助言すべきと考えます。また、併せて就学援助制度を知らない世帯に対する周知を徹底すべきと考えますが、教育長お答え下さい。
(教育長答弁)
樫議員の御質問にお答えいたします。
まず、子育て支援についてであります。
就学援助の「新入学児童生徒学用品費等」については、これまでも、国の通知を踏まえ、 援助を必要とする時期に速やかに支給することができるよう十分配慮する旨を通知してきたところであり、多くの市町で、来年度入学予定者から、入学前の3月に支給することになったと承知しています。
今後とも、認定時期や支給時期の見直しを含めた、一層の充実が図られるよう、他県の動向や県内の状況について、適切に情報提供等を行ってまいります。
また、各市町では、学校から入学時や毎年度の進級時に、就学援助制度に関する文書を配付するなど、様々な手段で周知しておりますが、今後も引き続き、周知徹底が図られるよう、市町教育委員会に働きかけてまいります。
次に、高等学校等奨学金制度については、本県では、経済的な理由により修学することが困難な高校生に対し、無利子貸与型の奨学金制度を設けており、返還についても、病気やけがなどで働くことができず返還が困難となった場合は、状況が改善するまで返還を猶予できることとしております。
また、現在、就学支援金制度により、公立高校では、概ね8割の生徒が、授業料相当額の支援金を受給しているほか、市町村民税所得割非課税の世帯などに対しては、授業料以外の教育費の負担を軽減するため、奨学のための給付金が支給され、来年度からは、さらに増額される予定となっております。
奨学金については、限られた財源を効率的・効果的に活用するうえで、現在の制度が 適当であると考えており、就学支援金や奨学のための給付金などとあわせ適切に運用することで、今後とも、修学が困難な高校生への支援を続けてまいります。
(3)県の給付型奨学金制度の創設
第3は、県の給付型奨学金制度の創設についてです。
大学生の半数近くが、奨学金という名で、大学卒業時に数百万円の借金を背負わされるという日本の奨学金制度の実態は、学生の自由を奪い、卒業後も長く生活を圧迫し、結婚をも困難にし、ひいては少子化、人口減少をもたらしかねません。
政府は、昨年度に大学生への給付型奨学金制度を創設し、この4月から本格実施されます。2万人程度を見込んでいるようですが、奨学金を利用している学生132万人に対しあまりにも少なく、給付額も2~4万円と少なすぎます。
こうした中で、独自に給付型奨学金を実施する自治体が広がり始めています。滋賀県米原市では、来年度から、市への定住を条件に大学生などに月額3万円の給付型奨学金制度をスタートさせます。また、政令市の神奈川県相模原市では、高校生向けに、成績要件なしで、生活困難世帯に対し、年額10万円と支度金2万円を給付する制度が来年度から実施されます。
本県では、大学生等奨学事業、高等学校等奨学事業の制度があり、無利子ですが、貸与型ですので返還しなければなりません。大学生の場合は一部免除ということですが、これでは不十分です。私は、県として給付型奨学金制度を創設すべきと考えますが、知事並びに教育長のご所見をお示し下さい。
(知事答弁)
次は、子育て支援のうち、県の大学生等奨学金制度についてであります。
高等教育は、国民の知の基盤であり、国や地域の競争力を高める原動力となるものと考えており、国においては、昨年12月に閣議決定した、新しい経済政策パッケージの「人づくり革命」の柱の一つとして、高等教育の無償化が位置づけられているものと承知しております。
こうした中、県においては、大学生等奨学金について、来年度から、低所得世帯のより一層の経済的負担の軽減を図るため、日本学生支援機構の無利子奨学金との併用を可能にするとともに、より多くの優秀な人材の県内就職につながるよう、返還額の一部免除の要件を、卒業後「半年以内」から「3年以内」に緩和するなど、制度を見直すこととしております。
私は、高等教育の無償化は、子育てに伴う経済的負担を軽減し、喫緊の課題である少子化の克服に向けて有効なものであり、また、本県で生まれ育った子どもたちが、家庭の経済事情によって希望する進路を諦めたり、自分の将来に悲観的になることなく、明るく、 積極的にそれぞれの能力を伸ばしていくことができ、将来の香川県を背負って立つ人材を育成することにもつながるものと考えておりますが、将来にわたって持続可能な制度とすること、 税負担も含め全体として公平感のあるものとすることが重要であると考えております。
いずれにせよ、私といたしましては、将来を担う若者が経済的理由で修学の機会を失うことがないよう、引き続き、努めてまいります。
3 国保の都道府県単位化
次に、国保の都道府県単位化についておたずねします。
今でさえ、国保料(税)は高すぎて払えないという声が上がっていますが、新制度に移行することによって、さらに高くなることが予想されます。
高松市の資料によりますと、新制度に移行した場合のモデルケースが例示されています。一例を申しますと、40代の夫婦と子ども2人の4人家族で年収450万円の標準世帯の場合、現行で固定資産ありの場合、保険料は50万7,400円、固定資産なしの場合48万5,600円でありますが、新制度移行による試算では、資産割なしの3方式で、保険料水準据置の場合53万6,600円となり、固定資産ありが2万9,200円、固定資産なしが5万1,000円もの負担増となっています。さらに、市が赤字繰入れ9億2,000万円をしなかった場合、保険料は61万9,000円となり、固定資産ありが11万1,600円、固定資産なしが13万3,400円もの負担増となっています。
今でさえ、高すぎて払えない状況なのに、4月からの新制度移行で、今後、滞納世帯が続出するのではないでしょうか。本県では、2016年6月時点の国保加入世帯14万2,000余のうち、滞納世帯13.7%、短期保険証交付世帯6.1%、資格証明書交付世帯1.5%、2016年度の保険料差押え世帯は延べ786世帯となっており、私はこのままでは国保の悪化は避けられないと思いますが、知事は、この事態をどのように受け止めておられるのかおたずねします。
県は、2018年度の保険料必要額の算定結果を市町別に公表し、納付金ベースで約3,000円増えるとしています。また1人当たりの医療費は、16年度から2万4,000円増える見込みで、国県からの財政支援で抑えたと説明しています。
しかし、これでは、保険料がアップするのは明らかではありませんか。国保の都道府県単位化の目的は、国保料の納めやすい環境づくりだったはずです。国保法の第1条には、国保は社会保障であると明記されているではありませんか。全国知事会で、保険料引き下げのためには1兆円の国費上乗せが必要だという意見があったにもかかわらず、3,400億円で決着したとのことですが、知事はこれでよしとするお考えでしょうか。
私は、新制度移行に際し、国保料(税)の引き上げは絶対にするべきではないと思いますが、知事の決意をお示し下さい。また、県として国に対し公費負担の増額を強く求めるべきと思いますがお答え下さい。
県は来年度の予算案で、国保事業として、国保財政の安定化、市町の財政状況等に応じた調整を行うための財政調整交付金46億2,800万円余、低所得者の保険料(税)負担を軽減するための保険基盤安定負担金33億1,200万円余など計87億9,900万円余を予算計上していますが、この予算額では、市町の現行保険料(税)を維持するのは高松市の事例からみても困難だと思います。私は市町の一般会計からの繰り入れについては、市町の判断を尊重し、県としても、国保への繰り入れを行い、財政運営の責任を果たすべきと思いますが知事のご所見をお示し下さい。
国保の均等割について、子育て支援の観点からの軽減策が必要です。サラリーマンなどが加入する被用者保険は、子どもの人数が増えても保険料は変わりませんが、国保は均等割により、加入者数に応じて賦課されます。これは子育て支援に逆行するのではないでしょうか。埼玉県ふじみ野市では、4月1日より国保の均等割を第3子から全額免除するとしています。
私は、国に対し、子どもに係る均等割の負担軽減を求めるとともに、本県としても子育て支援の観点から軽減策を実施すべきと考えますが、お答え下さい。
(知事答弁)
次は、国民健康保険の都道府県単位化についてであります。
今回の制度改正は、年齢構成が高く医療費が高いなどの構造的課題を抱える国民健康保険を都道府県単位化することで安定的な財政運営を確保するとともに、財政支援の拡充により財政基盤を強化し、持続可能な制度とするものであります。
高齢化の進展等に伴う1人当たり医療費の増加により、現行制度のままでは、保険料負担がさらに重くなることが見込まれておりましたが、制度改正に伴う財政支援の拡充により、保険料について、一定の軽減効果は発揮されていると考えております。
高齢化の進展等に伴う1人当たり医療費の増加による保険料水準の引上げについては、やむを得ない面もあるものと考えておりますが、国民健康保険が持続可能な制度となるよう、全国知事会等を通じて、今後の医療費の増嵩に耐えうる財政基盤の確立について、引き続き、国に対して要望してまいります。
市町の一般会計からの繰入のうち、決算補てん等を目的とする繰入については、本来、解消又は削減すべき対象であると認識しておりますが、保険料水準が急激に変化しないよう、市町において、適切に配慮されるものと考えております。
なお、県は、財政運営の責任主体として、 一般会計から同様の繰入を行う必要が生じないよう、必要な財源の確保や財政安定化基金の活用等により、安定的な財政運営に努めてまいりたいと考えております。
子どもに係る「均等割保険料軽減措置」の導入については、国の定率負担の引上げ等とあわせて、様々な財政支援の方策を講じるよう、引き続き、全国知事会等を通じて、国に対して要望してまいります。
4 「働き方改革」
最後に、「働き方改革」について3点おたずねします。
(1)「働き方改革」一括法案
第1は、安倍政権が最大の目玉として位置づけた「働き方改革」一括法案についてです。次々に、ねつ造、異常データが発覚し、裁量労働制の撤回を口にしていますが、撤回するなら法案そのものの前提が成り立ちません。私は、法案の国会提出はやめるべきと思います。知事のご所見をお示し下さい。
(2)「無期転換ルール」の周知徹底
第2は、「無期転換ルール」の周知徹底についてです。労働契約法第18条の施行から5年が経過し、4月から「無期転換ルール」が適用されますが、それをリセットするために、「雇い止め」や「空白期間」をおくなど、使用者の脱法行為が全国的に大問題となっています。私は県内企業に対し、「無期転換ルール」を守るよう、指導権限を有する労働局と連携して周知徹底すべきと思います。知事のご所見をお示し下さい。
(知事答弁)
次は、働き方改革についてであります。
働き方改革関連法案については、長時間労働の是正はもとより、生産性の向上を図るという原点から、労使双方にとって望ましいものとなるよう、国において十分に議論される必要があると考えております。
また、労働関係法令の遵守については、これまでも香川労働局と連携し、県内の経済団体に要請するなど、周知・啓発に努めているところであり、議員御指摘の、いわゆる「無期転換ルール」についても、今後、機会を捉えながら、周知を図ってまいります。
(3)教員の「働き方改革」
第3は、教員の「働き方改革」についてです。2016年度の「教員勤務実態調査」によりますと、教員は、平日、平均して約12時間学校にいて働き、その上、家でも小学校教員29分、中学校教員20分の持ち帰りの仕事をこなしています。さらに、中学校では土日の「部活動」が約2時間10分と、まさに過労死ラインを超える勤務実態となっています。
文科省は「看過できない実態が示された」として、中央教育審議会に諮り、昨年12月に「学校における働き方改革」に関する総合的な方策についての「中間まとめ」が出されました。
その内容は、原則的な視点、立場として、①定められた勤務時間内(7時間45分)で業務を行うことが基本、②「学校における働き方改革」は、学校の主体性を大事にしながら行うべき、教職員間で話し合う機会を設けることが有効、③国や地方公共団体において、制度的な障壁の除去など「学校における働き方改革」を後押しする必要がある、としていることは積極面として評価できます。
また、削減すべき業務として、標準授業時数を大きく上回った授業時数、必要性が乏しい慣習的に行われてきた業務、行政の研修の整理・精選と報告書の簡素化、研究授業における教員の負担の軽減などが事例として挙げられていますが、今、申し上げました中教審の「中間まとめ」について、教育長はどのように受け止め、働き方改革を実行しようとしているのか、具体的にお示し下さい。
中教審の「中間まとめ」について、私は積極面のみ申し上げましたが、教員の長時間勤務を解決するという点では、大きな問題が抜け落ちています。それは、教員数の抜本的な増員です。1日12時間働いている。それを7時間45分という定められた時間内に仕事を終わらせるには、教員数を1.4倍化しないとできないということです。小学校の英語専科を担当する教員や中学校の生徒指導を担当する教員の増員、中学及び高校の部活動指導員の配置も重要ですがそれだけでは解決できません。
私は、教員の抜本的増員と、小学校5年・6年、中学校2年・3年の35人以下学級の実現こそが、「教員の働き方改革」を実現させる道だと思いますが、教育長のご所見をお示し下さい。
(教育長答弁)
次に、働き方改革についてであります。
議員御指摘の国の中央教育審議会が取りまとめた「中間まとめ」については、学校や教師が行う業務を明確にし、適正化する観点から、業務分担の整理や意識改革を進める必要性など、学校における働き方改革の実現に向け、一定の考え方が示されたものと理解しております。
県教育委員会としては、昨年6月に事務局内に設けた研究会において検討を進め、昨年12月には、市町教育委員会や学校、PTA 関係、有識者などで構成する「香川県教職員働き方改革懇談会」を設置し、様々な御意見をお聞きしてきたところであり、これらを踏まえ、今月末までに一定の改善方策を取りまとめたプランを策定することとしております。
その中では、「業務の適正化」、「業務の効率化」、「学校運営の改革と意識改革」、「保護者、地域への理解促進」の4つの項目を柱に取組みの方向性を示すとともに、勤務時間の客観的な把握や、中学校の部活動の休養日の設定など、特に重点的に取り組む事項を定めたいと考えており、このプランに沿って、教職員の多忙化や長時間勤務の改善を進めることで、学校における教育活動の一層の充実に努めてまいります。
また、35人以下学級については、県独自の予算措置等により、小学校3、4年及び中学校1年に拡大して実施するとともに、国に対し、今年度も、教職員の定数改善や35人 以下学級の拡大について、重点要望や全国都 道府県教育長協議会の特別要望を通じ、強く 働き掛けたところであり、今後とも、国の動向を注視しながら、指導体制の充実に努めてまいります。
(再質問)
3 国民健康保険の都道府県単位化について
知事に国保について一点お尋ねをいたします。 知事は、激変緩和措置などを講じて一定の軽減効果があったと、このように言われましたけれども、 私が高松市の事例で、標準世帯で申し上げましたように、3万円から5万円の値上げになると、こういう状況なんです。
私は、引上げがない立場、こういう立場で、国保の財政運営に、県として責任を果たしてもらいたい、こういう立場で再質問いたしました。 知事、お答えをお願いします。
(知事答弁)
樫議員の再質問にお答えいたします。
国民健康保険の都道府県単位化についてでございます。
先ほども申し上げました通り、高齢化の進展等に伴い、どうしても1人当たりの医療費が増加してまいります。
現行制度のままでは、先ほど議員がご指摘になったような数字がさらに増えてしまうという、その比較の問題を申し上げているわけで、現行制度のまま何もしないで、この高齢化の進展に伴う1人当たり医療費の増加を迎えますと、さらに今示しているものよりも増加してしまう、そこを抑えていく効果があったことを申し上げたわけでございます。
いずれにいたしましても、全国知事会等を通じて、国民健康保険が持続可能な制度となるよう、今後の医療費の増嵩に耐えうる財政基盤の確立につきまして、引き続き、国に対して要望してまいりたいと考えております。